火を消し止める姿を描いたと言うよりは、その時に起きていた出来事をドラマにしたものです。もっと、ハラハラする感じかと思っていたので...

酷い脚本だった。ノートルダム火災で傷ついた人々を救う話ではない。
消防士の命がけの活躍や寺院にまつわる人、あるいは当局側とメディアとの関係性などの中で勇気強く葛藤するパリ人を描くと思ったら、まったく見込み違いだ。

アメリカの911を描く映画やドラマだと、消防士の懸命な救助活動や職業モラルの高さに感動するのだが、このドラマの消防士は意識が低すぎるんだよね。アメリカの消防士ならば、こんな大火事にならなかったのではないか、とすら感じた。

とにかくどのキャラにおいても、フランス人特有のグズグズしたメンタリティと無意味な鼻っ柱の強さに嫌気がさしてくる。爺さんから子どもにいたるまで、まったく可愛げがない。

人類の至宝であるノートルダム寺院が燃え、歴史的なアートが壊れるかもしれない中で、消防士が消火に励まず、「恋ネタ」ばっかりにうつつを抜かしている。自殺まがいの行動で仲間も危険にさらす。
フランスの消防士は大火災中にこんなことを考えてるの？うそでしょ。

いくつかのストーリーを同時並行で追いかけるのだが、ノートルダムとほとんど関連がない。結末で無理やりつなげるが茶番に見える。
不可解というか、フランス人はこういう突拍子もない脚本でも共感できるのか。

主役女性3人。消防士、フリー記者、売春婦のどれにも共感できないし、大根演技だ。演技力なのか演出力なのか、ちょっとわざとらしすぎるのではないかな。あえていえば女性消防士の大佐は熱演していた。

男優側もまったく覇気がない。准将消防士、売春婦の父などもあり得ない行動をする。60代の爺さんがあんな脊髄反射で動くのか。
いやー、めんどくさい国柄だねー。
『バックドラフト』や『オンリーザブレイブ』とはレベチ。
6話あるが、これはスルー推奨ドラマ。

2019年に起きたパリのノートルダム大聖堂の火災に着想を得たリミテッドシリーズのドラマ。

消火活動に励んでいる多数の消防士たち、その家族や恋人、その場に偶然居合わせた人たち、それぞれのドラマ。火災現場で殉職した恋人を忘れられない消防士、ジャンキーの娘を探す父親、微妙な関係の幼馴染み、クローゼットの女性消防士、写真を手掛かりに父親を探す子供。そう！消防士たちとその周りの人たちのドラマなんだよね…。どのように消火したかとか火災現場のレスキュー部分を期待して観ると肩透かしをくらう。その上、たった一夜の出来事を6話のドラマに引き延ばしてるので全然話が進まない。みんな各々に抱えている苦悩/各々のドラマがある、ということね、多分。マイケル・ジャクソンが亡くなった日、911の日、そしてノートルダム大聖堂火災の日、あなたは何をしてた？ってその日その時を思い出すときの記憶のトリガー。

火災前に、ノートルダム大聖堂の献灯用のキャンドルを記念に持ち帰って自宅で使ってた。金色の蓋付きでイエス・キリストの絵が描いてあった大きめのキャンドル。今どこにあるのかなぁ。