面白かった。
小野真千子さんのがさつなキャラ良かったです。
WOWOWは社会派ドラマが得意だけど、こういうほんわかしたのもたまには良いですね。
田中圭さんのダメ男だけどやさしいのが滲み出ていましたね。
子供いないから解らないけど出産って本当に大変なことなんですよね。奇跡だし。

Wドラマにしては、ちょっと毛色が違う感じで、ほんわかしてる。
尾野真千子と田中圭って、Wドラマ出演率高いなぁ〜
尾野真千子が今までとちょっと違った感じの役で、最初小汚くて分かんなかった 笑
職なし、貯金なしでよくシングルマザーになる決意するわ😕現実は甘くないぞ〜

オードリー若林が、妻の出産に立ち会った際に、ある事で怒られたエピソードが面白い。

陣痛が来るたびに痛みを和らげる目的で、手渡されたテニスボールを妻のお尻に押し当てるのだが、
テニスボールが、さつま揚げやらはんぺんやらの形まで押し当てても、
「もっと強く押して(怒)」と叱られるのだそうだ。

手で押し当てるのには限界があり、最終的にはラグビーのスクラムのように、肩で押し当てたそうだが、
それでも「もっと強く押して(怒)」と叱られる。

「車のトランクにアメフトのボールあるけど、持ってこようか？」と妻に尋ねると、
「先がトガってるし！それだと赤ちゃんが出てこないし(怒)」
と、やっぱり叱られるのだそうだ。

出産時の夫ほど無力で使えない存在はいない、という笑い話。

さて、このドラマの主人公は、女性昆虫学者で変わり者。その偏屈な性格により大学をクビになる。
ワケアリ実父が営む喫茶店でやけ酒飲んでたが、たまたま元カレと遭遇。
酔った勢いで元カレと一夜を共に。まさかの妊娠しちゃた、というお話。

高学歴なのに、職が安定しない、収入が安定しない、
女という性別や、偏屈な性格も加わり、とにかくうまくいかない主人公。

高学歴ワーキングプアを題材にした物語という点で言えば、
「メランコリック」の女性版とも言えるが、
メランコリックよりは、よくある普通の日常っぽい雰囲気の中でストーリーは進む。

妊娠という設定から、昔のドラマ「できちゃった結婚」を連想するも、
だいぶ時代は変わり、シングルマザーがあちらこちらに、普通にいる時代のお話でもある。

研究者という特殊肩書の職業人の生きづらさや、
生まれや育ちのしがらみを一考する作品だった。

よくよく考えれば、私も研究者とか学者とかに昔はなりたかった。資本主義とは関係のない世界で生きたかった。
働く事に嫌悪感があり、金を稼ぐ事に全く興味が無かった。
でも、研究者や学者になるには金がかかる。大学院にも行かなきゃならない。
そこまで頭がいいかと言われると、そうでもない。

結局、消去法の最初の方で消えてしまった選択肢だが、
この主人公は、母子家庭の娘なのに学者や研究者になれた。
どちらかと言えば運がいい人生。

しかし、妊娠で人生が大きく変わる。
今まで偏屈者の独り者として自由に生きてきた彼女、
妊娠により、経済的にも物理的にも、他人の助けを必要とするようになった。
人と交わる機会が自然と増え、必然的に偏屈者の性格にも変化を及ぼすようになった。

それは、良い面も悪い面もあるが、なんというか、
妊娠というイベントによって全てがリセットされる、
女性特有のサイクルや節目という事の、残酷さ、素晴らしさ、羨ましさ、
といった様々な感情が溢れてきた。

高1の時に教育実習で女性の可愛い大学生が、うちの高校に来た。
高2の時に、その女性は新任教師として再びやってきて、部活の顧問をしてくれた。
しかし、高3の時に妊娠して寿退社した。
(^_^;)
祝福の感情は勿論あったが、あまりの急展開教師生活に、
「なんだそれ？」と白けてしまったのをよく覚えている。

男性は妊娠しない。女性は妊娠する。

この「性差」こそ、社会的存在としての人間が男女平等を唱える上で、唯一とまではいわないが、
明白に最大の障壁となる「性差」であるとわかる。
無論、訳あって妊娠を望んでも、そうならない女性がいる事を軽視しているわけではないが(この言い回し、メンドクセーな)、
男女の生物学的生理学的な違いは、妊娠するかどうかだ。

それは、日本に限定すれば、社会の制度やシステムが「妊娠」という性差を、
最初から考慮せず、組み込んでいない事の裏返し。

だから、後天的に後付けで「育休」なる制度を補填するものの、
男性が女性の妊娠を肩代わりする事まではできない。

だからこそ生まれる、女性ならではの葛藤、苦悩、傷心。
インテリ女性なら尚の事、不器用で孤立する。

ただ、想像するしかないのだけれど、同性ほど主人公の立ち回りには、同感よりも反感を覚えそうな気もした。
シングルマザー、そんなに甘くね〜ぞって声が聞こえてきそう。

おそらく、虫博士の女性の話だから、虫の変態過程を人間の女性の、
妊娠をきっかけにした心の変化を、表現したかったのだろう。
女性は初めから母親なのではなく、妊娠、出産を経て、子供の存在により、女は母親に変わっていくのよって話。

それにしても田中圭ってのは、自分の至らなさからくる責任を女性に擦り付ける役をやらせたら、
公私ともにしっくりくるなあ。
心底、ダメ人間なんだろうなあと改めて思った。

良かった演者
尾野真千子
田中圭
でんでん
りりィ