2023年9月29日＠アップリンク京都
青木柚、中村守里、伊藤万理華のキャストは、良い演技。一方で、脚本というか、描かれている内容が、ただの無責任な男のノスタルジーを100分みせられているだけで、何も心に響かない。共感できない。実体験を元にということで、リアルさは少しありますが、それがどうした、で終わってしまう。ヒロインはともかく、過去に愛情もなく付き合っていた女性のことへの配慮がカケラもなく、それを「青春」で片づけるのは、どうなんでしょうか。いまおかんじ監督の脚本と穐山茉由監督の演出補助で、なんとか形になっているだけ。

• #ひとりよがりな男の話
• #青木柚
• #中村守里
• #伊藤万理華
• #共感できない

《視聴回数》
▶︎▶︎1回目

《日時場所》
▶︎▶︎2022/11/1 19:30〜 渋谷ユーロライブ

《視聴理由》
▶︎▶︎知り合いの映画なので
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■総合点■------------------■33/50

□個人点□------------------■11/20
◇趣味◇-----------◇7/10◇
◇嗜好◇-----------◇4/10◇

□評価点□------------------■22/30
◇企画◇------------◇4/5◇
◇主題◇------------◇2/3◇
◇構成◇------------◇3/4◇
◇脚本◇------------◇2/3◇
◇演技◇------------◇3/4◇
◇音響◇------------◇3/4◇
◇技術◇------------◇5/7◇

　『まなみ100%』というタイトルが有するある種の痛々しさというのは、カルロス・トシキ＆オメガトライブの『君は1000%』という楽曲と比べればわかり易い。私は『君は1000%』が大好きなのだが、100%でも1000%でもどちらでも良いのだが、1%の邪念も入らない好きは随分と痛々しい。10年間、まなみちゃん（中村守里）のことをひたすら想い続けるボク（青木柚）の話なのだが、純潔を守りながら、ただひたすらまなみちゃんのことを一途に愛し続けたのかと思えばそうではない。くろけいちゃん（宮崎優）とは大学デビューで半同棲していたし、メンヘラ気味の唯ちゃん（新谷姫加）に浮気を疑われ、裸のまま放り出されたり、カンナちゃん（菊地姫奈）には未来に目標を持たない生き方のせいでこっぴどくフラれたりする。これは明らかに令和版『モテキ』と呼ぶべきキュンキュンする青木柚君の物語でそれ以上でもそれ以下でもない。だって今作の中で一度でも青木柚君がフレーム・アウトする瞬間を見たか定かではない。藤枝喜輝くんが運転席に座りふと息を突く瞬間だけが青木柚君がいないショットだった。つまり『まなみ100%』は回り回って『ボク100%』と断言出来るような信じられない映画だった。

　そもそも今作は29歳の川北ゆめき監督の自伝だというからよりキモさが増す。本人は100%エモいと思いながら、高校時代の体操部で好きだったまなみちゃんを想いながら27歳ごろの川北ゆめき監督が夢想するエロティシズムは相当ヤバい。舞台挨拶で監督は瀬尾先輩（伊藤万理華）の葬式にまなみちゃんが来なかったことが今作を作る動機になったと話していたが、そんなくだらない出来事が動機になった事実に打ち震える。大人になれば人には他人の葬式に訪れることが出来ない理由なんて幾らだって並べることが出来るし、各人が今を必死に生きている。コンサル業務を単なる相談係と間違えたボクの絶望的な頼りなさを考慮に入れた上でそれでもボクはまなみちゃんにいったい何を望むのだろうか？大人になり、思春期の何もかもを捨て去ったまなみちゃんと、まだ高校時代の延長でモラトリアムの続きをやりたいボクとでは、そもそも価値観や人生観、何より生き方が違い過ぎる。直前のまなみちゃんの瀬尾先輩は死んじゃうのかなという呻きをボクはどう聞いたのだろうか？思春期のリビドーで何もかも制することが出来ると思い上がるボクの万能感が諸悪の根源で、残酷な現実に直面する。それでも1%の可能性に賭けようとする青木柚君の判断は決して嫌いではない。いまおかしんじのリライトは川北ゆめき監督の痛さを絶妙な塩梅に修正するのだが、それでもドバドバ溢れ出すリビドーが想像を絶する奇妙な映画体験。