加速していく狂気！

不穏なジャケが良い味出してる！地味ながらも手堅いスラッシャー。巷を賑わす連続殺人に町中が警戒する中、自宅マンションの駐車場で犯人の特徴を網羅したような人物を目撃する主人公。「アイツが犯人なのでは…？」な疑惑に取り憑かれた主人公が、犯人捜査に異常なほどに固執していく病的な作品！

「グヘヘへへ…」みたいなキモイ電話を勝手にかけてきて「今からお前をkillするよ？」と殺害予告→Uberならチップ払うレベルの高速宅配（返品不能）で殺害をお届けする仕事の早い犯人さんが素晴らしい！！ある人は職場に電話がかかってきて、怖くなって帰るためのエレベーターに乗る前にもう配達完了という素早さ！

『暗闇にベルが鳴る』『夕暮れにベルが鳴る』からの影響が強そうだけど、それ以上にほぼジャーロだったから驚き。犯人は黒いマスクではなく何故かバラエティー番組みたいにストッキング被って常に面白フェイスになってるのが笑えるし、しかも全然顔が隠れてないから何のために被ってたのかも謎！😂

犯人には全くと言っていいほど踏み込まずにほとんど装置化させてしまい、その一方で主人公サイドを深掘りしていく。だから犯人はほとんど隠されていない。主人公には全盲聾者の妹がいて、その原因を作ったのは自分だと幼少期からずっと後悔と罪悪感に苛まれている。その過去のトラウマ克服のために犯人探しに異常なほど取り憑かれてるのだけど、それが目的以上というか、次第に犯人に対する病的な加害願望にまで発展していくところに本作のホラーが見出せると思う。

1人目と2人目の犠牲者が襲われる直前、緑（照明や植木）が印象的に映るのだけど、その被害を予感させる“緑”を、主人公から犯人への電話の際に犯人の部屋に灯ることでもその逆転が印象付けられている。電話の回数を重ねるたびにどんどんと攻撃性が溢れ出てくるのが痛々しくてサイコー！主人公には彼氏がいるのだけど、仲良さそうに見えるのに一度も互いの意見に同意することはなく、その辺りにも危うさが滲み出てるのも好き！

突出した何かがあるわけではないけど、割と面白かった。そしてウィーダーホーン監督のクソ映画『ゲシュタポ卍死霊軍団』を何故かテレビでみんな見てるという自画自賛っぷりが堪んない！😂

• #ホラー映画と怖い映画

" 裏窓"！ " サイコ "！ "フレンジー"！
ものすごく生真面目に、前年(1980)に亡くなったアルフレッド·ヒッチコック監督のサスペンスフルなテイストを継承しようとしてますね。

説明的なセリフを極力省いて、映像で物語をグイグイ引っぱっていくところに好感が持てます♪

実はこの映画、むかし映画館でいちど観たんですけど、同じ時期に出会ったブライアン·デ·パルマ監督の"殺しのドレス"の衝撃のせいで存在が霞んでしまっていたんです。

でも今あらためて観てみたら、こっちはこっちで良くできてる！

ヒッチコックのフォロワーやらヒッチコック·チルドレンやら自称ヒッチコックの後継者やらが世界中に数えきれないほどいるなかで、明確なオマージュを差し挟むことなく、面白いサスペンス映画を地道に追究したケン·ウィーダーホーン監督はエラいと思います。

画面に映るのはほんの数秒だけど、トム·サヴィーニ師匠の堅実な仕事ぶりにも注目してくださいね♪

• #2021♪
• #真夜中のグラインドハウス♪

連続婦女殺害事件の危険性を訴える女性ニュースキャスターが、怪しい動きをする隣人男性に探りを入れていく。町に潜伏するサイコパスの恐怖を描いている、スラッシャー映画。ゴア描写の特殊メイクをトム・サヴィーニが担当している。

標的となる女性宅（または職場）にイタズラ電話をかけ、精神的に戸惑いを与えた後、自ら女性に接近。裸にひん剥いて、強姦して、殺害してしまう。犯人の素顔が鑑賞者に向けて開示されるが、ドラマは主人公視点で進んでいく。

「奇妙な行動を取る男がいたら、ただちに嫌疑を掛けるべき！」という訴えかけが醍醐味となるのだが、シナリオ面で広がりを見せず、不安に駆られている一般市民の描写もほとんど出てこない。従って、狭いコミュニティの小さな物語にしか見えない。

だが、その一方で、主人公が犯人を追い詰めていく過程と、主人公の妹が標的にされてからの畳み掛けがエクセレント。聾唖者という難しい役どころを演じる、ジェニファー・ジェイソン・リーの存在感が冴え渡っている。