〖1940年代映画：歌謡映画：松竹〗
1942年製作で、ラジオの国民歌謡として作られた『愛国の花』のヒットを受けて製作された歌謡映画らしい⁉️

2023年2,165本目

• #2023年鑑賞
• #1942年製作
• #歌謡映画
• #松竹

イエスの言葉「右の頬を打たれれば、左の頬を差し出しなさい」の他人の心に寄り添う理想社会を、縄文時代から培われた秩序ある日本の原風景に置き換えた様な佐々木啓祐監督の松竹大船調家庭劇の佳作。インドネシアで「ブンガ・サクラ」と親しまれた福田正夫作詞小関裕而作曲の渡辺はま子の国民歌謡を映画化した作品だが、赤十字病院看護婦木暮実千代が戦地で、父関操が娘の婚約者と目論んだが一歩及ばず、恋破れた兄の親友佐野周二を献身的に看護し失明の危機を免れる。なお、テストパイロットで事故死した兄の妻女学校教員若水絹子の、理性を弁えた助言と立ち振る舞いの見事さが清々しい。

たしかに愛國の花…
婚約者には自分よりも相応しい人がいる、自分は譲るべきではないかしら…と考える娘さん。そんな優しい心の娘さんがあの人の相手なら…と諦める決心をするお嬢さん。
登場人物が皆こころ綺麗な大船調。

「女の身で戦場で働けるなんて羨ましいわ」今この映画を観ると…シーンやセリフに時々、ドキリと背筋が寒くなるところ、哀れだと思うところがある。しかし、当時も、先のセリフなどに違和感を持つ人がいたのではないかとも思った。
日本の女性、銃後の女性はこうあるべきという指導映画、そして従軍看護婦のプロパガンダ映画と言える。

さて、墓前でお辞儀するのには驚いた。墓参りの時はしゃがんで手を合わせるのが普通だと思っていた。