福田村事件のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

　政府が朝鮮人虐殺を否定してる現代にこの題材を取り扱う″意義″は多いにある。

　だが、それは別として劇映画としてどうなんだと思うところも多々ある。

　朝鮮人の疑いをかけられてる状況で、朝鮮の扇子を自分から見せびらかすか？

　智一（井浦新）が日和見主義である描写はあるが、妻の静子（田中麗奈）や村長（豊原功補）までもが、虐殺が始まると無言で棒立ち状態になるのは何なんだ？

　さらには、あれほどまで正義感を振りかざしてた女性記者（木竜麻生）さえも、物語中盤で朝鮮人少女が目の前で殺されるのを黙って見てるありさま。

　「虐殺を回避する気あるのか？」「もっと他にもやりようがあったんじゃないか？」と思う余地を残してしまってるため、不条理性が薄れてしまっている。