まるで、小劇場の箱で見ているのか と錯覚してしまうほど作中のロケ地やセットはシンプル。
だがその分、物語と演者さんのお芝居がするすると心に強く刻まれていく。
それってほぼ舞台観劇に近く、しかし、細やかな表情などの演技を見逃さないですむのは映画作品の良さ。
両方のいいとこ取りで
とても豊かな時間を過ごせたなぁ〜、と満足度で心は満ちた。

ちょっとだけ話は逸れて、
この作品を紹介する記事の流れで知ったのだが、2022年で劇団子供鉅人が解散していたのを知る。
映画やドラマでの個々の活躍を見て喜んでいたところだったのもあってかなりショックだった。

ほんと、推しは推せる時に推せ だ

演劇的手法の導入が割りとはっきり吉と出てると感じられたのは自分的には初かもしれない。

2023年現在におけるテレクラの有効性についてはどうしても疑問はあれど、「親の嫌な部分を引き継いでると自覚した瞬間の愕然とした気持ち」は相当普遍性ある。

あと、客6名に対して行われる登壇者3名の上映後トークショーにおける「何か質問無いですか？」で謎に変な汗かいた自分のダメさが浮き彫りとなった格好に。

俺、The日本人だから。

私のような高齢者はあれを「鼻歌」というのだが…。

だから「ハミングやめて（やめろ）」の台詞は最後までしっくりこなかったなあ。
全国的に全世代的に「ハミング」の意味はこれで合ってるんですね？　じゃ私が改めます。

ところで。
今年はヨーロッパ企画の『リバー流れないでよ』が圧倒的に楽しかったのですが､いやいや劇団子供鉅人（去年解散なさったそうですが）もめちゃくちゃ良いじゃないですか！

鼻歌（敢えてそう言わせていただきます）歌わなきゃやってられない主人公が「一皮向けなきゃ」感で足掻きまくる80分弱（ちょうど良い尺！）。

幻灯劇場の松本真依さんがリアリティ満載で、芝居のステージにほぼ限定したセットとの相性もやたら良く。

『リバー〜』が実在の貴船の旅館を使いまくったように此処では黒く塗りつぶされた舞台が使いまくられ。

ステージ上の簡素なセットだけなのに音と光とクロースアップで見事に映画にしてしまった西岡眞博・益山貴司コンビのテクニックに酔いました。

舞台演劇の映画化として一つの大きな成功例かと思います。