20数年前、追われるように故郷を後にし、わだかまりを持っていた男性の、結婚式をきっかけとした一日だけの帰省を通して、人と人との間のふれあいや関係性、タミルの田舎の田園風景や寺院、日常生活や結婚式の様子を丹念に映し出したヒューマンドラマ。
ストーリーを通じてイヤなヤツが誰一人として出て来ない、ちょっとした“すれ違い”と優しさに溢れた素敵過ぎる人情噺。
天性の人懐っこさや純粋さを発揮するカールティさんと、そんな太陽の様な陽性キャラを見事に受けきるアルヴィンド・スワーミさんとのアンサンブルが素晴らしい！特にクライマックスの電話でのやりとりのシーン。互いの想いがあちこちに振れるメチャクチャ難しいシーンだっただろうに、そんな複雑な感情の機微を見事なまでに演じ切っていて、観ていて泣けて泣けてしょうがなかった😭。
“インド映画”のジャンルを越えて、大きな大きな“善意”と“無償の愛”に包まれる、とても豊かで温かな読後感を味わえる大傑作。

• #2025劇場とらキチ
• #インド魂

インド大映画祭IDE2025inシネマスコーレにて。いま名古屋ではインディアンムービーウィーク2025-2026＠ミッドランドシネマ名古屋空港もやっている。ぶつからないようにできないものか。

それはともかく、この作品はダンスないけど、脚本が素晴らしい。
インドらしく多人数の結婚披露宴で、知らない男性に「兄貴」と呼ばれ、もてなしを受ける。いったい誰なのか聞こうとするも聞けず…という3時間。
見ながら、なりすまし？ひょっとして亡霊？などと推理しつつ、インドの田舎町の風景や人間関係の良さが味わえる。ラストもいい。

『囚人ディリ』のカールティさんのいたずらっ子の様な笑顔。今回は愛されキャラですね。

故郷を失った心の葛藤を繊細に表現したアルヴィンド・スワーミさんとのヒューマンドラマ。
全編に流れる優しくて物悲しい曲と歌声が乾いた心に染み込む良作です。

親戚との遺産相続争いで、生まれ育った家から追われるよう引っ越すアルル一家。
20年後、大人になったアルル(スワーミ)は、従妹の結婚式に招待され辛い思い出の故郷に向う。

式に出ると記憶にない男(カールティ)が親しげに「兄貴」と呼んでつきまとう。相手はコチラを知っているが、名前を思い出せないまま男のペースに合わせて過ごす事になる。

追われた故郷にいる事に懐かしさとわだかまり、怒りと後ろめたさが募るアルルの感情。そこに天性の人の良さと笑顔でぐいぐいと心に入ってくるカールティさんの演技は秀逸。

ラストでこの「誰か分からない男」との関係がわかり、全ての符合に至る時間がたいせつに大切に描かれています。

『'96』 のC.プレーム・クマール監督












【余韻】+ネタバレ⚠️スルーして下さい…。


泣いた泣いた…翌朝起きて思い出しても涙が出てくる。全てのシーンが鮮明に思い出される。NETFLIX英語字幕で見返してまた泣く。

特に結婚する従妹の足に贈り物のアンクレットを着けてあげる何気ないシークエンスの表現は今年一番と思える名シーン。

従妹が去ってしまった従兄を想い、幼かった従妹が成長し花嫁となった姿を監督は切なくスローモーションで観ているかのように丁寧に見せてくる。
このアルルの優しさがメイヤラガン＝美しき魂を持つ人の意味合いもあるんだなぁ。

ソック叔父さんとアルルのお父さんとのやり取りも泣ける。
でもネトフリのは牛の警官とラストの古代寺院に赴くシーンがカットされてた気がする…。




劇中タミルで栄えた古代チョーラ朝とパーンディア朝期の朽ち果てた寺院をお参りするカールティさん。
古代の戦に思いを馳せる男は、お前もしかしてPS-1のデーヴァンの生まれ変わり？と突っ込みたくなる。

キーアイテムの自転車にWWEのアンダーテイカーのシールが貼ってあって爆笑。なだも大昔にアンダーテイカーのコスプレしたなぁ。サマースラム'93を米国まで観に行ったよ…。
WWEもインドとかで放送してたのね。

• #なだとインド映画