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Sirat(原題)
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『Sirat(原題)』に投稿された感想・評価

Omizu
3.6
【第78回カンヌ映画祭 審査員賞】
『ファイアー・ウィル・カム』で一躍注目を浴びたオリヴァー・ラクセ監督の新作。カンヌ映画祭コンペに出品され審査員賞を受賞した。

戦争の残り香を背景に娘を探す主人公の旅を描くロードムービー。本作は何よりもまず音の映画だ。荒れ地に設置されたスピーカーから響く音楽、そのセンスの良さは印象的。

前作に引き続き静かな語り口ながら時折驚きの展開を見せる。フィリオ監督に少し近いものを感じたが、彼よりももっとアート的。音を効果的に配した演出手腕は見事。

ただ、乗りきれない部分があったのも事実だ。そもそも『ファイアー・ウィル・カム』がそんなにいいとは思っていない僕にとっては合わないのかもしれない。

クオリティの高さは折り紙付きだし、作家性がよく出た独特の作品には違いない。しかしなんとなく静かすぎるというか、アートの純度が高すぎるように思えた。

評価が高いのは頷けるし、他とは全く違うオリジナリティ溢れる作品になっていて面白いには面白い。ただ自分にはあまり合わない作品だった。東京国際映画祭で上映されるので再見したいところ。
[スペイン、それは天国と地獄を結ぶ橋] 80点

傑作。2025年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。オリベル・ラシェ長編三作目。モロッコ南部の砂漠で、レイヴ音楽のライブが開催される。参加者が思い思いに身体を動かす中に、所在なさげに周囲を見回す親子がいた。彼らは5カ月間も行方不明になっている長女マールを探しているルイスとエステバンだ。やがて会場がモロッコ軍によって解体されると、別の会場を探すと言っていた一行が列から外れ、親子はこの一行のトラックを追いかけて砂漠を放浪する旅に出る。本当に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』である。親子の乗るミニバンは砂漠走行に適していないし、ルイスはあまりレイヴ音楽への理解も深くなく、一行のメンバーをあまり信用していないが、エステバンはすぐに彼らの中に溶け込んでいく云々。冒頭のライブの参加者は、解散命令を出した軍人が"EU市民はこっち!"と指示をしていたことを鑑みると欧州からの参加者が多いようだ。抜け出した一行も基本的にはスペイン語か英語で喋っているので、地元の人間ではないのだろう。モロッコ南部の砂漠というと西サハラとも近く、当地では隣接するモロッコとモーリタニア、そして独立を目指すポリサリオ戦線が戦いを続けてきた。西サハラを南北に貫く通称"砂の壁"はモロッコとモーリタニアの支配領域を勝手に分けたもので、侵入を防ぐために地雷が大量に埋まっているらしい。欧州から来たライブ参加者はそんなこと全く知らないだろうし、まして娘を探しに来ただけの親子には全く関係ないことだ…という白人の植民者仕草が映画から垣間見える。"レイヴ音楽は聴くためではなく踊るための音楽だ"という一行メンバーの言葉も、どこかを目指して車を進めるという場当たり的な物語も、現地の政治性を無視した傲慢さを感じさせる。しかし、彼らも現地の軍に解散させられているし、途中で放棄された前哨基地に行き当たるなど、徐々に不穏な空気が増していき、現地の政治性を無視できなくなっていく。これらがある瞬間に交錯するのが実に見事。本作品は移動を続けるだけの映画だが、冒頭のライブからずっとタスクが中断(≒宙吊り)されたまま、その中断された項目が増え続けるというのも見事。白人たちの"中断(≒宙吊り)"と、当地の"中断(≒宙吊り)"が重なり合っていくのだ。

"Sirāt"とは天国と地獄を結ぶ細くて鋭い橋のことらしい。たしかに、道はどんどん狭くなっていって遂にはトラックも通れなくなってしまうわけで、彼らが旅しているのはその橋の上なのかもしれない(これも"宙吊り"のモチーフである)。ちなみに、あの電車を観て『美しき仕事』をふと思い出したんだが、見返してみると普通に乗り合いバスみたいなのに乗ってて草でした。
4.7
数ヶ月前にレイヴに向かい行方不明になった娘を探しに父と息子が砂漠で行われるレイヴ会場に向かうお話

レイヴ/砂漠/死の独立した三つのイメージが「戦争の記憶」によって結集するまで。父と息子が行方不明になった娘を探すという「家族」の物語と道中に出会ったレイヴを主催する者達との交流という「友情」の物語をベースにレイヴの音楽を乗せながら、観客を巻き込んだ形で進んでいくアトラクション型の映画体験は純粋に楽しく面白い。非現実的で陶酔的なレイヴミュージックを用いながら描かれるのは対称的な現実の営みであり、道路でのスタックやガソリン不足、そして突然の残酷な「死」のイメージによって圧倒的質量を持った現実が襲いかかってくる。非政治的な「家族」「友情」とレイヴの物語は政治的文脈が眠った土地によって捻じ曲げられ、広大な砂漠の前にただ立ち尽くすしかない……

この映画を未だにどう受け止めていいのかわからないが体験型映画としては確かに素晴らしく、特に終盤で行われる人物の行動を接写しながら追ったフォローショットは息を詰まらせる程に見事と言うしかない。テクノサウンドが徐々に身体に浸透し「踊らされる」までを捉えたショットとその後の一連の流れは声を出してしまう程に衝撃的で、この場面を体験するだけでも映画館で観るべき映画と言えるかもしれない。面白かった!