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ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かうの作品紹介

ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かうのあらすじ

すべては 2016 年に沖縄県が開いた会見から始まった。「県民 45 万人に供給する水道の水に化学物質 PFAS が含まれていた」 ̶との発表を受けて、 多くの人々の反応は「PFAS って何?」というもの。 すぐに関心が高まったわけではなかった。 やがて立ち上がる女性たちも当初は他人事だった。 しかし、 米国ではすでに、 がん、低体重出生…… などの健康影響が確認されていた。 その深刻さに女性たちは気づいていく。「他のお母さんたちにも知らせなきゃ」と、 彼女たちは街頭で涙ながらに訴え、 調査や浄化を求める。 しかし、 沖縄では汚染発覚から 9 年経ってなお、 汚染源の特定すら出来ない。 なぜか!? 汚染源とみられる基地への立ち入り調査を米軍が拒み続けるから。 それでも、 子どもたちのために諦めるわけにはいかないと徒手空拳の闘いを続ける女性たちは国連を目指す。一方、 米国や欧州では PFAS の毒性を重くみて規制の波が押し寄せる。 その波を起こしたのは女性たちだった。こうした国の人々は、 彼女たちの声に耳を傾け、 現実を変えてきた。 日本人は何をしてきたか?

ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かうの監督

平良いずみ

原題
公式サイト
https://unai-pfas.jp/
製作年
2025年
製作国
日本
上映時間
106分
ジャンル
ドキュメンタリー
配給会社
太秦

『ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かう』に投稿された感想・評価

非常に興味深い映画である。全国民が観るべきだろう。

が。

僕は本作を観て、「これはちょっと構成に失敗しているんじゃないか?」と感じてしまった。非常にもったいないように僕には見える。というわけで、まずはその辺りの話から始めようと思う。

本作で扱われているのは「PFAS」(作中では「PFOA」とか色んな表記が出てくるが、この記事では、特に区別の必要がない場面では、「有機フッ素化合物」の名称として「PFAS」を使用する)が扱われている。恐らく、ニュースなどで報じられて目にした記憶もあるという人もいるんじゃないかと思う。

これは、「水道水(に限らないが)に含まれている化学物質」であり、腎臓がんや幼児の生育不全などとはかなり高い関連性が示されている(まだそこまで高い関連が示されているわけではない病気も色々と挙げられていた)。特に、妊娠中の母親が体内にPFASを取り込むと、子宮内の胎児がかなり多く取り込んでしまうらしく、実際、とある事情(すぐ後で触れる)のせいでPFAS汚染がかなり酷い沖縄では、「低体重のまま生まれる子ども」の割合が全国でワースト1だそうだ。また本作では、アメリカやドイツ、イタリアなどの事例も取り上げているのだが、「PFAS汚染が原因と推定される状況で、近隣住民にガンが多発している」みたいな状況も描かれる。アメリカのミネソタ州では、アマラ・ストランディという女性が立ち上がり、結果として「世界一厳しいPFAS規制法」(通称「アマラ法」)が制定されるに至ったのだが、彼女は15歳でガンと診断され、確か20歳ぐらいで亡くなったのだと思う。

さて、今書いてきたことだけでも、「かなりマズい問題だ」と認識出来るのではないかと思う。化学物質によって汚染された土壌などから地下水にPFASが染み込み、そこから水道水へと流れ着く。PFASは無色透明で臭いとかもないはずなので、「自分がPFASを摂取してしまっていること」には気づきようがないのだ。「自分ももしかしたらPFASに汚染された水を飲んでいるかもしれない」のである。本作には、この問題を長く取材しているジョン。ミッチェルというジャーナリストが登場するのだが、彼はある講演の中で、「私はこれまで核被爆や公害など様々な問題を取材してきましたが、このPFASの問題は間違いなく、最も深刻で広範囲に影響が及ぶものだ」と指摘していた。

というわけでこれは、誰にでも関わり得るかなり大きな問題だと思うのだが、本作を観ると、「基地問題を有する土地(主に沖縄県)の女性が抱える問題」みたいに感じられてしまうだろうと思う。この「見え方」はっちょっともったいないなぁと思う。

まず、本作では外国の事例も多々紹介され、それらは「デュポン」「3M」「MITENI」などの「民間の化学企業」による汚染の問題である。本作にはロブ・ビロットという弁護士が登場するのだが、彼は「世界で初めてPFAS汚染を明らかにした人物」であり、その活躍は、『ダーク・ウォーターズ』という映画にもなっている。これが、世界的超巨大化学企業「デュポン社」の問題であり、その後の調査で、これら民間企業が1970年代頃からPFASの危険性を認識していた、みたいなことが紹介される。

また本作では扱われないが、日本でも「民間の化学工場によるPFAS汚染」が報じられていたように思う。「PFAS 日本 化学工場」で調べると色んな記事が出てくるので調べてみてほしい。つまりこれは、「どこにでも起こり得る問題」なのである。

にも拘らず本作では、日本の事例としてはほぼ「米軍基地が汚染源」という話ばかりになっていた(岡山県の吉備中央町円城地区の事例も取り上げられていたが)。横田基地も含め、「米軍が使用している泡消火薬剤に含まれるPFASが汚染源である」という話になるのである。

もちろん、米軍が汚染源なのはその通りだろうし(ただ米軍は、立ち入り調査を拒んでいるので、証明はされていない)、それは大問題である。しかし、本作での取り上げられ方を見ると、「そうかそうか、日本だと米軍基地があるところが危険で、だから自分のところはそんな問題はなさそうだな」みたいに感じる人も出てくると思う。

沖縄に住む人たちが米軍基地を問題にしたいことはもちろん重々理解しているつもりだ。そしてそれは、決して沖縄に住む人たちだけの問題ではなく、日本全体の問題だということももちろん分かっている。が、現実問題としてやはり、「(沖縄の)基地問題」に関心を持つ人はどうしても多くはないはずだ。そのこと自体も問題ではあるのだが、そのことと「PFASの問題」は切り分けて考える必要があると僕は思う。

つまり、「PFASは基地問題なんです。皆さん声を上げて下さい!」じゃなくて、「PFASはあなたの地域でも問題になっているかもしれません。皆さん声を上げましょう!」という方がいいに決まっている、という話である。

これに関連して、本作を観て僕が驚かされたのは、「日本は『安全な水』の基準をこれまで示してこなかった」という話である。本作では、日本で検出されたPFASの値が表示され、そこに加えて「米国規制値の◯倍」という表記も出るのだが、これは要するに「日本には規制値が存在しない」という意味だろう。米軍基地のある横須賀でPFASの活動をしている人の発言の中に、「日本の暫定基準の222倍」みたいな発言があったと思うが、日本ではこのように「安全な水」は数値定義されていないのである。

で、さらに驚かされたことがある。2024年、環境省はようやくこの基準の策定に乗り出したそうなのだが、その過程で驚くべきことが起こっていた。なんと、「PFAS論文の7割が差し替えられていた」というのだ。PFASの基準を決めるのに、当初257の文献が指定されたそうなのだが、その内の7割ほどに当たる190本の論文が差し替えられたのだという。理由は分からないし、その影響がどう及んだかも不明である。しかし、結果として環境表が策定した基準は、アメリカの基準(と言ってた気がする)の「PFOSは200倍」「PFOAは660倍」も緩いのだという。つまり、「アメリカ基準の200倍(660倍)のPFASを体内に取り込んでも問題ない」という基準を示したというわけだ。そんな乖離した基準、あり得るだろうか?

そもそもアメリカでは、ステル・ベイリーという女性が始めた活動が「Fight For Zero」という運動に繋がり、結果として国に「PFAS基準を0に近づける努力をする」という状態にまで持っていったそうなのだ。もちろんこれは、かなり規制を厳しくする方向に動いたというわけだ(ちなみに彼女が住む地域では、「1リットルに70ナノグラム以下なら安全」とされているところ、430万ナノグラムものPFASが検出されたそうだ)。

というわけで話を戻すが、日本では「『安全な水』の基準はようやく定められたが、PFASに関しては世界基準と比べるとユルユル」ということになる。そしてそうだとすれば、実際には結構被害をもたらすようなPFASが含まれていても、「日本の基準では安全です」という話になってしまうかもしれない。こういうことは、多くの人が関心をもたなければまかり通ってしまうことになるわけで、注視が必要だろう。

そしてだからこそ、「米軍基地の問題である」という見え方は、かなり良くないなぁ、という風に感じられてしまった。

そしてさらに本作では、「これは女性の問題である」という見え方にもなっている。そもそもタイトルの「ウナイ」は、沖縄の言葉で「女性たち」という意味だそうだ。僕が観たのは本作の初日で、だから上映後に舞台挨拶もあったのだが、その中で監督は、「今の時代、性別で分けるような時代じゃないことは重々分かっている」と言っていた。まあ、そうなんだろうなと思う。監督は、「PFASについて調べていたら、結果として、声を上げて行動している人たちが女性だった」ということからタイトルも「ウナイ」にしたと話していた。

それは別にいいし、「声を上げて運動を促進させたのが女性だった」という部分をクローズアップするのもいい。

ただ、僕が懸念するのは、「本作で取り上げられる『PFAS汚染の被害者』」が全員女性だったことだ。20歳で亡くなったアマラ・ストランディも、がんを乗り越えて政府に基準値の引き下げを勝ち取ったステル・ベイリーも女性である。また日本における被害の取り上げられ方は、「妊婦の場合、子どもに影響が出る」とか「流産になりがち」というようなものだった。

本作には、「男性の被害者」が登場しないのである。これはとてもマズいと思う。

全然詳しくないので分からないが、もしかしたら「PFASによる病気の発言は女性の方が多い」みたいなことがあるのかもしれない(たぶん無いと思うが)。しかし、万が一そうだとしても、「男性の被害者」も登場させないと、観た人は、「そうか、主に女性に被害が出る問題なんだな」と感じてしまうんじゃないかと思う。

もちろん、本作で中心的な登場人物として取り上げられる沖縄の女性たちは「お腹の中にいた子ども、あるいは生まれてからずっとこの水を飲んでいる子どもが心配だ」という話をする。もちろん、それは当然である。PFASが子宮内の胎児に影響を与えることは間違いないだろう。それはもちろん大問題だし、「子どもの問題」として取り上げれば当然「夫」も関心を抱くわけで、男性の関心も取り込めるとも言える。

しかしやはり、本作は全体的にちょっとそちらの方向に寄りすぎてしまっているように思う。正直、本作だけを観た人は、先程も書いたけど、「女性が罹りやすい病気なんだ」と受け取ってもおかしくないだろう。もちろん、アメリカの事例などで「父も祖父も弟もがんになった」みたいな話が出てくるから、ちゃんと観ていれば「男だって被害を受ける」ことは理解できるが、普通人はそんなにちゃんと情報を記憶しない。全体の印象から「女性の問題なんだな」という捉え方になってしまうことは十分にあり得ると思う。

しかも極め付きは、国連のシーンである。個人的には、ちょっとこのシーンにはびっくりしてしまった。この問題に関心を持ち、後に市議会議員(かな、たぶん)になった女性が、国連まで訴えに行くという場面が収録されているのだが、その際にターゲットにしたのが「女性差別撤廃委員会(CEDAW)」だったのだ。個人的には「え?」と感じた。「PFASの問題って、女性かどうかって関係なくない?」と。

作中では、「8年ぶりに開催が決まった女性差別撤廃委員会」みたいな説明がなされていたので、「彼女たちが『国連に訴えよう』と考えた時に、タイミングよく開催が決まっていたのが女性差別撤廃委員会だった」ということなのかもしれない。まあそうだとすれば許容できるが、もしも彼女たちは、「これは女性差別の問題なんだからここで訴えよう」みたいに狙いを定めていたとすれば、「それはちょっと違うだろう」という気がしてしまう。

繰り返すが、「PFASの問題を取材していたら、声を上げたり活動していたのが女性だったから、その女性たちをカメラで捉えた」というのは別に全然いい。ただ、そういう構成にするのであれば、作中には「これは男性の問題でもあるんですよ」という描写を入れ込んでおかないと、意図せずとも「これは女性の問題なのだ」というメッセージが強くなりすぎてしまうだろう。そのバランスがあまりにも取れていなかったことが、個人的には「ちょっとヤバいんじゃないか」みたいに感じられている。

最初に書いた通り、僕は本作を「全国民が観るべき」だと思っている。しかし、本作の構成のままだと、「問題が矮小化されて伝わってしまうのではないか」という気がしてしまうのだ。恐らくそれは、監督としてもこの問題に取り組んでいる人たちとしても不本意だろう。個人的には、「公開に至るまでの過程で、誰もこういうことを指摘しなかったんだろうか?」と感じてしまったぐらい、僕には結構な「失策」に見えている。

内容としては、日本だけではなく世界の現状を捉え、さらに、監督も沖縄で活動する人も、「自分の身近で起こったから関心を持った」という人たちであり、だから「真剣度」が伝わってくるところも凄く良かったと思う。のだけど、ここまでつらつら書いたような、「基地問題を有する土地(主に沖縄県)の女性が抱える問題」に見えてしまうという点は、結構マズいんじゃないかなと思う。かなり厳しい言い方をしていると自覚しているが、「広く知られてほしい問題を扱っている」が故に、「あーもったいない!」という気持ちが強くなってしまったと理解してほしい。

さてそんなわけで、ここまででも結構いろいろと書いては来たが、他にも色々と気になる話はあるのでそれらに触れていこうと思う。

ちなみにだが、本作の監督がこのPFASの問題を取材し始めたのは、2016年のニュースがきっかけだったそうだ。彼女が住む北谷町の浄水場から、米国規制値の15倍ものPFASが検出されたというのである。その浄水場の水を飲んでいるのは43万人。そしてその原因は、米軍基地からだと推定された。元々米軍基地は、沖縄の水源の上に作られたそうで、だから米軍の活動がダイレクトに水資源に影響を及ぼすのである。

恐らく原因は、米軍が使用している泡消火薬剤であり、米軍基地内の消火訓練地付近の土壌が汚染され、その近くにあった井戸にまでPFASが入り込んだのだろう、ということだった。さらに、先述のジョン・ミッチェルの調査によれば、米軍は2012年に3000リットルもの泡消火薬剤を漏出させたそうで、さらにその後の調査で、2010年から少なくとも8回漏出を起こしているという。

しかしそれらよりもさらに驚かされたのが、このPFASの問題が沖縄で認識されて以降の2021年のことである。米軍はなんと、PFASを含む汚染水を下水道の放出したのだ。米軍は、「日本基準の20倍に薄めてクリーンにした」と発表したのだが、そもそもPFASは分解されるものではなく、どれだけ薄めようがPFASの総量が変わることはない。しかしそれ以上に住民を怒らせたのは、「意図的に放出したこと」である。ミスなどではない。PFASを含んでいると分かっていて、その上で放出したのだ。さすがに、そんなやりたい放題がまかり通るのかおかしいだろう。

この点に関しては、ドイツとの比較が提示されていた。ドイツも日本と同じく敗戦国であり、国内に米軍基地を多く持つ。さらに、同じように米軍基地を汚染源としたPFAS汚染が確認されたのだ。しかしドイツの場合は、基地の立ち入り調査も行われているし、米軍の補償によって水の浄化装置なども取り付けられている。ドイツでは、ドイツの国内法の下で米軍基地が運用されているからだ。

翻って日本では、日米地位協定のせいで、米軍基地では日本の法律が適用されないということになっている。ドイツが不平等な取り決めを長い時間を掛けて是正してこれたのだから、日本がそうなれていないのはやはり、過去の政治家がアホだったからということなんだと思うが(もちろん政治家のせいだけではなく国民全体の責任だが)、この凄まじい違いは一体なんなんだろうな、と感じた。

さて、作中では、「沖縄でのPFAS汚染はいつから始まっていたのか?」という話になる。普通に考えて、そんなこと分からないだろうと思うが、作中では、「医療機関に保管されていた50年前の血液を調べる」という展開になる。PFASは分解しないのだから、50年前の血液中にも当時と同じだけの量がそのまま残っているはずだというわけだ。その結果、PFOSの値が平均で45.6ナノグラム、最大で105.7ナノグラムだったという。アメリカの専門機関が、「健康であると言える血中のPFAS濃度」を算定しており、それが「20ナノグラム(1ミリリットル中)」である。50年前の血液から検出されたPFASはこの基準を上回っており、そしてその原因は恐らく水道水だろう、と示唆されていた。

で、米軍はもちろんPFASの危険性を理解していた。本作には様々な場面で「英語の報告書の画像」が出てくるのだが、米軍に関しても、「1970年代80年代には実験が行われ、危険性が認識されていた」ことを示す資料が存在するようだ。しかしデュポン社や3Mのような民間企業と同様、米軍もまた、その危険性を認識しながら放置していたのである。

みたいな情報が色々と詰め込まれており、内容としては実に興味深かった。本当に危険だなと思う。ネットで調べてみたら、NHKが作成している「水道水のPFAS検出状況マップ」というのを見つけた。2024年9月末までのデータらしいが参考にするといいだろう。ちなみに、「暫定目標値」として「1リットル辺り50ナノグラム」という数値が示されているが、先述した通り、この数値は恐らく、世界基準と比べて「緩い」ものはずだ。だから、「暫定目標値」以下だからと言って安心できるかは分からない。また、作中に登場した専門家は、「PFASは活性炭でほぼ取り除ける」と話していたので、浄水場がそのような対策をしていれば、また状況も変わっていると思う。

https://www3.nhk.or.jp/news/tokushu/20241201/pfasmap_water/?year=2024#6.99/36.243/139.186

最後に。個人的に印象的だったのが、国連での訴えを終えた面々が政府にその報告(とさらなる訴え)をした際のことだ。各担当者が、「PFASの影響力はまだ分かっていない」みたいな返答をしていたのだが、それは「国が大規模な血液検査や健康調査を行っていない」からだろう。というか、「影響力はまだ分からない」という返答を続けたいがためにそのような検査・調査を行っていない、と考えるべきだろうか。あと、厚労省の担当者だったと思うのだけど、「健康に影響はない」みたいな発言をしていて、「マジかよ」と思った。勝手な憶測だが、どこかから圧力とか掛かってるんじゃないか、と疑いたくなるような答弁だった。
米軍基地から垂れ流されている汚染物質PFASによって自分たちが利用する水道水が汚染されていると知った母親が立ち上がり、仲間が集まり、社会を動かしていく…

PFASについては恥ずかしながら今作を観るまでは知らないことだらけだった。
レイチェル・カーソン『沈黙の春』が出版されてから結構な年月が経つのに汚染物質の問題がまだまだ続いていることに頭がクラクラする。しかし、絶望することなく事態を良くしようと動く女性たちの姿は光だよ!

それにしても沖縄が厄介なのは事あるごとに日米地位協定が立ちふさがること。
 @試写
 『黒川の女たち』が戦後80年を経て戦時性暴力から女性たちが尊厳とともに取り戻した笑顔に象徴される作品だとしたら、こちらは女たちの泣き顔の映画であり、現在進行形、否、その深刻さが広がっていくだろう未来形の問題だ。

 元沖縄テレビキャスターの監督が、2016年、水道水にPFAS・有機フッ素化合物が含まれていること(汚染源は泡消火剤を恒常的に使用してきた米軍基地内にある蓋然性が高いが、未だ調査すら行われていない)が発表され、「生まれたばかりの息子に水道水でつくったミルクを与えていた私は、こう思ったのです−−−−『絶対、許さない』」。

 PFAS問題を知って立候補した新人女性町議会議員たち、米国で7万人の血液検査を実施させた女性、ガンとの苦しい闘病中に議会などで訴えてPFASを全面禁止する州法のきっかけとなった少女の家族など、演説でもインタビューでも彼女たちは思わず涙ぐむ。

 そんなふうに〝感情的〟になることは決して恥ずかしいことでも大人げないことでもない。逆に映画の終盤、ジュネーブで開かれた国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)のロビー活動を踏まえての院内集会で、擦り切れた木偶みたく木で鼻をくくった回答しかしない政府官僚たちと比べれば、彼女たちの涙はまさに貴重な人間性の証拠に他ならない。

 米国で汚染源となったのはデュポン社(2019年にトッド・ヘインズ監督『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が怖れた男』として映画化)や3Mといった有名大企業。本作で取材しているイタリア・ヴェネト州で汚染源となった工場は潰れたが、親会社は三菱商事。 

 「永遠の化学物質」と呼ばれるPFASは活性炭で除去できるという。だが、高濃度のPFAS汚染が検出された岡山・吉備中央町の場合は、山中に不法投棄された活性炭のフレコンバッグが汚染源だった−−−−。

 水銀汚染による水俣病問題と同様の歴史がまさしく現在、地球規模で再現中???