フランソワ・トリュフォー監督、ジャンヌ・モロー主演の恋愛ドラマ。
「愛してると男は言った。待ってと女は言った。抱いてと女は言いかけた。うるさいと男は言った。」
第一次世界大戦を跨ぐ、三角関係(+1)のフレンチメロドラマ。文学好きで繋がった男友達ジュールとジムが、二人の前に現れた美しい女性カトリーヌに心ときめき、振り回され続ける。
女優ジャンヌ・モローの魅力を存分に堪能し、フランス人の恋愛・結婚観を感じ取る映画。女心と秋の空であり、男心と秋の空でもある。
愛人、浮気、不倫。一般的な日本人の感覚からすると、一人の女性を巡るドロドロの愛憎劇になってもおかしくないストーリーだが、フランス人のオープンな恋愛・結婚観が前提となっているからだろう、コミカルでリズミカルな伴奏と共に、さらっと軽快なタッチで描かれていく。
男女共に、純粋に情熱的にストレートに愛を語り合い、年齢や結婚という制度に縛られず、心の向くままに恋愛を愉しむ。集団の和ではなく、個人の自立と自由を尊重するフランス人の生き方に惹かれる所もある。
口髭を書いたジャンヌ・モローが、ジュールとジムと3人で、鉄橋で競走するシーンが印象深い。後の衝撃的な展開の伏線にもなっていた。
ジャンヌ・モローが彼女視点で三角関係を歌うシーンも心に残った。女神の石像に重ね合わされた美しい横顔と、心を溶かすような歌声に魅了された。
個性的なトランジションやモンタージュ、自転車シーンの長回しショットなど、ヌーベル・バーグっぽい映像表現もちらほら見られた。
🍺🍷
「心から心へ移る愛は、苦しみを生む」
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