『シリアル・ママ』
原題Serial Mam
製作年1994年上映時間95分。

巷に溢れるイカれた輩に怒りのイカれた？鉄槌を降り下ろし、殺人を繰り返す良き家庭の平凡な主婦の姿を通して、現代人の心理に潜む抑圧と怒りと殺人衝動をグリグリ鋭くえぐるどちらがイカれてんのかわからないブラックユーモアに満ちた米国ホーム・ドラマ。
ドラマは実録形式で描かれてて、米国における犯罪とメディアの関係、裁判や死刑問題に対する風刺も痛烈。

米国のありふれた郊外の閑静な住宅街。
そこに暮らしとるビバリーは、歯科医の夫と二人の子供を持つ、心優しい理想的な主婦。
しか～し、ゴミを分別しいひん、レンタルビデオを巻き戻さずに返却する見たいな(今じゃないけど)といった人の道に反するかどうかはわからんけど、そないなビバリー個人の定規にハズレたヤツは許すわけにはいかない。。。

カルト映画監督ジョン・ ウォーターズがメリーランド州ボルチモアで実際に起きた連続殺人事件を題材にする。

主人公は歯医者の夫とティーンエージャーの兄妹と暮らす専業主婦で、典型的 な勝ち組白人中産階級の家庭。 豪華な一軒家、 家族がそろう食卓、スキのない丁寧な言葉使い、バー ドウォッチング･･････ 完璧。。。

しかし、キャスリーン・ターナー演じるイカれた主人公ビバリーは殺しを夢見る。
連続殺人犯に関する記事を収集し、死刑囚と文通をする。
放送禁止用語だらけの脅迫状や脅迫電話を友人にかけエクスタシー🥺悦に入る。
妄想は次第に現実と。。。

主婦の役割を果たし切るちゅう重圧が主人公を連続殺人犯に仕立てあげたんかなぁ。
郊外の主婦らしく、丁寧にかつ周到に殺人を犯していく。
殺人じゃないけど、違法死体処理をする主婦を描いた桐野夏生原作の『OUT』でもきっちり仕事してたなぁ。
目的は愛する家族を守ること。
ホラー映画好きな息子に精神病院通いを勧めた教師をひき殺し、旦那とのバードウォッチングを急な診察で台無しにした友人夫妻の夫はエアコン室外機を落として潰し、妻はハサミで刺殺。
さらに娘を振った元ボーイフレンドを火かき棒で突き殺し、息子のバイト先の困った客はラム肉の塊でなぐり殺す。
犯行現場を盗み見た息子の友人もライブハウスのどさくさで焼き殺す。
イカれとるが、それに輪をかけてウォーターズ監督の悪趣味ぶりが冴えわたり、ド・変態で何か楽しい。
イカレているのは彼女じゃない。
社会なんやとも云いたいくらいなんかな。
そもそも正気と狂気なんて表裏一体かもしれへん。
自分自身の弁護を買ってでた彼女は、自分を捕らえた刑事がハードコアなエロ本を所持していることや、脅迫電話を受けたと証言した友人がリサイクル(白人中産家庭のマスト事項 だ)を怠っていることを暴き、陪審員の支持を得る。
あんなに殺した彼女は結局、無罪放免。
自分が『普通』で 原告側が『異常』だと証明し、陪審や聴衆の同情を得ることに成功した。
朝食と連続殺人を掛けた『シリアル・ママ』という名のブランド化し、裁判の傍聴人は 息子や娘が売りだした暴露本やTシャツに群がる。
狂気と正気が共存するこの街で、ママは今日もほほ笑みながらショッピングモールに買い物に行くのだ。

ブラックコメディの最高傑作。普段は陽気なママがルールやマナーを守らないやつや家族をコケにするやつに死の鉄槌を下す様が過激ではあるものの痛快すぎてスカッとすること間違いなし。むしゃくしゃするときに観てほしい作品。

“気を付けろ、完全に狂ってる。”

ジョン・ウォーターズ監督によるハイセンスブラックユーモアサイコパススリラー。冒頭から90年代の名作映画感だしてくるところがすでにヤバイし、シリアルママのスイッチ入る時の顔が好きすぎてずっと笑ってた（笑）。

カルト的な人気があるけどそれもよく分かるくらいにはテンポが良しい、最後の終わり方も最高。殺人の動機が全然理解できないし、警察に追われても全然焦らないところとか本当のサイコパスっぽくて、そのカリスマ性に家族やマスコミも味方にしてしまう感じが皮肉効いていて良い（笑）。これは趣味悪いって言われてもオススメしたい一本。

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