備忘録

ダイエットのために職場からジョギング。初日はタクシーで帰ってきたけど毎日走っていたら楽しくなっちゃう40女のジョアンウッドワードがついにボストンマラソンに出場することに。みているこっちももうすでに嬉しい。離婚して思春期の女児ふたりと暮らす教師ウッドワード。お風呂で髪切るシーンもいいし、昼間は犬に吠えられるし夜はチンピラにからかわれるし、ついには見知らぬ男に襲われたり。家族のハプニング、職場の親友やご近所エピソード、車椅子の絵描きの親父のバーナードヒューズがまたイイ感じの絵を描いてんの。当日はプレゼントされたTシャツ着て青に黄色スウィッシュはいったコルテッツでキメたウッドワード、もちろん中年女の走りはモサいけど、転んで出血でボロボロだけど、その間にも家族や友人が応援してくれる。マラソン大会とっくにおわって夜になってるけど、いつもからかってたチンピラたちも加わって胸いっぱい。もともとポールニューマンが演出する予定だったとかどこかに書いていたけどへフロン演出もちろん素晴らしいです。

ダイエット目的から走ることそのものの楽しさに目覚めるジョアン・ウッドワード。TVMだからか切り返しが多めだが、役者を信頼し切ったカメラが捉える演者の表情の良さが心地よい。荷物を抱えた足取り重い移動がいつの間にか軽やかな足運びに変化している良さ。

走りは基本トラッキングで撮られるけど、初めて夜中に走る場面は無人の街角での準備運動を引きの画で捉え心細さを演出し、フレームインするランナーや主観ショットで不安を煽り、ストーキングする車から逃げる瞬間の身体のよろめきは固定で撮る。サスペンスから運動への切替りの巧みさ。身体のよろめきをフルショットで捉えることはクライマックスでも反復される。差異があるのは、この場所にこれまでの登場人物が集結し、ジョアン・ウッドワードを見守っていること。夜の場面でヤジを飛ばしていたチンピラ三人がウッドワードに立ち上がるように叫びかけるのはベタだが泣ける。