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ゴースト・トロピック

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ゴースト・トロピック

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ゴースト・トロピックの作品紹介

ゴースト・トロピックのあらすじ

2月2日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国ロードショー

ゴースト・トロピックの監督

バス・ドゥヴォス

原題
Ghost Tropic
製作年
2019年
製作国・地域
ベルギー、オランダ
上映時間
84分
ジャンル
ドラマ
配給会社
サニーフィルム

『ゴースト・トロピック』に投稿された感想・評価

4.7
【真夜中の一期一会】

バス・ドゥヴォス監督の2019年の作品

〈あらすじ〉
58歳のイスラム系移民の女性ハディージャは、長い一日の仕事を終えた疲労から、帰りの最終電車の中で眠りに落ちてしまう。終点で目を覚ました彼女は、もはや自宅のある街まで戻る交通手段もお金もが無い。選択肢を失った彼女は、寒風が吹きすさぶ真夜中のブリュッセルを歩いて帰ることを決意する…。

〈所感〉
なんとなく深夜に見たい作品だったので鑑賞。最終電車を乗り過ごした清掃員の女性が、真夜中のベルギー・ブリュッセルを舞台に、徒歩で帰宅する一夜の旅路を描いたヒューマンドラマ。オープニングの室内の長回しと緩慢なモノローグから、これはだいぶ眠気が唆られそうな映画だぞ…と覚悟していたが、案の定何度か船を漕いでしまった。でも、画面は殆どと言っていい程変わってなくて、それがどこか心地良かった。店や病院側からしたらだいぶ厄介客なんだけどね。タイトルの『ゴースト・トロピック』の意味がよくわからず考えていた。主人公の中年女性ハディージャはイスラム系移民の掃除婦であり、世間からは社会の片隅で生きる幽霊のように透明な存在として普段から扱われていたのだろうが、ハディージャの行く先々にも彼女のような誰からも気付かれない(または気付かれない振りをされている)辺境の幽霊のような人々がいて、そんなゴースト達との一期一会の小さな出会いと微かな触れ合いは、なんとなく彼女らもここに居ていいんだよ、と呼びかけられているようで、静かな熱帯の異国空間を感じさせられた。「でももし突然、赤の他人がこの部屋に入ってきたら、その人は何を見て、何を思うだろう」という台詞があったが、最初は誰もいない無機質な部屋に見えても、それは確かに誰かが掃除し、手入れをして維持してきた「暮らしの場」なのだ。その空間はある人の人生がびっしりと埋まっている。だから、オープニングとエンディングで映されるのは同じ部屋なのに、物語を見た後だと、ただの絨毯やキャビネットが生きた家具として目に映る。そういった静かだけど確かにここにいる存在、幽霊への温かく優しい眼差しが感じさせられる一作でした。84分と短い作品なので、眠れない夜とかに日の出を待つお供としてオススメです🙂

"この空間を私たちの人生で埋める。骨の折れる大仕事だ。私が知る中で一番辛い仕事。この空間を見ると、この大切な苦労が見える"

《2026年 688本目》
4.0
夜は短し・・・(ง ˙˘˙ )ว

ある掃除婦の一夜の小さな物語
マグレブ系移民、58歳のハディージャは、夜遅くまでオフィスビルの清掃をしたあと、終電で寝過ごしてしまい、終点で目を覚ます。ヾ(・ω・`;))ノ
子どもに電話をかけ自宅まで歩いて帰ることに。

起こることだけを並べれば、それだけの話。
大きな事件も、劇的などんでん返しもない。
けれどこの映画は、その「それだけ」の一夜のなかに、思っていた以上にたくさんのものを潜ませる。


タイトルからは少しオカルトめいたものを想像していた。
だが今作はいわゆる幽霊話ではない。
そこにいるのに見えていない人たち、支えているのに輪郭を与えられない人たちを、浮かび上がらせる映画だった。


今作の補助線として・・・
ベルギーとマグレブ系移民の関係の歴史を知っておくといいのかもしれない。
「マグレブ(Maghreb)」は、アラビア語で「日の没する地(西方)」を意味するアラブ・イスラム文化圏の西端に位置する、北アフリカの地域の総称。
モロッコ、アルジェリア、チュニジアあたりを思い浮かべると分かりやすい。

戦後、ベルギーは1964年にモロッコと移民協定を結び、その後、多くのモロッコ系労働者を受け入れてきた。
彼らは炭鉱だけでなく、繊維や金属産業などでも働き、戦後ベルギー社会を支える重要な労働力になった。

つまり、ハディージャのような人物は単なる「移民の女性」ではなく、この国の現在を支えてきた歴史の延長線上にいる存在として見ることができる。


しかも舞台は首都ブリュッセル
いまのブリュッセル首都圏では、ベルギー国籍ではない住民の比率が高く、2025年時点で約4割が外国籍、そのうち14%がEU外の国籍だという。
もちろん国籍だけでは出自は測れないし、すでにベルギー国籍を取得している人も多いはずだが、それでもこの街が移民抜きには語れない都市であることは分かる。

今作がマグレブ系移民で小柄なムスリムの中年女性が主人公であることは、特殊な設定ではなく、ブリュッセルという都市そのものの現実に根ざしているのだと思う。



そういう補助線を引いて観ると、この映画の描きたいことが少し見えてくるように思う

ハディージャは、かつては金持ちの個人宅で住み込み家政婦のように働いていたという。
けれど今は企業ビルの清掃員として、大きなフロアを掃除する機械を動かしている。
個人に仕える家内労働から、組織のなかの匿名的な労働へ。
いちおうは近代化された形なのだろうけれど、その一方で、その仕事は以前よりもずっと交換可能で、代替可能にも見える。
小柄な彼女には不釣合いなデカい清掃機械を見ていると、これもいずれ全自動化されて、彼女たちの仕事はさらに見えなくなっていくのではないか、という気配まで漂っている。


静かなのに、ずっと考えてしまう。
真夜中、散歩しながら考え事をするように。

この街を支えてきた人は誰なのか。
その人たちは、いま街のどこにいるのか。
整えられた都市の表面を当然のように使う次の世代は、その土台をどれだけ意識しているのか。
そんなことを、じわじわと考えさせられた。
好きな映画でした。


ネタバレあーだこーだ考察
https://note.com/chinaco_cinema/n/na7629cf77ec5?sub_rt=share_sb
桃龍
3.5
隣のオッサンは開始1分でうつむいて寝始め、列車を乗り過ごした主人公と同じタイミングで起きた(笑)。その後また寝ていたが、気持ちは分かる。
ゴースト・トロピックというのは原題どおりだが、幽霊は出てこない。ラストシーンはトロピカルだけど意味不明。

まぁ、そういう見方をする作品じゃないのは分かる。
なにも起きないことを鑑賞する映画と言おうか。
ユベントススタジアムでアウェイのレアル側の席にいたら防犯面から退場に時間がかかって交通機関がなくなり、トリノ中心部まで歩いたときの気持ちを思い出した。
心細いだけじゃなく、ちょっと冒険心が芽生えたんだよね。

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