アルフレッド・ヒッチコック監督の1960年公開の同名作品をガス・バン・サント監督がリメイクした作品。
脚本はジョセフ・ステファノが作成したオリジナルと同じ。
オープニングから劇中のセリフやショットもオリジナルとほぼ同じ。
オリジナルと異なるのは、時代設定が1998年に変更されたことと、顧客から預かった金額が、オリジナルでは4万ドルでしたが、本作品では40万ドルになったことくらい。
オリジナルを観た時は、当時の貨幣価値がわからずにピンときませんでしたが、そういう額だったのですね。
ヒロインは旧作も本作品もショートカットの髪型ですが、時代によってショートも変わるのが興味深い。
確かに1960年にはこの髪型は無いよね。

いずれにしてもオリジナルと違う所を見つけるのも面白い。
ぜひオリジナルとセットで観て貰いたい作品です。
というよりもモニター二つ並べて一緒に観たいくらいです！

1960年の映画『サイコ』のリメイク作品


ストーリー
不動産会社に勤める女は、慰謝料の支払いに追われて再婚を渋る恋人との関係に悩み、会社の金を持ち逃げしてしまう。彼のもとに車で向かう途中、大雨に見舞われた彼女は、寂れた宿で一夜を明かそうとして、1人で宿を切り盛りする青年と出会う。


主演　アン・ヘッシュ
監督　ガス・ヴァン・サント



アルフレッド・ヒッチコックの「サイコ」と全く同じ脚本、演出、音楽で作られ、撮影順序も同じになるようにスケジュールが組まれ、監督のカメオ出演までも模倣している。
完璧なるリメイク。


本作は批評家、観客ともに全く評価されなかったが、個人的には結構面白い。
脚本は同じなのに現代風で当時ヒッチコックがやりたくてもできなかった技術面の進歩により可能となっている。


何よりもキャスト陣が好きなメンツばかり。
アンヘッシュ、ジュリアンムーア、ヴィンスヴォーン、ヴィゴモーテン。
それに監督が"あの"ガスヴァンサント。
どうしてリメイクしようと思ったのだろう？
しかも、ガスヴァンサントが。

彼らの慌てっぷりとあまり活かし来ていないのが良い。
つまり「サイコ」には有名な役者は必要ないと実証され、それすら見越していたのではないか？とヒッチコックの天才ぶりを思い知らされる。


全体的にエンタメよりで、雰囲気は「マシニスト」的な感じ。
現代でリメイクするとこのような作用があるのかと新発見。

オリジナルが面白いのは周知の事実だが、たまには変わったリメイクも見てみると面白い。

モノクロがカラーになったことと、役者が違うこと以外は、構成もセリフもほぼ同じ。オリジナルは、モノクロならではの不気味さもあって、その雰囲気を演出していたし、新たなキャスティングもしっくりこないものがある。完成度の高い作品のリメイクだけに、複製ではそれを超えるはずもない。

• #見直し映画