円熟期のフェデリコ・フェリーニ監督の衰えることない豊かな発想とチネチッタスタジオの大がかりなセットの魅力が結集した個人的には大好きな大人向けのファンタジー作品。

列車で向かいの席に座った魅力的な女性に誘われるように森の中の“女の館”に迷い込んだマルチェロ・マストロヤンニ演じる初老の男。次から次へと登場する魅惑的な女性たちに翻弄され・・。

一見、フェミニズムをテーマ（もしくは風刺）にした作品に受け取れるが、イタリアでは既に女性の参政権は1945年に確立されているので、個人的な見解では、他のフェリーニ監督作を見れば分かる通り、フェリーニならではの、あらゆる女性に惜しみない賛美を送った作品。また、母系家族を主とするイタリアらしく、終盤で櫓の上に登場する女性の正体が分かれば一目瞭然。

世界観はまさにフェリーニそのもの。お下劣な台詞や胸を露わに主人公に迫る中年女性、能面の仕掛け、アート作品に寄せながらも明白なる電動バイブ、主人公の過去の女性遍歴で登場するお尻が大きな女性のデフォルメ等の描写も決して下品には見せないのは流石。

“女の館”改め“フェミニストの館”からビニールハウス、スケート場、暗いトンネル、マスキュリズムの象徴のような博士の邸宅、そして本作の名シーンともなるカーニバルのローラーコースターのような煌びやかな電飾を施された巨大な滑り台へと舞台が変わる流れは流石。チネチッタスタジオに建てられた巨大で監督の想像力豊かな発想ならではの美術セットの数々に目を奪われる。

エンディング間近に登場する巨大な気球のオブジェの素晴らしさと言ったら・・。

一瞬なので見落としがちなシーンだが、巨大なカマキリのシルエットを見せる演出も、その直後の流れで“女性が男を利用した後に食う”という台詞が、より活きる。

描かれる様々な“お祭り騒ぎ”の背景に流れる音楽がサーカスっぽいのも、やはりフェリーニ。てっきり、ニーノ・ロータ作曲かと思いきや本作製作の前年に逝去していたのか。それでも本作の音楽を担当したルイス・バカロフは凄く良い仕事をしていると思う。

鑑賞していただければお気づきいただけるが、お祭り騒ぎの最中でも中盤以降、常にかすかに嵐のような寒々しく孤独感を煽るサウンドが入り、終盤にかけて一層その音が強くなる。

これは、華やかな女性遍歴を重ね今は離婚し独り身となった初老の主人公の心の中の孤独を表しているのか、はたまたフェミニズム作品だと受け取られる視聴者には独立＝孤立を表わしていると感じるのか気になるところ。

最後のシーン。タイトルロールも流れた後に真っ暗なトンネルの先に一筋の光明が見える演出の意図を考察してみるのも楽しい。

今回はレンタルDVDでの鑑賞だが、思った以上に映像が綺麗だったのと、特典映像のトレイラーが、撮影風景なども入ったメイキング版予告だったのに得した感有り。

ずっとわけわかんなくて最高だけどハイな若者とドライブが始まっていきなりマルチェロマストロヤンニがMTVの世界に放り込まれたみたいになるところとか巨根博士の殿堂で嬌声DJになるところとか好きすぎる。トンネルから出てトンネルへ帰っていく存在。

列車の中で乗り合わせた美女を追って途中下車してしまう主人公。だが彼は、ウーマンリヴのメンバーやパンク少女など、次々現れる女たちに翻弄されながら、壮麗な夢の迷宮の中に入っていく……。

世界観が凄く過ぎて正直私はついて行けなかった…。出てくる女性達のクセが強すぎて同じ女性だけど驚きながら鑑賞した😳
私も主人公と同じでどこからで夢でどこまで現実か分からなかった🧐

• #2021年s子が鑑賞したもの
• #2021年s子_5月
• #s子_1980年