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眠れる美女
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『眠れる美女』に投稿された感想・評価

odyss
2.0
【まとまりに欠ける失敗作】

川端康成の有名な短篇小説の映画化。この作品は今まで何度か映画化されていますけれども、吉村公三郎監督によるこの作品が初の映画化でした。原作は1961年、この映画は1968年の発表。

私はこれまで、ドイツとオーストラリアで映画化された2作品は見ていますが、日本人監督による映画は今回が初めてです。

原作は、眠っている全裸の若い女に老人が添い寝して愉しむという設定により、老人のエロスが追求されているわけですが、それだけでは90分の映画を構成するに足りないためか、色々な追加がなされています。
その追加が、必ずしもいい方向に作用していない気がするのです。

主人公の老作家は、友人に教えられて秘密の宿で若い女と添い寝しながら、過去の自分の女性体験を振り返ります。女学生と相思相愛になりながら結ばれなかった体験、人妻を買った体験、などなど。その辺は、まあ男が自分の性体験を総括するという意味でそれなりなのですが、さらに老作家の末娘の縁談がからんでくる。

末娘には求婚者が二人いて、三角関係のまま続いている。老作家の妻(末娘の母)は、男を両天秤に掛けるような付き合い方はよくないと忠告するのですが、娘は平然としています。しかし或る夜、一方の男が実力行使に出る。1960年代は、今と比べてはるかに女性の純潔意識が強かった時代です。処女でない女は結婚に不利。また、実力行使に出た男はもともと結婚を望んでいる。となれば娘はその男と結婚するのか、と思いきや、逆にもう一人の男を選んでしまう。ここのあたりの展開が、今ひとつピンと来ません。

新時代の性意識を表現したつもりなのかも知れませんが、娘の言動を見ていても必ずしも旧道徳への反逆という感じがしない。このエピソードで何を表現したかったのか、よく分からない。

話は戻って、老人の性です。他のエピソードを入れるにしても、この部分を中心にしないと川端の原作を活かしたことにはならないと思うのですが、どうもそこが弱い。主人公に秘密の宿を紹介してくれた友人、そしてやはりこの宿の愛用者である別の友人が、次々と宿の中で死んでいきます。若い全裸の娘のそばで死を迎えるというのは、或る意味、男の理想かも知れません。しかしこのテーマを追求していくのかと思うと、話は上記のような末娘の結婚譚に行ってしまう。老いた主人公がエロスと死の狭間で何事かを発見するというような展開にはついにならないのです。

全体としてまとまりに欠けた、そしてエロスの追求という点でも物足りない作品と評するしかないでしょう。
3.0
時代のものだからいうのも野暮だけどレイパーだからレイパーの気持ち分かる田村さんキモ過ぎた。
ていうかこの田村さんの価値観が異様だからお店の異様さが引き立たなくなってると思うんだけど…。
初井さんの接客がお店を守らんとする緊張感に満ちていて良かったしアクションもアツい。
でもあの屋敷の謎ラストシーンだけでは済まなくない?
川端康成の原作を新藤兼人が脚色、吉村公三郎が監督した。友人に教えられ、老作家は“眠れる美女の家”を訪れた。老人はその傍らで一晩を過ごす。老人は少女を前に、自分の過去を回想する。そして、少女に関わった老人が次々と死ぬ…。

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