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眠れる美女
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目次

『眠れる美女』に投稿された感想・評価

読書と映画が秋を深める⑫

川端康成がキャリア後期に著した中編小説を、ドイツにて映画化。
「すでに男ではなくなった」老人たちの為に開かれた、秘密の宿。その館では、一糸まとわぬ姿のまま深く深く眠らされた乙女の傍らで一夜を過ごす。ある男が、友人から紹介されこの宿を訪れる。

何はなくとも、件の「館」の設計がこのうえない。
この場所が西欧にあったらきっとこうに違いない、と思わせる変換がみごとに果たされている。闇の中に浮かび上がる濃い紅のあやしさ、霊廟のような冷たい静けさに沈んだ死のにおい、そして相反するように寝床の眠れる女が関節や髪のあいだから発散する若さと命のにおい。(※1)

客の老人たちは、既に男性的な機能から遠ざかった「まちがいを起こさない」有閑者たちだという。しかし、原作でも映画でも、主人公のある男はまだそこまで老い切ってはいないことを自負していて、時にどこか挑むような姿勢がある。

しかし確実に迫る死を自覚する中で、男は黙した無垢なからだを観察し、触れるごとに生と死の境界を行き来するようだ。毎夜、彼は妻や娘、過去の情事の相手、そして母…といった、みずからに関わり合った女性たちの記憶を思い返す。その様子はゆるやかな走馬灯ともいえるかもしれない。

そんなかなり観念的な世界に寄った原作に対して、映画版では構成や台詞など原作をかなり無理なく踏襲しつつ、物語映画として幾つかの肉付けがされていて、そのためにより現実的な「ミステリー」的骨格が備わったものになっている。
結末にも変更(追加)が見られ、後に残る印象もまた具体性があるもので、別物といって良い。

それは人物設計にも現れていて、たとえばひとつは主人公の男のバックグラウンドで、映画では妻子を失い、自由になる富はあっても他に趣味もなく鬱々とした重さを抱えている。どこか食えないところのある原作の主人公よりもより解りやすい人間的な哀れみがあり、死への距離が近い。

もう一人、館で客の対応をする婦人についても差異が見て取れる。
主人公の質問や要求に対しのらりくらりと身を躱す職人肌な原作に比べ、映画の婦人からは自らの意志や、場合によっては動揺が明らかに感じられる。主観が彼女に切り替わる場面すらあり、人格をもって男を外部から品定めする存在として置かれているところが興味深い。

なんかこのあたり、なんとも紋切り型な言い方になるけれど「ドイツらしいなあ」とか思ってしまう。こんな秘め事の世界においても、やっぱりマジメなのだ。

原作ではゆらゆら生と死の夢に浮かんでいた主人公の傍らである事件が起こって、幻想を突き放すように終わる。しかし、映画ではさらにその後にステップを踏み、確かな動かしようのない結果を主人公の身に返す。
好みもあるだろうけれど、映画としては悪くない「変換」、原作の咀嚼を経たうえで独自の哲学がうかがえる延長線になっていると思う。

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※1:一点だけ注文をつけるとすれば、「海辺にない」のはちょっと残念だった。普通にベルリンの裏町みたいなところに建っている。川端氏の小説は五感の情報に富んでいて、聴覚パートとして遠くで鳴る波の音が印象的だった。でもまあ、考えてみればドイツって海ほとんどないのか…なんかごめん。キャベツを投げないで。
交通事故で家族を亡くし、天涯孤独の人生を送っている初老の男が、若い娘と添い寝することができる、秘密クラブに入会する。川端康成の同名小説をドイツのスタジオが映像化している、エロティック・ドラマ。筆者は原作を読了済み。

人物設定とラスト部分に脚色が見られるが、物語の骨子は原作に則している。添い寝ルームを「瞑想の場所」に例えて、去勢された「老人の性」を提起。眠っている娘に聖性を見いだしながら、己の人生を反芻していく。

「生き地獄の中で悩み続けることが人生そのもの」とする原作と比べて、本作では宗教的思想の相違を感じさせるオチがついている。異文化圏における「脚色の妙」を感じ取りながら鑑賞することが可能。

一度きりの人生の中に「充足した性」を如何にして取り込んでいくか、という人生哲学。どうせ将来的に独居爺になるのならば、頃合いを見計らってラブドールを迎えればいいのではないかと、つい楽観視してしまう自分がいる。
るい
2.9
老人(主人公)、ぼそぼそぼそぼそメッチャ語るなぁ。

翌朝のマダムが結構塩対応。
そんなマダムがラストで変なエフェクト付きの聖母になって笑ってしまった。

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