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勲章
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『勲章』に投稿された感想・評価

再軍備による復権を目指す元軍人の右翼を徹底的にこき下ろす衝撃作。戦後九年目、自衛隊が発足した1954年に製作公開。監督は「本日休診」(1952)の渋谷実。脚本のメインは橋本忍。俳優座製作。

元陸軍中将だった岡部(小沢栄太郎)は子供二人と義弟の家に居候し肩身の狭い思いをしていた。ある日、軍隊の部下だった寺位(東野英次郎)が訪ねて来て、日本の再軍備促進団体「東亜あけぼの会」の会長になってほしいと頼まれる。いよいよ復権の時が来たと喜んで承諾した岡部は、郷里の山を担保に300万円の活動資金を旧知の金貸・よね(杉村春子)から得て活動を本格化させる。さらに長女ちか子(香川京子)を寺位と結婚させようとするが、工員の二郎(岡田英二)と交際しているちか子は反発。一方、長男で大学生の憲治(佐多啓二)は岡部が大切にしている数々の勲章を持ち出し、入り浸っている妾稼業の浅子(東恵美子)に小遣い代わりに渡してしまう。岡部の活動は一見順調に見えたが、やがて大スキャンダルが発生。その先には大変な悲劇が待ち受けていた。。。

独善的で威圧的に怒鳴りまくる嫌な元軍人像を小沢栄太郎が怪演していた。戦後九年目であり似たような右翼が大勢いる時代に、これだけ挑発的な作品を公開してテロなど起きなかったのかと心配になる程。逆に言えば、当時の反戦派の信念の強さがひしひしと伝わってきた。最後の展開は予想外で衝撃的だった。

「北にソ連、西に韓国、南には蒋介石。日本は武力を持った国に取り囲まれているのであります!防衛は観念ではない!攻撃力を持つことが最大の防衛なのであります!」

「私は日本人を信じます。たとえ一度敗れたと言えども我が皇紀ある大和民族の伝統は崩れ去ったとは思いません!祖国を守るのは我々日本人以外にありません!」

元軍人右翼をカリカチュアしバカにして演じているわけだが、現代の右傾化した日本人の多くは小沢栄太郎の熱弁に拍手を送るのかもしれない。

小沢は若い頃に東京左翼劇場に入団。1932年に治安維持法違反で検挙され(当時23歳)1年半のあいだ刑務所に入れられた。1940年には所属していた新協劇団が新劇弾圧により解散を命じられ再び検挙。釈放後の1944年に軍隊に応召された。この人生経験が本作の狂気を感じさせる熱演に繋がったのだと思う。
Omizu
3.9
【1954年キネマ旬報日本映画ベストテン 第8位】
『本日休診』などの名匠渋谷実監督作。『大曾根家の朝』小沢栄、『喜びも悲しみも幾歳月』佐田啓二、『近松物語』香川京子らが出演している。

元軍人で終戦後は一家で義弟の家に居候し疎まれている岡部を中心に繰り広げられる風刺劇。戦前に囚われた旧世代と自由な思想の新世代を対比させて描いている。勲章は戦前軍国主義の象徴である。

とにかく演出に勢いがある。全体的に非常に端正ながらも力強いストーリーテリングがなかなかよかった。

元軍人の岡部が昔の部下に祭り上げられ勘違いしていく様を滑稽に描く。しかし結末はかなりハード。

岡部は部下に持ち上げられ「再軍備計画」を作成、自分の組織までつくり政治家とコンタクトをとろうとする。せっかく会えたと思ったら全くの別件であり再軍備案は批判される。

軍国主義に囚われた哀しき老人を風刺しつつ、労働者と恋仲にある娘とお妾のヒモになる息子とは理解し合えない。

まあ正直香川京子演じる娘はあの親父から離れられてよかった。相手もいい人そうだし。

ラストは想像のできない展開になり割とショッキング。終わり方も潔くて好き。

あ、杉村春子は杉村春子らしい役でいつも通りよかった。

風刺劇としてかなりレベルの高い秀作。あまり観る機会がないのはもったいない。ソフト化してほしい。
面白かったです。

まさか、ラストであんなことになるなんて…😨😭

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