みんな退屈退屈言ってる前半も凄いよ…。やってることはメンヘラのギトリなのにドライヤー並のアップと照明で顔面だけが空間から疎外されてる。
第二部は言わずもがな信仰心と世界からの断絶について、マニャーニは狂人扱いされながら神話に接近していく。岩山を登る彼女と山羊の切り返しは(別に貶めたいわけではないが)パゾリーニなんかの100倍神聖。

愛は喜びでなく苦しみである事実を強烈に印象づける中編2本。まさに独壇場であるが演技を超えたところにある狂気が凄まじい。

①終わった筈の愛を首の皮一枚繋ぎ止める電話を待ち続ける女。私とて何時に電話するねと約束しその時間にかけたら相手側のおとんが出て間違いましたと切って折り返しを待った世代であるから鳴らない電話の前でまんじりともせず待ち続けるあの苦しみはなんとなく理解出来る。電話に出たとて状況は変わらんのだろうに、それでも縋り執着してしまう人間の弱さ…。

②ただの放浪者を聖人と思い込み寝込みを襲われ孕まされた女、ただ女はそれすらも神の啓示であると信じ込んでしまう。聖と俗とを大胆な高低差を用いて描く。誰の庇護を受けるでもなく、むしろ俗社会を追い出された彼女は1人神の元へと登り詰めていく。

一人芝居。設定はよくわかるが興味がないしひたすらに怖い。カメラの動きを追っていた。次に宗教劇。こちらも登場人物のネジが外れてる。階段を登る登る。群衆の恐怖からの下界の景色そして到着。得体の知れない恐怖が一連のシークエンスを経てエネルギーに変わる。きみ悪い神々しさ、凄み。