ある女の存在証明の作品情報・感想・評価

「ある女の存在証明」に投稿された感想・評価

smoke

smokeの感想・評価

3.7
夜中に何処に行くあてもなく、ただ彷徨い歩いている男は異端的だが共感はできる。
そういう人たちにとって、アントニオーニは旅人の具現者であり永遠の友人である。

さすらいは現実では共有出来ないが、映画では出来る。

アントニオーニとともに映像を眺めることは、単に視聴するという範囲に留まらず巨匠との対話でもありうる。
ミケランジェロ・アントニオーニ監督が描いたモヤッとした作品だった。
雰囲気はあるのだが、盛り上がらない映画。


物語は、「妻は出ていく時に警報装置は残して行った」とつぶやく男の姿からはじまるが、この男は映画監督=ニコロであり、自分の映画に出演させる女性を探している様子。
ニコロは、ショートカット金髪の女性=マーヴィとイイ仲になり始めるが、「美女は忘れろ、これは忠告だ」なる伝言を無視して付き合い続ける。
ニコロは「大自然の様に女と関わりたい」という理想を持っているが、濃霧の中で消えたマーヴィは部屋に居てセックスする。

…という感じで、二人目の女性も現れたりするのだが、全然盛り上がらないミケランジェロ・アントニオーニ監督作品であった。
この監督の作品の出来には、なんか波があり、傑作とイマイチの落差はげしい気がする。
この女知らねぇぞ!ってのが後半になってやたらと出てくる。このくらいの時代の映画って、女性がすぐ騒ぐし泣くし弱くて腹立たしい。ミステリーが話の基軸の一つなのにシリアスな雰囲気に欠ける。男が女を振り回しているのから女が男を振り回しているのか…難しいところ。ってことで、哲学的な話なんだろうなって自分をなだめている。
pika

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4.0
「赤い砂漠」以上に濃厚な霧のシーンが凄い。画面の向こうなのにうすら怖い不穏感。
意味深なクローズアップが非常に意図的で謎めいているが全然わからん。

主役が映画監督だし自伝的な作品なのかと勘繰りつつ、これまで社会や哲学や愛などの広義的な虚無を象徴的に描いてきて、ここで個にフォーカスを当てるのかと興味深く、アントニオーニの「だから愛は不毛なんだってば!」という叫びが聞こえてきそうな展開が愛らしい。
アントニオーニ作品はだいたいラストで女が泣くとかなんとか言われているが、そこで終わらず眼前にあるものから明後日の方向へと興味や意識が飛んでいったかのようなエンディングが素晴らしい。
アントニオーニ自身の逃避とか願望とか希望とか、何だかそんな潔さみたいなものを感じられて、これが単なる虚構のドラマであるならばその先はなかったかもしれないような、作家性を超えた個人の思いみたいなものが爆発した感じが魅力的。

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王子

王子の感想・評価

4.0
円熟を迎えたアントニオーニの強烈な作家性を感じた。ヒッチコックの『めまい』に通ずる作品だと思うが、その設定にもかかわらずここまでヒッチコックのようなサスペンス的な楽しさが皆無なのが逆にすごい。
ちゃんとアントニオーニがアントニオーニしてる感じはするんだけど、同時に80年代臭というか普遍的でない要素も凝縮されてる感じがした。
全体の印象として他のアントニオーニ作品と比べると正直イマイチだったかなぁ。
ロラン

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4.0
70年代以降のアントニオーニの中では最も謎めいている傑作。トンネル内の霧とコウモリが忘れ難い。宇宙と接続するラストも意味深で魅力的。
dauphin

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3.8
女性であることの証を立てたかった女性たちと、それに利用された映画監督の話。エンディングの無機的な感じが重く伝わって来る。
随所入ってくる青白い光がすごく綺麗なんだけどやっぱり話はよくわからなかった。セリフが皮肉ってて好き。
手元に代表作『砂丘』と『赤い砂漠』がないため、下手なことは言えないが、この人は年を経ることに作品もまた老いていくタイプの監督だというイメージを拭い去ることのできずにいる。この作品もまた、残念としか言いようがない出来であった。
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