ある女の存在証明の作品情報・感想・評価

「ある女の存在証明」に投稿された感想・評価

この作品の主人公である映画監督のニコラは周囲の状況や人間をひたすら見ることに徹している印象。謎の女マーヴィに連れられてやってきた夜会で特にその印象が強められる。ニコラ自身の当惑を我々視聴者にもシンクロさせる強迫的なカメラワーク…五里霧中の中で田舎へと車を走らせるシーンに象徴されるように、周囲に見える世界はあまりに不可解であってどうにも反応しようがない。
恋物語を嘲笑したニコラが、SF映画を作ることを決心する。本物とウソとの区別が問題ではない世界=SF… どれだけ求めても本物には至りつかない愛の不毛さ?
アントニオーニらしさは感じたが、ラストのイーダのくだりがイヤにメロくてややダルかったのが惜しい。とはいえニコラの姉が産婦人科医だったりと、女、愛、妊娠という問題系はアントニオーニの中で何かしら意識されているのだろう。
monaminami

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4.1
冒頭の警報装置のくだりから爆笑してしまった。お茶目要素ありながら、ややこしい人生やら愛やら神やら。挙句太陽まで連れていかれてびっくらこいたよ。
otom

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4.0
確かなものを追求するってのはキリがないんだよな。やっぱり盲目のまま行き着くところまで行くんだろう人類は。と、アントニオーニが冷ややかに語っている様にも思われ。五里霧中感は半端ない。
dude

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4.0
アントニオーニ作品は女優の存在感が強いイメージだが、『愛のめぐりあい』然り後年は女を撮りたい自分ごと映画にしているようだ。普通に人間模様によるミステリーが展開するかと思いきや、やっぱりそこは煙に巻かれる。しかし「愛」やら「神」やら存在も不在も証明するの無理だよ!という無力感を、オーバーテクノロジーを駆使して太陽に辿り着くというSF映画の構想に昇華させるのはグッとくる。アントニオーニ作品には度々SFっぽさも感じていたので直球すぎて驚いた。
映像的にも強烈さはないものの、なかなかウットリさせられる場面多し。街と建物が良いし、石造りの小さい家と牧場から遠くに近代的なマンションが見えたりするのはやっぱりSF感ある。そして転換点となる霧に包まれたシーンのぽつねんとした車、信号機、消えていく道路の中央線。
ミケランジェロ・アントニオーニ監督が描いたモヤッとした作品だった。

物語は、「妻は出ていく時に警報装置は残して行った」とつぶやく男の姿からはじまるが、この男は映画監督=ニコロであり、自分の映画に出演させる女性を探している様子。
ニコロは、ショートカット金髪の女性=マーヴィとイイ仲になり始めるが、「美女は忘れろ、これは忠告だ」なる伝言を無視して付き合い続ける。
ニコロは「大自然の様に女と関わりたい」という理想を持っているが、濃霧の中で消えたマーヴィは部屋に居て、セックスする。このシーンで、このレンタルDVDは【無修正版】だったので、黒々としたアンダーヘアはグッドか…?

…という感じで、二人目の女性も現れたりするのだが、全然盛り上がらないミケランジェロ・アントニオーニ監督作品であった。
この監督の作品の出来には、なんか波があり、傑作とイマイチの落差はげしい気がする。
smoke

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3.7
夜中に何処に行くあてもなく、ただ彷徨い歩いている男は異端的だが共感はできる。
そういう人たちにとって、アントニオーニは旅人の具現者であり永遠の友人である。

さすらいは現実では共有出来ないが、映画では出来る。

アントニオーニとともに映像を眺めることは、単に視聴するという範囲に留まらず巨匠との対話でもありうる。
この女知らねぇぞ!ってのが後半になってやたらと出てくる。このくらいの時代の映画って、女性がすぐ騒ぐし泣くし弱くて腹立たしい。ミステリーが話の基軸の一つなのにシリアスな雰囲気に欠ける。男が女を振り回しているのから女が男を振り回しているのか…難しいところ。ってことで、哲学的な話なんだろうなって自分をなだめている。
pika

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4.0
「赤い砂漠」以上に濃厚な霧のシーンが凄い。画面の向こうなのにうすら怖い不穏感。
意味深なクローズアップが非常に意図的で謎めいているが全然わからん。

主役が映画監督だし自伝的な作品なのかと勘繰りつつ、これまで社会や哲学や愛などの広義的な虚無を象徴的に描いてきて、ここで個にフォーカスを当てるのかと興味深く、アントニオーニの「だから愛は不毛なんだってば!」という叫びが聞こえてきそうな展開が愛らしい。
アントニオーニ作品はだいたいラストで女が泣くとかなんとか言われているが、そこで終わらず眼前にあるものから明後日の方向へと興味や意識が飛んでいったかのようなエンディングが素晴らしい。
アントニオーニ自身の逃避とか願望とか希望とか、何だかそんな潔さみたいなものを感じられて、これが単なる虚構のドラマであるならばその先はなかったかもしれないような、作家性を超えた個人の思いみたいなものが爆発した感じが魅力的。

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王子

王子の感想・評価

4.0
円熟を迎えたアントニオーニの強烈な作家性を感じた。ヒッチコックの『めまい』に通ずる作品だと思うが、その設定にもかかわらずここまでヒッチコックのようなサスペンス的な楽しさが皆無なのが逆にすごい。
ちゃんとアントニオーニがアントニオーニしてる感じはするんだけど、同時に80年代臭というか普遍的でない要素も凝縮されてる感じがした。
全体の印象として他のアントニオーニ作品と比べると正直イマイチだったかなぁ。
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