劇中劇
誰しも何かに反発心を持っているだろう。
国への反発、人への反発など様々だ。
その反発心を行動に移すとはどういうことなのか。

何かを問いかけられるような映画でした。

2022/01/06
監督 高橋伴明
山本太郎
裕木奈江

"革命がしたかった"

1972年2月、のちに「あまさ山荘事件」に繋がる事となる、連合赤軍による「山岳ベース事件」を、事件を描いた映画の撮影という劇中劇の手法で描いたドラマ。

あさま山荘繋がりでもう一本。

作中で登場する団体や個人名は実在のものとは違うが、描かれる物語は事実に基づいている。

苛立ち、嫉妬、ほんの些細な事から狂気に走り、次々とリンチが行われて若者達が命を落としていく、見てて非常に気分が悪くなるが、ふと気付くと彼等は現実ではない、演じているだけなんだと思い少しだけホッとする自分がいた。

冷酷な女幹部役を、恐ろしい程の迫力で演じていた裕木奈江、美しく恐ろしい、見事な演技がとても印象的でした。

鑑賞日2002年頃　DVDにて

• #2002SYU
• #ドラマSYU

連合赤軍による山岳ベース事件を下敷きに創られた映画。鬼気迫る裕木奈江さんの演技を観るだけでも価値がある作品。

本作を観る場合、連合赤軍が起こした山岳ベース事件についてどこまで知っているか、によって受ける印象が変わると思います。
僕の初見時は、全くこれらの事件について疎かったため、かなりの衝撃を受けたことを覚えています。
そして、今回再鑑賞したときは、それほどではありませんでした。
これは劇中劇という仕組みで実際に起きた事件に対してフィルターを掛けてくれているから、というのもひとつの理由だと思いますが、やはり、知識がクッションの役目を果たしてくれるのだと思います。
ただ、それでも精神的にハードなシーンが続くところもありますので、気軽に観るのはお薦めしません。

さて、実際に起きた事件を下敷きに映画を創る場合、どこまで現実を取り込めば良いのでしょうかね。
ただ事件を時系列に追っているだけならば、映画にした形の意味はないと僕は思うので、少なくとも製作者の意図が見えるようにはして頂きたいと思います。
そういう意味では本作品は成功しているかと思います。
現実を毀損することなく、製作者の意図も伝わってきますから。

まあ、その意図に共感できるかどうか、は別の話でありますがね。
何はともあれ、日本の歴史に名を残す大事件を知るためにも、時間と心にゆとりがあれば鑑賞してみてください。マイナーな作品ですから、そのうち店舗からDVDが消える可能性もありますので、お早めに。

最後に。
本作では山本太郎氏が出演していますが、政治の道に行った彼は本作で演じた役柄について今はどう思っているのでしょうか。
個人的には役者としての彼を嫌いではなかったので、また演技の世界に戻ってきてもらいたいものです。

• #こたつのトラウマ
• #あさま山荘事件