愛よ人類と共にあれ 前篇 日本篇を配信している動画配信サービス

『愛よ人類と共にあれ 前篇 日本篇』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

愛よ人類と共にあれ 前篇 日本篇
動画配信は2025年6月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

愛よ人類と共にあれ 前篇 日本篇が配信されているサービス一覧

愛よ人類と共にあれ 前篇 日本篇が配信されていないサービス一覧

Prime Video
U-NEXT
DMM TV
Rakuten TV
FOD
TELASA
Lemino
ABEMA
dアニメストア
Hulu
Netflix
JAIHO
ザ・シネマメンバーズ
WOWOWオンデマンド
アニメタイムズ
Roadstead
J:COM STREAM

『愛よ人類と共にあれ 前篇 日本篇』に投稿された感想・評価

4.1
 私が本作を愛してやまない理由のひとつは、岡田時彦が出演している数少ない現存作のひとつだからである(私の知る限り彼の作品は、断片を含め、七本しか現存していない。すべてサイレントである)。
 そもそも無声映画に傾倒しはじめたきっかけというのが、小津安二郎の初期作品『淑女と髯』(1931)のスチール写真に写った岡田時彦のベラ・ルゴシ的な容貌が醸し出す、その高貴な血の匂いに魅せられたためだった。その名前もどことなく怪奇染みたものを私に抱かせたが、後に、名付け親が谷崎潤一郎であると知ってなるほどと膝を打ったものだ。
 実際には、時彦はまったく血や怪奇とは無縁の、松竹モダニズムの都会的なビルディングや小市民のお座敷なんかに登場する、ごくごく身近の青年俳優ではあったが、しかしそれは表面上の役柄の問題に過ぎなかったように私には思われる。彼のその気品あふれるマスクはそこからはるか数百万光年もはなれた地下牢で名も知れず果てた高貴の末裔をおもわせ、その人を寄せ付けない詩人の眼差しは、貴族の血で模られた精巧な短剣であるらしかった。その貴族的な容貌と小市民的なサラリーマン生活とのスクリーン上における奇妙な同居は、人々に実生活への儚い夢を抱かせたに違いない。うつくしさとはかけはなれた自分たちの生活が、スクリーンの上で、一人の美男俳優によって演じられる瞞着は、瞞着故に陶酔に似た幻覚を観客に齎した筈である。自分たちは決してこうはなれないという虚しい諦めは煙草のけむりのようにとぐろを巻いて、しかしそのけむりによってのみ、銀幕の人々はかろうじてスクリーン上で生き永らえる。我々が銀幕のスターに幻惑される理由があるとすれば、それは映画そのものの持つ、現実とフィクションとの葛藤から生じる二重性のダイナミスムによるものだ、と言えるかも知れない。時彦の演じる小市民に不思議と生々しさがあったのは、その美貌に反して、宿疾の肺結核から死ぬまで自由になれなかった己の実生活における敗残が(時彦は結核により1934年に満三十歳で他界している)、知らず知らずにスクリーンに落とした歌謡レコードの針のかなしみのためであった。そこに当時の観客たちは、自分たちと同じ小市民の匂いを嗅ぎとったのではないだろうか。思い返せば、私がスクリーンで出会った小市民の時彦は、いつも、夢にやぶれすべてを諦めたもののように肩を落とし、しかしスクリーン越しに私たちを見つめる眼差しだけは、どこまでもやさしかったのである。

 ところで、時彦扮する長男・山口修の父親を演じるのがハリウッド帰りの怪優・上山草人である。草人の父・鋼吉と、鈴木傳明の次男・雄との葛藤がこの映画の見所のひとつとなっている。事業拡大に勤しむあまり、家族のことを顧みる暇のない不器用な父と、前妻の落とし子である反抗的な次男坊との葛藤のドラマである。
 傳明は相変わらずの感傷的な泣きべそ芝居で、豪胆さと繊細さの絶妙なバランス感覚でもって、戦前の都会の若者を好演している。
 彼はいつも名台詞を残すことで有名なのである。今回も妹(龍田静枝)の披露宴に、仕事着であるボーイ服のまま出席しようとしたところを、義姉(吉川満子)に服をモーニングに変えるように言われて逆上し(雄の一家は上流階級であり、当時、ボーイ等の給士職は下級の者のすることだという認識があった)、普段の自分の姿で出席することに意味があるのだと声高に主張するのであった。そうしていつしか話の矛先が死んだ母に移った際、彼は義姉に、
「ぼくはボーイ服を着て母さんの魂に殉じ、
義姉さんたちは母さんの魂を踏み台にして披露宴に出席するんですね」
 と、言ってのけるのであった。純真無垢故の、ナチュラルなブラック・ユーモアが胸を打つ。彼からはしばしば、昭和初期の尾崎豊といった印象を受けるのである。
 ところで、義兄の時彦はそんなOZAKIな弟とは違い、近代主義の権化のような人物として登場する。父の事業が倒産寸前に追い込まれ、息子の時彦のもとへ、後生の頼みとばかりに恥を捨て金の工面に馳せ参じた際にも顔色一つ変えず、まあこれからは地道な商売でもするんですね、などと皮肉をならべて追い返すのであった。ガウンを羽織って椅子に座り、新聞片手にパイプを燻らせる(なおかつ髯!)という、如何にもすぎるファッションではあったが、その貴族的な風貌がこれら昭和初期を彷彿とさせる、モダンな煉瓦の壁や煙草盆や洋服の釦などの小道具に拍車をかけて、まるで少女漫画のようなロマンの香りを醸成していた。
 これがこの映画に於いて、岡田時彦が銀幕に映る最後のシーンである。
【詳述は『夜の看護師』2025.04.13欄で】久しぶり再見は、サイレント上映速度の加減か、四時間もあった。強靭撮影ルック、自由カメラワーク、壁や窓の内外現実通底、相克モンタージュや構図傾け部、強烈キャラら、血筋と事業の拡大・裏切りと敗者の正義・の侵食のドラマ、らの相乗は、小さく明るく纏める終盤を除き、コッポラの著名な『ゴッドファーザー』を上回る、激作と成る。
ハ
3.5
国立映画アーカイブの三浦光雄特集にて。

246分の長尺で、途中に15分の休憩が挟まれた。

上山草人の帰朝を記念した超大作とのことだが、印象に強く残るのはむしろ次男役で事実上の主役とも言える鈴木傳輔。洋風な顔立ちにギラギラした上目遣いな眼光と、チョロチョロした前髪はどこか伊藤潤二の漫画に出てくる青年を想起させられた。

上山草人演じる大企業の社長とその子供達を軸とした群像劇だが、綺麗にまとまっているとはお世辞にも言い難く、長尺になっているのも物語の重厚さから要請されたものというより、ただ場面の取捨選択を怠っているだけという印象で、端的に言えば冗長に感じられた。

それでも観ることが出来て良かったと思うのは、やはり撮影の迫力。特に後篇、樺太に舞台を移してからのスケール感は、本物ならではのものだった。山火事のシーンなんかは一体どうやって撮ったのだろうか。
高速で移動するトロッコを捉えた面白いショットなども忘れ難い。

松竹のデータベースによるとフィルムの1〜14巻までが前編、15〜20巻までが後編ということらしく、休憩が挟まれたのはそのタイミングだったように思う。ただ、特に「休憩」の文字が表示されたり、ここからは後篇であると分かるような分け方はされていなかった。

日本映画データベース等には『前編 日本篇』『後篇 米国篇』として同時公開されたとあるが、前後編それぞれを作品として分けず、あくまで長すぎるから便宜上分けて扱っていただけなのかもしれない。

というかアメリカロケのシーンは90分くらいある後篇のラスト10分程度のエピローグでしかないので、「米国篇」と銘打つのはあまりに不自然だ。宣伝のためのハッタリなのかもしれないが。

『愛よ人類と共にあれ 前篇 日本篇』に似ている作品

若者よなぜ泣くか

製作国:

3.7

あらすじ

アメリカで映画製作を学んだ牛原虚彦は、帰国後、鈴木傳明を主演にアメリカニズムあふれる作品を次々と発表した。本作は牛原=傳明による最後の作品。妻に先立たれた上杉毅一(藤野)がモガの歌子(吉川…

>>続きを読む

母を恋はずや

製作国:

上映時間:

93分

ジャンル:

配給:

  • 松竹
3.4

あらすじ

夫の急死後、女手ひとつで2人の息子を育てあげた千恵子。だが長男の貞夫は大学本科への入学手続きの際、千恵子が本当の母ではないことを知ってしまう。やがて千恵子が弟にばかり打ち解けていると感じた…

>>続きを読む

戦争と人間 第三部 完結篇

製作国:

上映時間:

184分

ジャンル:

配給:

  • 日活
3.7

あらすじ

昭和12年に火蓋が切られた日中戦争は、泥沼の様相になっていた。五代家の行為に疑問を抱く次男・俊介、彼の親友で五代家の次女・順子と結婚した反戦運動家・耕平も徴兵され戦地へ送られる。そこで彼ら…

>>続きを読む

青春の夢いまいづこ

製作国:

上映時間:

92分

ジャンル:

配給:

  • 松竹
3.7

あらすじ

大学生活を謳歌する堀野、斎木、熊田、島崎の4人。だが会社社長の父親が急死したことで、堀野は大学を去ってしまった。時が経ち、斎木たちは大学卒業を迎えるが仕事先が見つからない。彼らは堀野を頼る…

>>続きを読む

東京の女

上映日:

1933年02月09日

製作国:

上映時間:

47分

ジャンル:

配給:

  • 松竹
3.5

あらすじ

姉は、弟が学校を立派に卒業することだけを願い、学費を稼ぐために一日中働いている。 昼は会社でタイピスト、夜は大学教授の翻訳のお手伝い。慈愛に満ちた姉を慕う弟。 でも、姉は一つ嘘をついて…

>>続きを読む

戦争と人間 第一部 運命の序曲

製作国:

上映時間:

194分

ジャンル:

3.8

あらすじ

昭和初期、振興財閥・伍代一族は満州への進出を画策し、軍部との癒着を強めていく。やがて関東軍は張作霖を爆殺し、そして柳条溝事件によって満州事変が勃発する。