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『太夫(こったい)さんより 女体は哀しく』に投稿された感想・評価

◎名女優競演 滅び行く島原 売春街の本質と虚飾

1957年 宝塚映画 東宝配給 カラー 113分
スタンダード *コマ飛びあり、褪色少なめ

ラストシーンまで観て、どうも見覚えがあったので、たぶん再見だ。

大蔵貢時代の新東宝作品かと誤解されるタイトルで大損しているが、現在も劇団新派を中心に現役の舞台作品として上演が途絶えることがない北条秀司作の名戯曲を名匠稲垣浩が八住利雄の脚本で映画化。

正直、玉石混交と言っても「石」の方が圧倒的に多い宝塚映画のなかでも確実に一、二を争う良作、名作だ。

【以下、ネタバレ注意⚠️】








実は、ちょうど折よく先月、南座で藤山直美が、きみ子を主演した『太夫(こったい)さん』の舞台(*1 )を観たばかりだったから、原作の北条秀司の戯曲と本作との違いを比較しながら観ることができた。

*1-1 錦秋喜劇特別公演
南座 2024年10月3日(木)~27日(日)
北條秀司 作 大場正昭 演出
『太夫さん』
キャスト 藤山直美 三林京子 駿河太郎 田村亮
www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/minamiza202410/

*1-2 藤山直美、駿河太郎らが「太夫さん」を上演する『錦秋喜劇特別公演』南座で開幕、オフィシャルレポートと出演者コメントが到着
2024.10.3 SPICE編集部
spice.eplus.jp/articles/332435/amp

本作を観ると、舞台版とセリフが一字一句も違わない箇所もあれば、逆に原作戯曲を大胆に改変したり膨らませたりしている場面も少なくない。

その最たるものが、乙羽信子が演じた玉袖に関するエピソードで、彼女に妓楼主への団交&ストライキを唆した米太郎(伊藤久哉)は、少なくとも今回の舞台版では本当の共産党員だった。

ところが、本作では「共産党」を騙った泥棒で、知恵遅れの喜美子(淡島恵子)を妊娠させてしまったので妹だと騙って宝永楼に身売りさせた安吉(田中春男)の連れという設定。

安吉は舞台版(今回の南座では鶴瓶師匠の息子の駿河太郎)でも、きみ子を「妹」だと騙ることは同じだが、別に泥棒ではないし、別の愛人おたま(中北千枝子)がいる訳でもない。
金策に窮して身重の妻を妓楼に売ったことは同じだが、本作の田中春男のようにハナから喜美子をバカにして息子だけ引き取りたいなどと言う情け知らずの根っからの悪党ではなく大団円では神戸で成功して資産家となって現れ、きみ子と我が子を迎えに来るというハッピーエンドで幕を閉じるのである。

舞台版でも、普通は藤山直美の主演というと他の出演者を喰ってしまう独り舞台が繰り広げられることが多いのに、きみ子の登場がかなり遅かったので不思議に感じた。
そもそも北条秀司の戯曲自体が、主人公を軸に展開するのではなく、群像劇として構想されていると言うべきかも知れない。

その点は、本映画版でより顕著となり、淡路恵子の喜美子は主役ですらなく、娼妓仲間では乙羽信子演ずる玉袖が中心の扱いになっている。

全体の構成から観ると、玉袖の乙羽信子と宝永楼の女主人おえい役の田中絹代とで二枚看板を張るといった趣の作りになっているのだ。

その田中絹代の女主人が滅法すばらしい。

数ある彼女の出演作のなかでも五指に数えられるベストアクトだと思う。

歴史と格式のある島原の宝永楼主であることを誇りに思う面、
しかし、実態は売春婦たる娼妓たちの抱え主に過ぎないという本質的な酷薄さ、
そうした島原の伝統も遊廓というあり方も時代の流れで廃り行くものであるという諦め、
自分も祇園の舞妓あがりの元娼妓で、島原一の老舗妓楼である輪違屋のぼん善助(小沢栄太郎)と相思相愛でありながら、勧めらるまま宝永楼主に嫁いで意に染まぬ夫婦生活を送らざるを得なかった悔恨、
もとから「いらち」で世話焼きな性格だが手が動く先に口数の方が多いから、遣り手=古参の仲居お初(浪花千栄子)に適当にあしらわれるのに苛立つさま、
‥‥と千変万化に見せる一つ一つの表情に確かな感情と人物の歴史の裏打ちを感じさせて、その説得力に観ていて感心するばかりである。

それに、今は見る影もない島原のかつての姿をカラーフィルムに収めているのも貴重の極みだ。

現在も京都観光の花形となっている祇園を代表とする五花街から島原が脱落して久しいが、その凋落の兆しは、すでに本作の描く終戦後には露わになっていた。

北条秀司の原作でも、輪違屋の善助が、おえいに
「島原が国宝になったんや。角屋と、おまさんとこ、この宝永楼をお国が重要文化財っちゅうもんに指定してくれはったんや」
と告げて、おえいも訳の分からないまま善助と手を取り合って喜ぶというシーンがある。

舞台版では、そのことと歩調を合わせるように復活した花魁道中に、きみ子も晴れがましく参加して、安吉にも再会するという華やかで幸せな幕切れとなるわけだが、
対するに稲垣浩は、本作で、華やかな道中のさなか、狂乱した玉袖が包丁を振りかざして道中に乱入。米太郎に斬り付け、自分も喉笛を切って倒れるというショッキングな刃傷沙汰をあえて挿入したのだ。

玉袖はせっかく老舗の縮緬問屋の番頭佐七(平田昭彦)に落籍されて目出たく真っ当な夫婦生活が営めると思っていた矢先、店の金を横領した罪で佐七が逮捕される。
その留守を狙って「共産党騙り」の米太郎が佐七の保釈金分の金をチラつかせながら玉袖に肉体関係を迫り、口では抵抗を示すものの次第に米太郎にしがみついて来る玉袖に、
「お前は頭で思ってることと身体の覚えてることは違うんや。もう普通の女には戻れんのや」
と言い聞かせながら事に及んでしまう。

その代償として玉袖が手にした金で保釈されて帰宅した佐七に、米太郎は、留守中に関係した全てをバラしてしまう。

途端に、それまで可愛がる一方だった佐七が豹変して、近づこうとする玉袖を汚いもののように押しのけて拒絶。

狂乱した玉袖が米太郎に斬り付けたのは、その報復だったのだ。

まさにメインタイトルの「女体は哀しく」そのもので、本作で稲垣は、いくら重要文化財だ、伝統の花魁道中だ、と言ってみても、所詮は「太夫(こったい)」たちも哀しい売春婦に過ぎなかったのだ、という真実を暴いて見せた訳だ。

実際、現在の島原は、1952年に妓楼建築が重要文化財に指定された角屋が博物館的に公開されているだけで、舞妓や芸妓がそぞろ歩く五花街とは違って寂れた「史跡」地、「国際観光都市」京都の中でも二級観光地に堕ちてしまっている。

祇園を筆頭とする五花街が21世紀の現在も生き伸びることが出来たのは、明治5年(1872)の第一回京都博覧会の余興として第二代京都府知事槇村政直の肝煎りで創始された『都をどり』が大成功を収めて恒例行事として定着、これが祇園の舞妓・芸妓の脱「娼妓」化、売春と切り離しても通用する伝統文化としてのイメージ戦略として功を奏したためかと思われる。

*2
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/都をどり

しかし、島原は、「島原は吉原と違い、売春街としての遊廓ではない」がモットーの物堅い角屋主人の主張にも関わらず、実際には西陣の五番町や最近まで「現役」として警察の摘発対象だった五条楽園と同様の赤線としてのエリアの方が大半を占めていたのだ。

*3
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/島原_(京都)

本作で、宝塚少女歌劇の団員も駆り出して繰り広げられる麗々しい花魁道中の盛儀は、今では島原で観ることは出来ず、遠く離れた鷹ヶ峰の常照寺などの寺社の行事でしかお目にかかること自体が出来ないのだ。

*4 島原おいらん道中 京都
放送年:1947年
www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009182014_00000

今でも輪違屋のみは置屋として芸妓を抱えているらしいが、京都のあちらこちらの宴席で五花街の舞妓・芸妓による接待の場に出会うのに対して、人数的にも少ない島原の芸妓・太夫はあくまで観光行事向けの要員といった感じなのではないか。

本作で、扇千景演ずる深雪太夫(若く可憐だが外面如菩薩にして内心如夜叉な小悪魔ぶりを怪演)が、島原を「パラダイス」と改名してネオン街にすべしと主張する山茶花究演ずる主人が経営する赤線カフェ「ジープ」の女給に所替えした途端、外見も挙動さえもパンパンと全く変わらないものに成り果てるさまを終盤で観せ付ける点にも、稲垣浩の「意図」を汲み取るべきだろう。

今回、南座で初めて舞台版に接して、島原の東に隣接する大阪ガスの従業員たちが共産党の指導のもとに、ストライキのシュプレヒコールをあげる喧騒で開幕することに驚かされた。

既に「古典」として定着している舞台劇で、これほど「共産党」という言葉が連呼される芝居も珍しいのではないか。

それも『王将』やら『源氏物語』やら、硬派で保守的かと思われる北条秀司の作品、それも島原の太夫たちの群像劇で行われるのだから、初演時は結構衝撃的だったのではないか。

しかし、開幕早々、そうした社会派左翼的な「ショック」を観客に与えておきながら、北条秀司は原作戯曲を最終的には人情喜劇として、まとめ上げてしまっている。

ところが稲垣の興味は、「性を搾取される」娼妓の解放を左翼革命として幻想する気など毛頭無く、やれ島原の伝統だ、格式だ、花魁道中の復活だ、重要文化財指定だ、などという美名で糊塗しようとする「京都の虚飾」の厚化粧を剥ぎ、それらが所詮は「女体を売る」哀しき売春商売に過ぎない実態を、実際の島原でのロケ撮影敢行によって、ありありと観せることにあったのではないか。

最終的に、それを三角関係の痴情のもつれによる刃傷沙汰として描いたのは、結果的にはありきたりで新味にも欠け、「女体は哀しく」のメインタイトルとともに品位を下げる結果となってしまったかも知れない。

しかし、作品全体を通して、安易に伝統賛美に傾きがちな「京都」を題材とする映画のなかで、その深層にクリティカルに斬り込んだ「京都論」「花街論」「娼婦論」として、もっと本格的に論じられて然るべき作品だと思う。

《その他の参考》
*5 女体は哀しく
1957年10月13日公開、113分、文芸
moviewalker.jp/mv25276/

*6 映画レビュー 2022/05/29 22:430
太夫さんより 女体は哀しく
https://classicalmusicreview.livedoor.blog/archives/14874871.html

*7 キネノート 女体は哀しく
www.kinenote.com/sp/public/cinema/detail.aspx?cinema_id=25457

《上映館公式サイト》
映画に生きる――田中絹代
監督作一挙上映
出演作と併せて辿る希代の女優の映画人生
2024年11月9日(土)~12月6日(金)
神保町シアター
www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/tanaka2.html
MrNO
3.8
戦後三年経った京都の遊郭が舞台。
町の名前が太夫町、300年続く歴史的な遊郭で劇中では建物が国宝に指定されたりします。

昭和32年の古〜い作品

遊郭というと江戸時代とか思うけど、かなり近代です。労働者運動が高まってストライキとか共産党とか言葉が流行語のように飛び交かう時代、客の自称左翼の口車に乗り芸者もストをしようとしたりする。

望まぬ妊娠したけれど、養育費もないし堕ろせ堕ろせという愛もない男に、妹と嘘ついて遊郭に売り飛ばされた、頭の弱いけど健気に生きる女、喜美子役の淡路恵子がいい、とても良いです。

そんな喜美子を中心に、置屋の女性たちのさまざまな生き方を描いています。
屋台のうどん屋の嫁になったり、
男を乗り換えては嫉妬されて挙句の果てに、、だったり、
流行りのキャバレーに転職したり、
むかし惚れあったけど、結ばれなかった隠居と数10年降りにデートする女主人とか

タイトルの「女体は哀しき」と言っても
裸の女体は出てきません。主役は乙羽信子ですからね。
別れた元情夫に元芸妓の玉袖が言われる
「お前はな、心と身体が別々にのうてしまってるんや、長い間にな」
娼婦の哀しき性(さが)です

クライマックスは復活した太夫道中。
時代を反映してか警察が先導し、スピーカーから実況が流れます。
喜美太夫こと、おつむの弱い喜美子も道中するのが面白い。子供がいて、まだ客前に出てないのに。

追加
遊郭のこと、詳しくないので
遊女、芸妓、芸者、太夫、舞妓
どこまで身体を売ってるのか、踊りや三味線の芸だけ、を売ってるのかの線引きがよくわかりません。

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