怪談累が渕の作品情報・感想・評価

「怪談累が渕」に投稿された感想・評価

ダイニチ!大映&日活でダイニチ!
なんかもう登場人物がみんな荒んでて、救いようが無くて、ダイニチの行く末を暗示しているようだよ。
安田公義監督による1960年版のセルフリメイク。でもだいぶ違うね。
60年版が中村鴈治郎推しで攻めたのに対し、70年版は宗悦があまり前面に出てこない。
親の因果であるカタキ同士の息子と娘が完全に極悪人にされちゃった。親より輪をかけて悪い。巻き込まれて死ぬ人も本当に浮かばれないわ。

おかげでなんかピカレスクロマン溢れる作風になったかな。前作との差別化はその意味では成功したと思うな。

ただどうだろ。後は好みの問題だけど、個人的には60年版の方が好き。累ヶ淵の真骨頂は、按摩で金貸しの宗悦の強欲さから来る怪異譚だからねぇ。
金への浅ましさで、次世代まで憎しみが巣食う怖さが重要な気がする。

金への執着という、人間の醜さこそが真の恐怖だということは、いつの時代も変わらないというメッセージはヒシと伝わる。くわばらくわばら。
原作は三遊亭圓朝の怪談「真景累ヶ淵」。その元ネタとなったのは、元禄時代に記された下総国羽生村で実際に起きたとされる “累の物語” である。

2003年に「大江戸繁盛記」という120分×4本の番組を企画制作した。4つの切り口で江戸〜東京の400年を俯瞰しようという試みだったが、そのうちの1本が「四谷怪談」。この実話ベースの都市伝説を手がかりに、江戸〜東京をあれこれ語った。そして、その際に取り上げたのが、“怪談は経済発展期に生まれる” という仮設。番組では、まず羽生村で起きた事件に言及した。

“累の物語” が誕生した元禄時代は、江戸時代で最初に訪れたバブル経済期。100年に及んだ天下普請が完成し、街道や水運やインフラが整備され、江戸は空前の好景気に沸く。その余波は近郊にも及び、鬼怒川東岸の水海道は江戸への水運で大いに栄えた。だが、一方で、羽生村をはじめとする対岸(鬼怒川西岸)地域には、バブルの恩恵はもたらされなかった。川を挟んで西と東には大きな経済格差が生まれていたのだ。

番組では、こうした経済発展期に必然として生まれる光と闇のギャップが怪談を生む、という仮設の元に、続いて「四谷怪談」を分析した。詳細は省くが、簡単に言うと(1)3度目のバブル=文化文政時代(2)拝金主義(3)急激な経済発展にふるい落とされあるいは犠牲となった武士や町人による犯罪 これらの要件に因果応報を加えたものが、鶴屋南北による「東海道四谷怪談」を成立させた、というもの。貨幣価値によって駆逐された人道的価値が、お岩さんとなって祟りをなす、という内容だった。

そして本作。面白い。登場人物たちは誰も彼もがカネに執着する。見ていて小気味良いほどの拝金ぶりである。そして、そんな人間の欲深さがたっぷりと描かれるぶん、幽霊の登場シーンはさほど多くない。やはり怪談は人間の経済活動と切っても切り離せないのだなと納得。
幽霊より強欲な人間の方が恐ろしくてえげつないと教えてくれる映画。夜鷹や貧民窟の描写はビビってオシッコ漏らしそうになります。間違いなく一番怖い〔累が渕〕