解剖

黒人医師ルーサーが怪我をした強盗犯の兄弟を診察する
その後、弟は死亡するが、兄はルーサーが殺したと思い込み……

人種問題を浮き彫りにしたドラマ

思想がすごい

ヒヤヒヤ
ラストはなんとも

会話劇が主です

白人vs黒人‼️という対比のある社会派ノワールとして楽しめるマンキウィッツ監督らしいソリッド且つ重厚なサスペンス映画となっている。今観ても遜色はない。

社会への復讐に費やすギャングのリチャード・ウィドマークがおバカで情けなく、シドニー・ポワチエがひたすらカッコ良く撮られている。この頃のノワールにしては硬くメッセージ性重視？みたいな所がキモでもある。

同じ年に撮られた『イヴの総て』よりも遥かに面白い低予算を逆手に取ったアメリカの暗部を抉り取った秀逸なB級ムービーだと思っている。当時(アカ狩り・冷戦時代)の混沌とした世相がよく反映されている逸品。

1950年という時代に既に作られていた人種差別を描いた今年亡くなったシドニー・ポワチエ主演のヒューマンサスペンス。

強盗犯の兄弟二人の治療を担当したシドニー演じる医師。その弟が亡くなり、リチャード・ウィドマーク演じる兄が医師が弟を殺したと思い、彼に対し憎悪をむき出しに。

白人という立場を利用した復讐劇を想像したのですがそういった場面は少なく、サスペンスを期待するとイマイチな部分も有りますが低所得者層の白人の黒人に対する差別意識が描かれており、負傷している故に嫌いな黒人の医師に助けて貰わなければ生きられない白人の矛盾、そして苦手な相手ではあるものの決して感情的にはならず医師として彼を助ける黒人の人格者ぶり等、複雑な関係性が描かれており非常に興味深く、自分より本来下に位置し、見下せる対象であるはずの相手が実際は自分よりもずっと優秀で社会的地位も高かった場合人間（特に男性）はその相手に対し嫉妬し時に攻撃を仕掛けようとしますがリチャード演じる白人はまさにその典型と言えるかも。

途中周りに何人もの人間が居る病院の中で年配の白人女性に唾を吐かれるシーンも有り、当時の黒人医師に対する風当たりの強さを想像出来ます。