■ABOUT 現アメリカを体現する最重要アメリカン・ロック・バンド、ウィルコ。2002年、全米音楽業界を震撼させたレーベル移籍劇や、バンド史上最大のヒットを記録した傑作アルバム『Yankee Hotel Foxtrot』の制作過程、ライヴなどモノクロ16mmフィルムにおさめられた迫真のロック・ドキュメント!出演にはウィルコのメンバーはもちろん、思わぬドラマの中心にいたリプリーズの担当A&R、ノンサッチの重役、ローリング・ストーン誌などの音専誌関係者も出演しており、普段はなかなか見ることのできないレーベルとの契約やラジオ出演、ライヴのバックステージ(ジェイホークスやソウル・アサイラムのメンバーも登場!)など音楽ファン必見の映像がふんだんに盛り込まれている。(タワレコオンライン)
■NOTE I シカゴ出身のオルタナ・バンド、ウィルコの4枚目のアルバム『Yankee Hotel Foxtrot』は、9.11のおぞましい事件に触発されて生まれた。彼らの代表作とされることが多い同作だが、その制作は困難続きだった。サム・ジョーンズが監督したこのモノクロのドキュメンタリー映画は、複数の楽器をこなすジェイ・ベネットの脱退に繋がったバンド内の緊張や、前述の4作目がワーナー傘下のリプリーズ向けにレコーディングされ、結局は別のレーベル(ノンサッチ)からリリースされるに至った経緯などを描いている。
Tim Peacock「必ず見るべき音楽ドキュメンタリー映画ベスト25」『uDiscoverMusic』2018-11-23、https://www.udiscovermusic.jp/stories/making-movies-25-unmissable-music-documentaries
■NOTE II 00年以降のロックで屈指の名盤とされる『Yankee Hotel Foxtrot』の制作過程、完成後のレーベル移籍やメンバーの脱退など、ロックバンドにありがちなトラブルなどをモノクロ16mmで接写。ジェフ・トゥイーディーが抱える苦悩、彼がベースのジョン・スティラットに寄せる絶大な信頼、途中加入ゆえの人間関係に悩むドラムのグレン・コッチェの誠実さなどが好感度大で、明け方から同作を聴きまくるのであった。(佐藤慶人)
■NOTE III 2000年初頭、写真家のサム・ジョーンズは、ウィルコに連絡を取り、次のアルバムの構想、レコーディング、リリースを記録できないかと依頼した。彼は、自分が何に巻き込まれるのかまったく想像がつかなかった。
ウィルコは、『Yankee Hotel Foxtrot』という不思議なタイトルのアルバムを完成させると、所属レコード会社の〈Reprise〉(Warner Music Groupの一部門)に渡した。彼らはそれを嫌った。彼らはリリースすることを拒否し、バンドにそれをオーバーホールするか、去るかのどちらかを選択するように言った。彼らは去る方を選んだ。そして、自分たちのサイトで無料配信したところ、たちまちファンや批評家から絶賛された。これを受けて、別のレコード会社〈Nonesuch Records〉は、従来の方法でアルバムをリリースするよう、新たな契約を申し入れた。ウィルコはそれを受け入れた。しかし、〈Nonesuch〉は〈Warner Music Group〉の子会社であり、〈Warner〉はウィルコに同じアルバムで2度お金を払うことになったというオチがついた。
『Beautiful Song of the Week』2021-02-28、http://www.beautifulsongoftheweek.com/i-am-trying-to-break-your-heart-by-wilco/
■NOTE IV シカゴを拠点に活動するロックバンド、ウィルコの4枚目のアルバム『Yankee Hotel Foxtrot』のレコーディングに密着したサム・ジョーンズの『ウィルコ・フィルム』は、非常に強い物語性を持つ音楽ドキュメンタリーである。このグループのスタイルは、感染的であると同時に疎外的であり、カントリーミュージックのツンとした音と攻撃的なインダストリアル・ノイズを想像力豊かに融合させたものである。
Dave Kehr. FILM REVIEW; How a Band Turned a Crisis Into a Triumph. “The New York Times”, 2002-07-26, https://www.nytimes.com/2002/07/26/movies/film-review-how-a-band-turned-a-crisis-into-a-triumph.html
Yankee Hotel Foxtrotのリリース時わたしはアメリカにいて誰のことも許せない潔癖な子どもだった。この世の衝撃に耐えきれずに自分からどんどん孤独になっていっちゃってたんだけど、距離をつめすぎないように見守ってくれてた友人がくれたこのアルバムを何回も聴いてるうちにパサパサに乾いた空気に包まれるのもいいかもしれないと思えた。世界はわたしを許してるしわたしも世界を許せると思えた。狭量さをほぐしてくれてありがとう。