【第84回アカデミー賞　外国語映画賞ノミネート】
『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』フィリップ・ファラルドー監督作品。ロカルノ映画祭に出品され観客賞を受賞、アカデミー外国語映画賞にカナダ代表として選出されノミネートまで至った。

ほっこりする教室ものかと思っていたら意外と重い話だった。教育現場での教師の死、それを目撃してしまった生徒、何やら暗い過去のあるムッシュ・ラザール…まるでミステリーのように進んでいく。

教室ものとしての面白さがありつつ、難民というテーマにも向き合った意欲作と言えるだろう。

教室で死んだ女性教師が最後まで不在の中心としての役割を果たす。そのせいで全体的に暗さがある。ムッシュ・ラザールの過去をめぐる話もなかなかに闇深い。

生徒たちの壊れた心に大人はどう向き合っていくか、そしてムッシュ・ラザールの心は晴れるのか、深いテーマを含んだドラマだ。

過不足のない演出、死の影が迫ってくる物語、ムッシュ・ラザールのキャラクター造形などハイレベルで予想していたよりずっと面白かった。外国語映画賞らしいと言えばらしいが、単なる教室ものの裏をかくような語り口が印象的。

• #第84回アカデミー賞

ある朝、担任の先生が教室で自殺をしていた。牛乳当番のシモンとアリスはその姿を見てしまう。
ショックを受ける生徒たちのもとに、新しくアルジェリア移民の先生がやって来る…。

てっきり、さあ前向きになろう！とかいう熱血先生のストーリーかと思いきや、ラザール先生にも辛い過去があり、彼も悩みながら生徒に接しているのが意外でした。
それはそうですよね、答えなんかないんですから。
ストーリーは静かに進んでいき、先生と生徒が決定的に仲良くなった瞬間！というのもないんで、へえ…って感じでしたが、ラストの「先生の寓話」は、めちゃくちゃ泣いてしまいました。

実際に先生でおられる方や、お子さんをお持ちの方、自分が生徒でおられる方、それぞれの立場によって感想は変わると思います。
わたしはとても、とても良かったと思います。突然の死や自殺は、わたしの周囲にもありましたが、それを受け入れて、あるいは忘れて、いや忘れられなくても、生きていかなくてはならないからです。子どもであっても、大人でも。

教師と生徒の成功物語ではなかった。フランスの小学校でのやや重く深い話。思春期入口の子供達は女性教師の自殺に傷つき、難民の新任教師は家族の不幸に傷つく。社会問題の縮図を小学校に見た。