
ポルトガル北東部の山岳地帯、トラス・オス・モンテス。マノエル・ド・オリヴェイラ監督の『春の劇』のロケ地であるこの村は、ポルトガル建国以前の、ローマ時代から続く古き文化を色濃く残すエリアである。男たちは都会への出稼ぎで不在で、女たちが家を守り、子どもたちは無邪気に自然と戯れている。村人たちの質素な日常を捉えているが、ドキュメンタリーではなく、この村に何世紀もの間に積み重なったさまざまな時代の歴史を、時空を超えた詩的な視点でとらえている点が特徴である。アントニオ・レイス監督は詩人や民俗学者でもあり、国立映画学校ではペドロ・コスタ監督を指導した。