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まごころ
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『まごころ』に投稿された感想・評価

3.8
脚本木下惠介だもの、上手いなぁ。
恋愛は崇高なもの、松竹大船調はそれをいつも大真面目に描きスクリーンに映す。

窓を開けて向かいの家の少女に一目惚れ。
目線のみ、言葉なんていらない、これぞ映画の演出。

田中絹代は演技力抜群だ。母親役が実に似合う。家族、親子、姉弟、恋人、教師と生徒、どの会話にも優しさと思いやりが溢れている。

綺麗なお月さん、薄雲に三日月、その美しさに感嘆する弟。飼い犬が病気で入院しても心から同情するんだから…この家族はなんて心優しく富裕な人たちなんだ。
「慶應受かれば洋行したいな!イギリス行きたい、ラグビーしたい!」幸せなお坊ちゃん。
「満足に食べれない世の中に犬でも入院できるから幸せだよ」「仕方のないことができるから幸せ」と姉の結婚相手は言う。社会の構図、経済格差問題も描いている。

先生の恋人の話…、戦後を感じさせる。恋人を想い、生きて帰って来ても…恋人はもういない。
「戦争から帰ったら死んでたんだ。どうしても忘れられない恋人。だから結婚できないんだ。いい恋愛しろよ」

小さな花、眩しき太陽、これこそ生きている証。雪の中暗い外から玄関を開けると明るく温かい家、犬の声。玄関を開けたシーンだけでぬくもりを表現できる、上手い演出だ。「どうせ死んでしまった人です。好きだったと言わせてください」優しい家族、みんなで泣いて泣いて泣いて…。
4.8
「まごころ」

〜最初に一言、不意を突かれた小林正樹の傑作ホームドラマだ。私は小津さんの東京物語を観た以来の古き良き日本の家庭と日本人青年を観た。まだ私は小津安二郎しか知らなかったのかもしれない…〜


冒頭、グランドでスポーツをする少年たち。引っ越ししてきた隣の娘、病気持ち、一目惚れ、三日月、お婆ちゃんとの会話、ラグビー、懇願、慶応大学の受験、教会。今、残酷な一時の恋愛が幕を開け幕を閉じる…本作は木下恵介のオリジナル脚本を小林正樹が監督した長編映画としては第一回目の監督作品になる。一九五三年九十四分の作品。因みに小林監督の従姉である田中絹代のが特別出演している。木下と言えば小林の師匠であり盟友である。

この作品は松竹らしい青春メロドラマの雰囲気が漂い、非常に良かった。と言うか大傑作である。貧富の差が強調され、淡い恋愛模様が映し出される。

さて、物語は裕福な家庭に育つ受験生の弘は部屋の真向かいの安アパートに引っ越してきた少女ふみ子に心奪われる。彼女が胸を病んでいる事を知った彼は慶応大学合格を条件に彼女の養育費の工面を父に懇願するが…。


本作の冒頭はグランドでスポーツ(ラグビー)をする少年たちが映し出されるのから始まる。その中の一人は受験生の弘。彼が自宅へと帰宅する。母親はお風呂に入って勉強しなさいと言う。この家で飼っている犬のレオを心配する姉、お向かいに新たに引っ越してきた娘が気になる弘。彼女の名前はふみ子。少しばかり体が弱いらしくて布団の中に入っている。

翌日、弘は自分の部屋の窓から隣の娘を見て、一目惚れしたようにベッドの上ではしゃぐ。そしておばあちゃんにその喜びを伝えて新しい服を見繕って欲しいと言う。それと小遣いも…。続いて、弘は満員電車に乗っている。学校の描写に変わり、学ラン姿の生徒たちが映し出される。弘は男友達と女性に対して話をしている。

そしておばあちゃんに隣の娘の病状を聞かされた弘は驚く。肺病がそんなに重いことを知った彼は自分の部屋に座り込み考えてしまう。翌朝、具合の悪かった飼い犬のレオが帰ってきて、弘は庭で犬と戯れる。そして弘は父親に隣の娘の治療費を出してもらう為に、慶応大学に合格すると言う条件を提示していく…と簡単にオープニングの話をするとこんな感じで、素晴らしいメロドラマが展開されていく。

いゃ〜これも傑作だったな。

この作品は東山千栄子が出演しているから、小津安二郎の作品と被る。やはり「東京物語」の強烈なインパクトがあるのかもしれない。それと引き続き主人公が石浜朗で、やっぱり菅田将暉に似ていて仕方がない。

この作品も不意をつかれるほどの傑作だった。とにもかくにも感動する。隣の女の子が肺病で苦しんでいるのを知った息子が自分ちの飼っている犬でさえ入院できるのに…引っ越してきた隣の娘は入院ができない…と裕福である自分の事について考え込む場面はすごく印象的だ。それがストーリーとして父親に隣の娘の治療費用を慶応大学合格を条件にせがむ話になる。

父親に対して大学に合格したら何でも願いを叶えてあげると言う話を父親に再度聞いて、その願いを言おうとするのだが、やっぱり言えないと言わない場面のもどかしさが伝わるし、その流れで十二月のクリスマスの描写になり、肺病の家族の団欒が映されるのは感動する。それに教会の前で雪にあたりながらフミ子の姉と矢島さんが会話する場面も凄く美しく魅力的である。

弘があえて自分の部屋の窓を開けて、ジングルベルの歌を歌って、ふみ子に聴かせる場面はこの映画の最も好きなシークエンスである。なんだろうなぁ、この優しい気持ち、人の心を持つような青年の清らかな人柄に感動する。そして改めて父親に物事の本質を言わずに、どうしても助けて欲しい人がいるので僕にお金をくださいと言い、泣きながら懇願するシーンから神様に祈り始める場面は本当に感動だ。

厳格な父に名前も知らない赤の他人の少女の命を助けて欲しいと言っても断られるのを知っている息子はどうしてもそのことを切り出せない人いる。家庭教師の矢島さんに勉強を特訓してもらい、なんとしてでも大学受験を成功するべく日々頑張る少年。今の時代、赤の他人にこれほどまで尽くそうとする若者がいるだろうか…映画的と言われればそれまでだが…。


残酷な映画なのかもしれないがら手鏡を用意して太陽の反射で寝たきりの娘に合図を送るシークエンスも非常に美しく印象的で、少しばかりの救いがあった。そこから黙って自分の部屋に入り込んで鏡で自分の顔を見ていた弟を姉が見て、そらに対して怒った弘が部屋の中からー階に降りて、追いかけっこしながら姉弟喧嘩する賑やかな場面も好きだ。

そしてクライマックスはこの映画に出てくる全ての登場人物が涙する残酷な感動が写し出される。自分の無力さに絶望する一人の少年の姿を捉えた正しく木下の脚本が成し遂げた傑作である。正に偽りや飾りのない心。真剣につくす心を垣間見た素晴らしい日本映画だ。最後青年はラグビーをしながら泥まみれになって何を思うのだろうか…。これはかなりお勧めする。

まごころ、それは弘の机の上を見れば自ずと分かる…。
石浜朗のピュアな魅力大全開大回転。ラグビーの練習で泥んこにまみれた朗のミラクルスマイルショット、舶来のワンコ可愛がり具合悪けゃりゃすぐ獣医。姉の淡路恵子とはしゃいで家中追いかけっこ。隣の貧乏アパートでは医者にもかかれない病床の野添ひとみが藁?麻紐で何のマスコット作ってんの?と思ったらクリスマスのオーナメント。裕福な朗んちの部屋のクリスマスツリーとの対比とともに一瞬一瞬の目線だけで静かに微かに交流をしていく若いふたりが眩しい。朗の涙にもらい泣きしている田中絹代と姉の淡路恵子はそれぞれに長男、兄を病気で亡くしているわけで。隣の知らない哀れな娘ではなく、その娘に一目惚れして助けたい一心で受験勉強頑張ったが涙を浮かべる可愛い孫に感激して泣き伏せる祖母の東山千栄子など。涙も人それぞれ。ラグビーコーチの須賀不二雄が善人で優しくて爽やかでいつもの不二雄とのギャップに驚いたり。木下恵介が朗のために書いたホン、を小林正樹が撮りました。生まれてはじめて一目惚れした朗が通学電車や街中で若い女子たちをクスクス笑いながら盗み見して、学友に「綺麗な人ってなかなかいないねぇ」って話すシーンが酷いけどイイ。そこはきっちりブスを揃えている。ここも木下恵介って感じ。鹿の編み込みニット着て自室でクリスマスソングを英語で歌う朗。輝きすぎてて目が潰れるわ。小林正樹デビュー作の「息子の青春」ラピュタの添え物特集すっかり知らずに見逃して自分が憎い。あーいますぐみたい。

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