まごころの作品情報・感想・評価

まごころ1953年製作の映画)

製作国:

上映時間:94分

3.7

「まごころ」に投稿された感想・評価

「木下恵介がどうして自分名義で撮らなかったのか?」と言いたくなるくらいの傀儡映画。ホントに小林正樹が監督したのかな。良い作品なのでどっちでもいいけど。

デビュー作である前作『息子の青春』ではギリギリ抑えられていたものが初長編である本作ではブチまけられていた。つまりブローアップ作。全く繋がりはないけど続編と言ってもいいくらい。

前作でも大概だった石濱朗への愛情目線が、他には目もくれるなと言わんばかりにフォーカスされっぱなしで異常。驚きのテヘ演技、異様なまでの顔のアップ、知能を疑うくらいの純真さetc.が凄い。しまいにゃラグビーで泥んこにさえなっちゃうし。

混んでいる電車の中を石濱朗が見回して「美しい女性ってのはなかなかいないねぇ」とボヤかせているところは木下恵介イズムがビンビンで最高。セリフだけでなくちゃんと不細工な女性乗客たちの画をしっかり挿入しているw

物語は、金持ちボンボン受験生・石濱朗が、家の裏の陽当たり最悪なボロアパートに越してきた肺病持ちの野添ひとみに一目惚れ、名前さえも知らないまま夢中になるという純愛+難病もの。はっきり言ってありがち。でも本作は直球アイドル映画なのでそんな些細なことはどうでもよい。

孫(石濱)を溺愛する婆さん・東山千栄子が何げに素晴らしい。孫にはとことん優しいけど、近くの不幸な他人(=野添ひとみ)に対しては当たり前だけど無関心。それどころか比較して孫に「(あの娘に比べたら)あなたは幸せよ〜」とまで言う。決して悪人ではないのに。
死期の迫った野添ひとみのことを近所の飼い犬くらいにしか思っていないような口調で話すところに小林正樹らしいリアリズムを感じました。死んだ人のことをくよくよ考えるな、というところも。

とりあえず『息子の青春』とセットでマスト。