ミニシアターに勤める恵理は、子供を持たず、夫の史也とふたりきりで生活している。生まれてくる誰かの父と母になるのではなく、一生を互いの夫と妻であり続けようと決めたのだ。朝早く出勤する恵理のために史也はコーヒーを淹れ、夜遅く帰宅する史也のために恵理は温かい食事を作る。職場の苦手な上司のこと、愛犬の去勢手術、すくすくと育つベランダのゴーヤ、美しく咲いた朝顔の花、懐かしい母の訪問、友人の突然の死。喜びも悲しみも、恵理は史也と共有しようとする。毎日がゆっくりと積もるように重なり、層を成してゆく。そして、ある事態が、静かに、でも確実に、ふたりの当たり前だった日常にさざ波を起こす。特別ではない些細な日常をみつめ、人と人の関わりのなかに生まれる温かみや、ふとした瞬間に感じる孤独や不安を微細に描きだす。スクリーンに映しだされる夫婦の姿に、わたしたちの毎日が重なり合う。
ベルリン国際映画祭をはじめ世界で絶賛された『精神』(08年)の主人公の一人である山本昌知医師が、82歳にして突然「引退」することになった。山本のモットーは「病気ではなく人を看る」「本人の話…
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>>続きを読むゆみ子は12歳の時に祖母が失踪するという過去を持つ。25歳になったゆみ子は夫・郁夫と息子との平和な日々を送っていたが、ある日突然夫が列車に飛び込んで自殺してしまう。 5年後--愛する人を次…
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>>続きを読む⼈材会社の営業職を勤める新⽥純と⼤学⽣の⽩井結⾐は、付き合って7ヶ⽉のカップル。⼆⼈は仲睦まじい関係であったが、純は結⾐を抱けずにいた。“愛しているからこそ抱けない”純と、“愛しているから…
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