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「情熱の友」に投稿された感想・評価

TaiRa

TaiRaの感想・評価

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ポール・トーマス・アンダーソンが『ファントム・スレッド』を作る上で参考にしたという作品。音楽のジョニー・グリーンウッドにも見せたとか。

デヴィッド・リーンが『逢びき』に続いて手掛けた不倫メロドラマ。年の離れた銀行家と結婚したメアリーは旅行先のホテルでかつての恋人と再会する。その導入部の後は、9年前も再会した時に不倫関係になるが夫にバレて修羅場になっていたという回想。回想部分で面白いのは、夫が妻の不倫を知って居ても立っても居られない場面。出張先の会談を記録しながら、劇場のチケットや妻の写真がカットインして来る。ちなみに会談の相手はヒトラーだったりするから余計に不穏だ。劇場へ駆けつけた夫を照らす舞台のストロボも凄い。ここ含め全体的に光の演出が面白かった。あと風の使い方。まずメアリーと元恋人がキスする場面に風が吹く。不倫の始まり。元恋人が居間でメアリーを待っていると後ろの窓から風が吹き込み照明が若干暗くなる。やって来たメアリーは別れを告げる。風はいつも不吉な印象をもたらし、ラストの地下鉄では死を誘う風が吹く。現代のホテル場面で面白いのは、メアリーと元恋人がボートに乗ってやって来るのを双眼鏡を持った夫が今にも見つけそうでヒヤヒヤするとこ。先に気付いた秘書の表情ね。ベランダで手を振るメアリーをカーテン越しに撮ったショットも良い。ここでも風がカーテンを揺らしていて、部屋に戻ると一部始終を見ていた夫が黙って座っている。カットが変わると離婚届。やはり不吉の風。『逢びき』よりも不倫関係は深いとこまで行ってしまうが最終的には同じ所に着地する。

メアリー役のアン・トッドは当時のデヴィッド・リーンの妻。ボートに乗っているショットは『旅情』でも繰り返していた。