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さすらい
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『さすらい』に投稿された感想・評価

NHKの伝説的なドラマ監督、佐々木昭一郎の「マザー」(1969)に次ぐ第二作目。芸術祭大賞受賞。70年代初頭に“自分探し”の旅をさすらう青年をドキュメンタリータッチで描く。栗田ひろみ(当時13歳)のフィルムデビュー作。音楽:大野雄二、織田晃之祐。

北海道の教会孤児院を出て東京渋谷の映画看板屋で働き始めた15歳の安仁ひろし(渋沢忠男)。現実に喪失感を抱く彼はギター好きな職場の先輩・友川(友川かずき)の失踪をきっかけに旅に出る。フォーク歌手(遠藤賢司)、サーカスのブランコ曲芸師(キグレサーカス)、路上劇団(外波山文明と新宿はみだし劇場)、三沢米軍基地のジャズシンガー(笠井紀美子)・・・行く先々で出会う人々に、会ったことのない自分の肉親を重ねるひろし。「ここじゃない他のところ。この人じゃない他の人。今じゃない他の時・・・」。自分の居場所を求めるさすらいの果てには。。。

ずっと観たかった本作を遂に横浜で鑑賞。想像以上に好みで面白かった。個人的に佐々木監督のベスト。以降は少女が主役のフィルモグラフィーが続く中で、本作は青年が主人公なのもポイント。

佐々木監督が横浜の路上でスカウトした素人青年を主役に、デビュー前の友川かずきら若き日の様々なアーティスト達を配役した即興的な演出により、同時代のリアルな空気感を瑞々しく映画に封じ込めていた。本作がATGのラインナップにあったとしても何の違和感もない。赤いワンピースで登場する栗田ひろみが映画界でブレイクするのは2年後の「放課後」(1973)となるが、本作で既に70年代初頭アイドルのアイコンとして突き抜けた存在感を放っていた。

佐々木監督がラジオディレクター時代に共働し大きな影響を受けたという寺山修司は同年に「書を捨てよ町へ出よう」(1971)で劇場映画デビューしている。同時代の“自分探し”の青春を描いている点で本作と共通するところが多く、比較して考えると面白い。同作は寺山本人を投影した東北弁の青年が新宿をさまよう姿を前衛ロックにのせて描いていて、全編を“主観と土着性”が貫いている。対して本作は、北海道の教会から渋谷に出てきた青年(佐々木監督は東京出身)が東北をさすらう姿をフォークソングにのせて描き、その視点は“客観性があり都会的”に感じられた。

※歌は友川かずきが3曲、遠藤賢司が「カレーライス」をそれぞれ弾き語りで、後半はザ・バーズの「イージーライダーのバラード」(1969:作詞ボブ・ディラン)が繰り返し挿入されていた。青春のロードムービーにフォークソングを合わせる演出は翌年の「旅の重さ」(1972)、「戦争を知らない子どもたち」(1972)でも用いられていた。内容にも類似点があり本作の影響を受けているかもしれない。

ひろしが旅先で出会い親近感を抱く人々は、サーカス芸人、路上演劇役者、ミュージシャンと、一般社会からは外れた道を生きる表現者たち。高度経済成長期の末期、自分にとっての真実を求める生き様は一部の若者たちの理想像だったのだろう。現在の若者たちにも同じ傾向はあるかもしれないが何かが大きく違う。何だろう?自分が当時に憧れてしまう理由が本作の中にありそうだ。

終盤、旅の距離標のように浜辺に突き立てた木の棒が、あっさりと倒れてしまうカットが秀逸。旅は終わらず簡単に答は出ないのだ。70年代前半の日本の青春映画群の中でもとりわけお気に入りの一本になった。
なんだ映画の方にあったのか
昭和46年の気分、若者の喪失感をコレほど切り取った映像作品ってないですよ 「絵で見るPYG」みたいな
Flow Rivers Flow...
4.0
数年に一度やってくる佐々木昭一郎ブーム(個人的に)。大勢の人が同じように興奮し同じように楽しめる映画の力もすごいけど、この映画のようにおそらく観た人それぞれがいろいろな解釈、感じ方ができる作品も存在することが映画という文化の豊かさのひとつだと思う。監督が主人公役の人を墓地でスカウトする「ほんとか?」と思えるエピソードも好き(ググったら多分出てくると思うので興味ある方はぜひ)。遠藤賢司の名曲「カレーライス」はこの作品で知った。

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