旅の重さの作品情報・感想・評価・動画配信

「旅の重さ」に投稿された感想・評価

うどん

うどんの感想・評価

3.9
家庭内での悩みから、家を飛び出し四国でお遍路周りをしているある少女。
ドサ廻り劇団、トラック運ちゃん、魚の行商人等々、道中では様々な出会いが待っていた。

少女の人との距離の詰め方がわからない感じの挙動が妙にリアル。
映画館で遭遇した痴漢に昼飯を奢らせるシーンは笑った。

冒頭とエンドロールで流れる吉田拓郎の主題歌「今日までそして明日から」が身に染みる。
クレヨンしんちゃんの映画、「オトナ帝国の逆襲」のラストシーンでも流れてたなぁ。

個人的には最近新文芸坐で観た「北陸代理戦争」での熱演が記憶に新しい高橋洋子さん。
上映前に高橋さんのミニトークが!
「来年でこの作品も50歳、でも作品は年を取らない、私はどんどんトシを取るのに・・・」等々軽妙なトークをされておりました。

6/12@ラピュタ阿佐ヶ谷

真面目な斎藤耕一作品。
四国放浪記に近いロードムービー。

高橋洋子が輝いていた作品でもあり三國連太郎がそれはそれは佐藤浩市にそっくり。

そして何よりも吉田拓郎が歌う主題歌「今日までそして明日から」
素晴らしいです。
全編通して家出少女が母に宛てた手紙をモノローグにしているので、常に母の存在がそこにあり主人公の少女性が際立つ。そして最後はちょっとだけ垢抜けた笑顔で締めくくり。

水浴したり身体拭いたりで男も女もやたらと脱ぎ脱ぎ。高橋洋子は水も弾くようなピッチピチの肌でもちろん可愛いんだけど、どちらかといえば高橋悦史や三国連太郎(背中に和彫!)のおじさま素肌に惚れ惚れ。
旅芸人お姉さま横山リエとの女同士の絡みは、唐突だけど情緒的でめちゃ良。いちばん好きなシーン!

それにしても、ひとり旅いいなぁ。歩き続けるのは疲れるけど、知らない田舎の駅で降りて山とか海とか散歩したいな〜
スクリーンの中に過去の自分を見た。
辛かったときの、あの頃のわたしを見た。
でも、ひとつ自分でも驚いてることもあって。
哀れむでもなく共感するでもなく、こんなに一歩引いて古くからの友人のような気持ちでみれるときがくるとはあの時も今までも思ってなかった。

「頑張っても頑張っても人は離れていく一方じゃないの!」
と主人公が泣く場面。
その台詞そのままに思ったことが私もあった。
その実自分から遠ざけて拒絶していただけだったと今は分かる。

とはいえ、辛かったよなとも思うし、今でも全然引き戻されそうにはなることはある。
ただ、あの時と違うのは、それも含めて私の人生だったんだよなとも思うし、そしてそれは自分が投げ出さない限りはこれからもそうなんだよなとも思えるようにはなったということ。

なにも選ばせてもらっていないと思っていたけど、そのとき、何一つ選んでこなかった自分も同時に自覚して。これだけはと決意してわたしも家を出た。わたしも、旅の重さを背負いたかった。

そして、その先に色んな人と出会う。
自分の世界がどれほど狭く小さいものだったかを知る。

きっと前以上に傷ついたり傷つけたり怖かったりもしているんだけど、それこそが自分で選んだ旅の重さなのだという喜びもある。
他人との関わりの中でしか得られない楽しさもあると知る。

馬鹿な女の子の一時の気の迷いと言われたらそりゃ本当にそう(笑)
それで本当に嫌な思いをさせた人達にも、ごめんと思う。
でもそれを、「バカだったなぁ」で片付けられない時もある。
だから、「バカだったなぁ」と思える今日まで生きてみて良かったのかもしれないなぁと。
この映画を観て思った。

あとは、きっと、繰り返さないことだけだ。繰り返す手前でとどまれたら、とりあえず及第点くらいなんだろう。まあ私なんてどうしようもないやつだから絶対また同じことやると思うけど…笑
繰り返しそうになった時にどんな選択をしていくのかはすごく大事なんだと思う。それはきっとあの時とは違うものでなければいけないはずだから。


あと、午前中に観た田舎司祭の日記の「すべてが聖寵だ」も突き詰めればそういうことなのかなと思った。合ってるかは知らないけど、観ている最中にふたつの映画が繋がった感じがあった。

20歳の原点と似たような映画でもあるけど、あの時に思ったこととはまた違う感じの気持ちを抱いた。
かなり良かった
16歳少女の家出映画と言ってしまったらそれまでなんだけど舞台が四国でお遍路の文化がある 少女は自分を二十歳です!とか偽りながらお遍路に紛れて田んぼの間の細い道を歩き続ける ロングショットで彼女の歩みをずっと写してるようなカットが多いんだけど それにはなんか16歳の少女のナルシズムみたいなものが写っているような気もして良かった 白いシャツとズボン、麦わら帽子
モノローグで永遠に語られる娘から母への手紙
四国の自然
惹かれました
主演の高橋洋子さんは新人とは思えない、むしろ新人らしいのかもしれないが体当たりの演技といった感じで惜しげもなくカメラに自分の裸体、汗、涙を晒す
旅先で出会うおじさんに次々惚れる
痴漢にご飯を奢らせる強かさ
不思議と不快感なく見れるのは驚いた
でも行商人の所に転がり込んだくらいで少し退屈になってしまったかも
そしてそのまま映画は終わる
最後にほんの少しだけ小説好きの少女が出てくるところでまた復活して終わる
そして映画のはじめと終わりに流れる吉田拓郎…
otomisan

otomisanの感想・評価

4.2
 これの感想を爺目線で書くことになろうとは。
 大人はいやでも子供から見られていて真似されている。真似て、あるいは真似ようかと思っていやだと感じれば大人を嫌うかもしれない、さもなければセカンドオピニオンを探しに出ていく。その大人を心から締め出すとか、見えないところに行ってしまうとか。
 きっと似た者同士と分かり合ってるつもりの子と母だったろうから切っても切れずに娘は言葉を届けるんだが、教師の手前を取り繕う噓しか口にしない母も木村の男と暮らし始めた娘に何か自分と重ね合わすところがあったろうか、届いた手紙を裂いてゆく、あの締めくくりに母親も娘の言葉に得心いったのか?何となく男には分からん感じのものを覚える。これからも教師にも誰にも家出と告げない覚悟で娘の投企を見送るだろう姿に、いつか訪れる事と心中の娘のおき場所を封じる想いが湧いてくるんだろうか、いつか娘が舞い戻る時はきっと別の女を迎えるようなつもりになっている気がする。
 健康であるべきなのは、こんな出てゆかねばならない覚悟を支えるのは健康が第一だからである。その点、秋吉ではいけないし、やけに健康そうな高橋でなければ、欲望と愛着とに曝されて、旅の一座を去って死ぬまで歩こうと、歩き疲れようともありったけ燃やし尽くさねば続く立て直しが始まらないと映画が主人公を追い込むことができなかったろう。
 死の淵まで行っても木村の男が仏に見えたのならまだまだ生乾きという事だろうが、暮らしは濡れたり乾いたりの繰り返しで、乾き切っただの沈み切っただのと行き付いてにっちもさっちも行かないなんてそうあるわけじゃないだろう。それなら、母親とあの帯問屋の男との事を知って息苦しい際に沈み切ったと思ったからこそ日常から逃げて四国まで来たんだろう。だからその、ただ、どんなマエがあるか知れない木村の男の妙な落ち着きが差し当たり信じるしかないかというかよろしくというか思わせるんだが、そんな風に思ってしまうあたり、歳かなと感ぜざるを得ない。
mtmt

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3.5
16歳の少女が家出をして四国巡礼の旅をするロードムービー。彼女と旅先で出会う人たちとの交流を描いている。デビュー作となると高橋洋子が初々しい。また横山リエの出演が嬉しかった。物語に自分の情感が揺さぶる事はなかったが、美しい自然と素朴な田舎の街並みを背景にした少女の一人旅には少なからず郷愁を誘われた。
旅。少女。母の呪縛。出会い。別れ。
引きの画の使い方が良いと思った。
あと、音楽もいいしテーマ曲も良い!
MOND

MONDの感想・評価

3.6
結果的に少女は自分の欠乏を満たしたと同時に、それなりのやり方で母親に復讐したことになる。

母親は娘の手紙を静かに引き裂きながら、この映画の珠玉のメインテーマが流れる。

成長映画で胸を打つようにしながらも、日本特有の演出と感性で固定観念を破壊する妙な魅力がある。
R

Rの感想・評価

4.5
高橋洋子(新人)の熱演が見られる斎藤耕一監督作品。

音楽担当が吉田拓郎であり、冒頭から流れる曲『今日までそして明日から』(♪私は今日まで生きてみました……)を聴いた瞬間に「この映画は傑作だ!」と思ってしまった(笑)
拓郎が音楽監督をしているので、曲はレコードに収録されていた歌い方と違っていた気がする。

さて、物語は、16歳の少女(高橋洋子)が四国巡礼の「旅」に出る。お遍路さんになって歩きまわる。
もともとは、男出入りの激しい母親(岸田今日子)を好きな少女なのだが、旅に出た。

その「旅」を通じて、役者稼業の者たち(座長は三國連太郎)やその役者の中の女優などとの触れ合い。特に、その女優と一緒に、海で泳ぐ場面などは、高橋洋子は新人であるにも拘らず、裸体を堂々と見せている。バストも。女優魂を感じる。

更に、栄養失調だか疲れだかで倒れ込むようにして「旅の重さ」を感じていた時に出会ったのが行商人の男(高橋悦史)。この男、高橋洋子の看病をしながら一つ屋根の下で寝泊まりするのだが、結構ストイックだったりするのだが……。
最後は、二人は「夫婦もどき」の生活をして、物語は終わる。

この映画で、特筆すべきは「高橋洋子と道端で立ち話をする秋吉久美子の場面」である。
非常に印象的である。
予告編を見ると、「2000人から選ばれた高橋洋子(新人)」の文字が見られるが、このオーディションには秋吉久美子も参加していて、この2人が最後まで争ったとのこと。
新人公募で最終選考に残った二人が、高橋洋子と秋吉久美子というのは凄い!

斎藤耕一監督は、この映画の翌年、あの『津軽じょんがら節』を発表することになるのだが、斎藤監督はこの『旅の重さ』では四国の美しい風景の中で遍路旅する16歳の少女を描き、翌年は津軽の吹きすさぶ風景を撮影して、ノリにのっていた時期に撮られた映画。
実に、生き生きと人物が動き、美しい風景とあいまって、なかなかの佳作となった。
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