スウィート エンジェル マインの作品情報・感想・評価

「スウィート エンジェル マイン」に投稿された感想・評価

tukino

tukinoの感想・評価

3.8
失踪した父を探しにカナダ北部の田舎町に来た青年は私有地の小島で若い母子と出会う。自然に囲まれた閉塞的な島、薔薇園に続く不気味な木造トンネル。性に目覚める娘と外界から来た危険因子の誘惑。オープニングの自然豊かな情景に流れる音楽と交互に映される逃走劇&銃声とのミスマッチさが異様で心理的不安を煽る。所々音楽と場景との噛み合わなさが印象的で、音楽の進行的な流れに対し物語が生み出す陰鬱さや不安感は退行的で常に調和が保たれていない不気味さを感じた。勝手に私有地に入り込みキャンプしだす主人公の非常識さはさて置き、夕暮れの空を背景に聳え立つ家を納屋の内部から映し出すショットや多用される空撮などロケーションの良さも相俟って『シックハウス』の監督とは思えない程目を見張るシーンがあった。終盤シークエンスの木造トンネルに於ける過去と現在を行き来する並行モンタージュ的なフラッシュバック編集は滾る。自由を引き換えに失ったもの。外の世界に輝く夕焼けは美しい。

このレビューはネタバレを含みます

10年前行方不明になった父の消息を辿り
田舎町へやって来た青年
ふと立ち寄った島の海岸で見かけた女性に心奪われる。
彼女との接触を試みるが
それを妨げるかのように彼女の傍には常に母親の影が存在していた。




        ☆ --------------------- ☆



          ネタバレになるので
  ↓  作品が気になる方は閲覧しない方がいいです。 ↓




異性に関心を抱く多感な娘
その娘を外との世界から遮断するかのように執着する母親
母の目の盗み枕にしがみつく姿が切ない…
普通のホラーなんかよりも描写もリアル
でもそれをも薄くし消し去ってしまうほどの深い痛み
亡骸と共に葬りさろうとすればするほど
延々と続く囲いの囚われの身のよう。
風になびく髪、夕日に照らされる笑み、余韻の残る映画だった。
こぅ

こぅの感想・評価

4.0
人里離れ離れた森の中で繰り返される虐待と死の
歴史…。

カーティス・ラドクリフ監督のデビュー作で
埋もれた佳作【サイコ・ホラー】。

冒頭、森の中を必死に逃げる男…そして…

行方不明中の父の捜索で父が消息を絶ったカナダ
の町に辿り着いたポール(オリヴァー・ミル
バーン)は、町外れの美しい島でルシーン(マー
ガレット・ラングリック)という女性と出会う。
彼女は母親ミーガン(アルバータ・ワトソン)と
2人で農場に住んでいた。
ポールとルシーンは惹かれ合うがミーガンはそれ
を許さなかった…。

空撮や木造のトンネルを疾走するカメラワーク、
エレアコによる音楽、美しいがどこか不気味な
ロケーション。少しグロいシーンは現実では無く、
悪夢や妄想で描かれる。
娘よりも母親の方がセクシーだった。

【サイコ】+【シャイニング】など併せた不思議
なムードの心理ホラーだ。
初見より2度目3度目の方が味が出る⁈タイプの
作品なのかもしれない。


【哀しき余韻】を残すラストも良い。
行方不明になっている父親を探す旅に出た青年ポールがたどり着いたのは奥深い森の島。そこで二人きりで農場を切り盛りする母娘に出会うが…。

森の中で繰り返される虐待と死の歴史。母と娘は呪われた血によって固い絆で結ばれ、聖域に足を踏み入れる男たちを排除していく。

大して面白くなかったペスト×ホラー映画『シックハウス』を手掛けたカーティス・ラドクリフ監督のデビュー作ということにただただ驚きを隠せない。とんでもない映画を観てしまった…。間違いなく今年観た映画の中でベスト1位。

心寂しくも詩的で、まるで古いアルバムをめくるようなノスタルジーな雰囲気に終始包まれた悲しい悲しい物語である。オリヴァー・ミルバーンとマーガレット・ラングリックの演技もナチュラルで良かったなあ。

そして自然観察のために作られた長いトンネルがまた不気味だ。何故ならそれは聖域を侵す男たちが歩む死への道のりなのだから。

観終わった後でも余韻がひたすら押し寄せてくる忘れられない作品。埋もれるには余りにも惜しい。

ちなみにビデオ題は『猟奇殺人心理』という身も蓋もないウンコみたいなタイトルなのでこれを付けた人は正直に出てきなさい。