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『SOLARIS』に投稿された感想・評価

4.4
 今作は東京藝大2期生の濱口竜介の1年時の長編実習作品であり、黒沢清の目論みは傑作小説をどれだけ独自の映像世界に落とし込めるかである。そこで黒沢からポーランドのSF作家、スタニスワフ・レムの小説『ソラリス』を撮るならどう撮るかと全ての2期生達に提案があった。藝大の規模の予算感では、とてもSFなど出来ない。多くの生徒が荒唐無稽なアイデアを出す中、濱口だけは現実に撮れる妥協点として、宇宙船の中で行われる会話劇としてプロットを提出し、黒沢に見事に採用となった。とはいえ師匠の黒沢清からのこのような無茶ぶりを、まだ20代後半だった濱口竜介が正確に呑み込めるはずがない。偶然、かつて制作会社にいた山本大輔にCGを依頼し、作られたSFはSFといっても本格的なSFではなく、ドイツ構成主義のような陰影を強く意識した世界の中で、怪しげな人間たちのドラマの幕が開く。

 ソラリス・ステーションに乗り込んだ主人公・高野健二(松田賢二)は、その前にミッションに従事した3人の姿を確認するという使命を背負わされた。だが船長は既に1日前に自殺し、副船長(渋川清彦)はどうやら宇宙ノイローゼ(なんじゃそりゃ!!)になってしまったようで、コミュニケーションさえおぼつかない。もう1人は物言わぬ赤ん坊に憑りつかれているようである。主人公も実際にこの船で1日を体験し、衝撃の体験をする。それはかつて青年期に付き合っていたが手首を切って10年前に自殺した女(前田綾花)が眼前に現れることだった。トラウマは何度も何度も彼の眼前に現れ、例え宇宙の海へ捨てたとしてもまた翌日には眼前に現れる。正にパラノイアのような精神疾患に3人それぞれにかかっていて、それは惑星の崇高な意思だったという序盤を経て、中盤から心底とち狂った濱口竜介ワールドへと向かうのだ。もうこの頃から濱口の世界観におけるヒロインは「モノガミーの住人」だし、円卓を囲み食事をした時点から世界は崩壊へと向かい始める。渋川清彦の壊れっぷりは翌年の卒業制作『PASSION』を見事に想起させる奇妙な荒れっぷりである。

 筒井先生の話では東宝内に作った自社セット(と仰っていたはずだが自信がない)をふんだんに使用し、宇宙船の内部のだだっ広いセットを作って行く過程が一番大変だったと濱口は言う。戸外を得意とする濱口の演出は基本的には照明ではなく、ヌーヴェルヴァ―グのような自然光に拠る照明効果はあるが、宇宙船内部の撮影は照明が第一で、演者たちは照明が照らす僅かな光の中でどのような表情をし、どのように動くかがカギとなる。それ故にフレームの中、それも僅かな空間の中に役者たちを閉じ込め、終わってみれば今の濱口竜介の演出のスタイルとは真逆の作品になってしまったという反省点もあるという。然しながら今作の濱口竜介のアプローチを筒井先生は、「タルコフスキーやソダーバーグにも決して劣ってはいない」と断言する。東京藝大2期生最大のライバルだった瀬田なつきと船曳真珠は特撮に回り、吉田雄一郎、山田咲、吉井和之たちは助監督として今作を支えた。正に当時の黄金の2期生の集大成で、濱口以外は別に川端康成の『夕映え少女』を撮り、そちらは劇場公開までに至ったが、こちらは原作ものだからか正式な公開は一度もされておらず、映像化もなく、正に門外不出の幻の傑作となったのである。
4.0
彼は遠巻きによるサディストの方(マゾヒズムではない、であるなら自らの手に追えぬ俳優、女優を配置するはず)だが、案外この『SOLARIS』がパッションに継ぐ(あるいは瀬田的落語『はじまり』)(女性映画の)良作としてあるのかもしれない。亡霊のようにはかなくおそろしい。
物語演劇作者の濱口竜介。
田舎者セレブの映画祭アカデミー賞の快挙もさることながら、近作の映像はどことない望遠レンズと人物造形は凡庸な黒澤明を想起させる。近年のこいつが撮る正面ショットは、半可臭いから止めたらいいだろう。レヴィナス以前に、撮影する側の卑劣さの眼差ししか見えない。無価値のような顔。だが『SOLARIS』は少し違う。
圧倒的にジョエル・エドガートン(カーペンター)の顔が足りない。
東京藝術大学大学院 映像研究科 映画専攻 設立20周年記念上映会にて。

濱口竜介特集の日。


『入試三次課題作品テーマ:差別』
『遊撃』
『記憶の香り』
+

『SOLARIS』
+

トークショー(濱口竜介×筒井武文)

と続けて鑑賞。

『SOLARIS』は、当時藝大の教授だった黒沢清が出した課題によって実習制作されたもの。黒沢清はポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの原作『ソラリスの陽のもとに』は好きだけど、実写化された2作(タルコフスキーのとソダーバーグの)があまり好きではないそうで、生徒たちに新たに映画化する脚本を書いてみて、という無茶な課題を出したそうだ。学内コンペの形で、30人ほどが脚本を出したそう。中々映像化が難しいこの原作において、どうやったら確実に撮れるか、という点で濱口監督は脚本を書いたらしく、これなら撮れそうだと選ばれ、撮影に至ったそうだ。当時、藝大にスタジオができたばかりで、そのおかげで宇宙船内のセット撮影もできたようだ。

濱口竜介は1期の時には落ちていて、2期で再度受験し合格。結果的に2期の方がチームとしては良かったそうで、幸運だったと。(1期はクセの強い人間ばかりだった。)また1期ではスタジオはなかったので、その点でも運がいい。

さて、映画本編。課題制作での作品なので、当然版権問題があり、普通の上映は出来ず。それが勿体無いくらいの完成度な高いものだった。インディーズ作品としてはかなりのレベルが高いし、しっかりと和製惑星ソラリスになっていた。

主演は松田賢二。渋川清彦、前田綾花も出演。

筒井教授いわく、タルコフスキーにもソダーバーグにも劣ってない出来。世の中で上映することができていたら、濱口くんはフランスには行かず、ハリウッドに行っていたかもと。if濱口竜介を示唆。たしかにこういうSFなども観てみたい。濱口監督いわく、ジャンル映画としてはアクション映画も撮ってみたかったりするそうだ。ただし、そういう話がこないとか。でも、本人としては、面白そうな企画ならやるとのこと。

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