むぅ

おとなの事情のむぅのネタバレレビュー・内容・結末

おとなの事情(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

知らなくていいこと。

月食の夜、友人7人での食事会。
お互いの携帯を見せ合うゲームが始まったことで、月の光が消えるとともに大人の闇が浮かび上がっていく。


携帯なんて見たって良いことなんて一つもない、と思う。
でも見たくなる気持ちもよく分かる。
どんな関係にも、全く秘密がないって無いんじゃないかとも思う。

やめとけばいいのにー!と思いながら観入ってしまった。
メールも嫌だけど、検索履歴も結構危険!と思いながら。

彼の家に泊まりに行こうか悩む娘への父の言葉が素晴らしかった。
知らなくていいことだらけのテーブルで輝いた唯一の知っておいたほうがいいことだった。


↓とってもネタバレな感想







月とワインが見せた幻

「満月に戻った」
その言葉をきっかけに

結んだはずの髪の毛
先に帰ったはずの妻
仲間外れにされないサッカー
突き返したはずのピアス
着替えたはずの青いシャツ
続いていく浮気のメール

全ては飲む前のまま。

7人が飲んだビオワイン。
ビオディナミだったのだと思う。
ビオディナミは「土壌が本来持つエネルギーと自然界に存在する力で農作物の生命を高める」とされるもの。ちょっとスピリチュアルなイメージがある。
月の満ち欠けなど、自然が与えてくれる情報をもとに“本来のありのままの姿”で製法される。

ビオワインを差し入れしたコジモ夫婦の帰りの車で
「もうビオワインはやめよう」
「たくさん買ったの、まだ6本も残ってる」
月食の夜に出会うことになっていた7人と7本のビオワイン。

最初は、1番“ありのまま”に近いロッコがゲームを止める間に想像した最悪の事態かと思った。
そしてきっとロッコはエヴァの浮気に気付いている、と思う。
でも、ビオワインのくだりを聞いて、“ありのままの姿”をいつも見ている月とワインが、月食とビオワインが出会ったことで私達に見せてくれた幻、と思うことにした。

しばらく満月怖い。
むぅ

むぅ