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グローリー 消えた腕時計のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

グローリー 消えた腕時計(2016年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

鉄道保線員の主人公は勤務中、線路に大量の紙幣か散乱しているのを発見し、警察に通報する。
彼は運輸省から表彰を受けることとなり式典に出席する。この時、授与される記念品が腕時計だったため、式の直前に主人公の父の形見の時計を運輸省広報部の女性責任者が半ば強引に預かることになるが、彼女は忙しさから主人公の時計を紛失してしまう。主人公は時計の返却を求めるが、責任者は罪を認めず偽物を渡して誤魔化そうとするのだが...という話。
ブルガリア・ギリシャ映画。

汚職事件を追う社会派サスペンスかと思っていたのだが、労働者層の素朴な壮年の主人公が政争の只中にいる俗人物たちに振り回される様子を描いた後味の悪い作品だった。人間の醜さが集約されているお話。
本作に登場するキャリアウーマンの広報部責任者がとにかく胸糞悪い。仕事では成果を出すのだろうが、いつも強引で身勝手なやり方を通すため、自分が重要視したこと以外の事柄に目がいかない。トラブルが起きたら高圧的な態度でもみ消そうとする。僕が一番嫌いなタイプの管理職だった。慌ただしく働く彼女だが、さらに彼女は夫と不妊治療を受けているものだがら、忙しさに拍車がかかっていて、いつも時間的な余裕が無かった
対する主人公は吃音症持ちのため自分の意思を伝えることが苦手で、汚職には不満を持っているものの、基本は腕時計を返してもらいたい一心で動いている。
ところが、女性責任者は時計を預かったことすら忘れていて、時計を紛失しているのに探そうとすらせず、主人公の問い合わせ対応を部下に丸投げしてしまい、結局全く同じ時計を用意してお茶を濁そうとする。さらに主人公がマスコミに汚職と時計のことを暴露した後は知り合いの警官に依頼して主人公を脅して事件をもみ消そうとする。そして主人公は不正を働いていた同僚たちにボコボコにされる。本当に救いのない話である。
色々あって、ラストは時計を見つけた女性責任者が主人公に届けに行くのだが、ある意味スッとする終わり方だった。女性責任者は最後は罪の意識は感じていたものの、結局ひと言も謝らなかったんだよね。
でも、不妊治療成功していたから、旦那さんは可哀想かなあ......
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