シモン・マグスの作品情報・感想・評価

「シモン・マグス」に投稿された感想・評価

ロラン

ロランの感想・評価

5.0
オールタイムベスト。殺人事件の捜査を依頼された魔術師の男が、ブダペストからパリを訪れるところから始まる物語。しかし殺人事件は宙吊りにされ、映画はエンエディ的なファンタジーと都市のドキュメンタリーを往来する。

まず、列車が線路をゆるやかに進む冒頭のショットが素晴らしい。ここで一気に心を掴まされた。夜の市街の横移動、都市の空撮と、マルレン・フツィエフの『無限』のように、この映画には魅力的な都市の風景が溢れている。その都市とそこに生きる人々を観察する眼差しによって、ずっとエモーションが続くのもフツィエフの映画と同じ。

土の中で三日間を過ごして生還できるかという摩訶不思議なクライマックスが象徴するように「眠り」についての映画であり、反復されるその眠るという行為が、この映画が一つの「夢」であることを示す。

また、出会いの瞬間も特筆すべきで、主人公が冒頭で降り立った駅で一目で惹かれた女性に、街で話しかけられることで再会する場面には感動した。