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バッド・ジーニアス 危険な天才たちのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

父子家庭で育ったヒロインは、その優秀な頭脳を認められ、進学校に学費免除の特待生として転入する。定期試験で、ヒロインは数学で落第寸前の友人を機転を利かせて救い出す。その噂を聞きつけた友人の彼氏は、ヒロインに複数人相手のカンニングビジネスを持ちかける。ヒロインの考案した暗号による不正行為で多くの生徒の成績が上昇し、報酬はうなぎのぼりとなるが、ヒロインのライバルである生真面目な優等生が関わることで思わぬトラブルに発展して…という話。タイ映画。

あらすじから往年の名作「ザ カンニング」を連想する作品。でも、手法としては超天才である主人公が答えを暗号で伝えるものなので、恩恵を受ける側は全く学力は向上しなさそう。

ストップモーションを多用した演出はひと昔前の古臭さを感じたし、主人公たちが考案する作戦にもアラが目立ったものの、クライムサスペンスとしてはスピード感があって最後まで楽しめた。進学校におけるバカな富裕層の子息と、貧しい家庭の天才という対比も興味深かった。

校内テストでのカンニングでは教師側が答案を2パターン用意する対策を練ってくるだが、主人公が凄まじい回答スピードで2パターンとも解いて暗号を他の生徒に伝えるという離れわざを演じて驚かされるし、クライマックスのアメリカ留学統一入試では解いた回答を暗記して仲間にスマホで送信して教えている。つまり彼らは難解な試験を余裕で満点とりつつ、余った時間で回答を暗記できる能力を持っていることになる。ヒロインなんて、しまいには不正に気づいた試験官から全力で逃げながら記憶した回答をスマホ入力してるし。そんな奇跡的な学力あるなら、不正なビジネスせずとも将来的にはがっぽり稼げるのでは…

人間ドラマ部分では、不正に手を染めるヒロインと、あくまで真っ当な努力で上を目指す少年の対照的な2人の天才が登場する点が面白い。最後のミッションではその2人が協力しないと遂行できない作戦となっている。目的のために相容れない者同士が同盟めいた関係を結ぶのはユニークだった。反面、物語の結末は物悲しいというかしみじみ考えさせられる内容だった。事件終了後の天才2人の立ち位置が真逆になってしまうのは割とショッキングだった。最後にお父さんがヒロインを優しく許して支えている様子だけが救い。

エンドロールでペプシコーラとかサムソンのGALAXYがスポンサーだと分かるのだが、そう言えば作中で不自然にそれらの商品が目立ってたなあ(^^)
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