男子が女子が次々出てきて「あの子に声かけろよ」「え」「やってみ」とか。こういうのにはドレドレ…と見入っちゃうよね！　次々と人も画面も入れ替わる。群像劇かぁ。。
演出が時々あざとい。展開がぬるい。でも、いいところもいっぱい。途中で思ったのは、「ショートフィルム五つほどを、単に刻んでつなげたみたい」。個々の若者ドラマがほとんど交わろうとしないから。バラバラな上に、ちょっとずつ雑だったりもする。
既にそこそこ出来良いショートが並んでる監督のフィルモグラフィーにこれを、わざわざ作って加える意味は、そんなに大きくない。人の弱さや闇や不器用さやスルーされがちな失敗なんかを一つ一つまじめに拾いたい、見つめさせたい、という個性的な傾向はこれでますますきちんと定着してくるんだろうけど。“梢らしいフェミな優しみ” として？
てことで？　野本梢さん（監督・編集）の初長篇作というよりは、三浦賢太郎さん（企画・脚本・製作）がやりたいようにやっただけじゃない？　そして、編集作業が楽しそう。。。

脚本は、、まあまあかな。
「その花火大会を観に行ったカップルは、永久に別れない」って発言が出て以後、なお接点を持とうとしない各人物たちに私たちは「じゃあ、それぞれが一番大切な相手とくっついて、花火大会の場を山場としてだけ共有するわけね。せいぜい私らをもハッピーにしてちょうだい」と大予定調和な大団円を覚悟。
だが！　終盤になっても各人物はあまり幸せになろうとしない。どうもおかしい。別れる者たち。予定を邪魔される者。思いが届かぬ者。え？　え、じゃあ、こういうことか、「全員ハッピーっていうエンドじゃなく、ゴールできるのは一組だけね？　花火大会に唯一辿り着ける二人組はどれかっていう、レースを見せられてるんだ。“ピーチフラッグな群像劇” なんだ！　スリリングかも！　新味かも！」　
個々のドラマの根底も、全部魅力的だった。魅力を支えるのはもちろん演じ手たち。その中では、別格のスクリーン映え演技力の根矢涼香さんが（群像レース劇全体とはちっとも関係なく）単独優勝してたほか、土山茜さんの貢献度が高いね。
みんな頑張ったよ。どうぞお互いを褒め合ってね。自主邦画界のステキな頑張り屋さんたちがこんなに集まって、わかる観客にはわかるドリームチーム映画だったと思う。映画界から今や遠くの遠くの世界へ去った古山憲正くん（カランコエでのワンポイントな好演が忘れがたい）の引退作なのかな。
低予算なりにキャスティングへの監督の集中力とか本当に尊かったと思うよ！！
約五つの並行ドラマのうち、私は「童貞くん」と「漫画家」を推すよ。流れの自然さで甲乙つければ「童貞くん」。ほら、優勝的な根矢さんの崇高さはドラマ比べとは特には関係ない（微笑）。

でも、、雑だよね。

◇脚本由来の雑さ◇
・漫画関係の嘘のところ、面白くはあるがエスカレートの仕方が後半すごく非現実で、最後に告白あっても「キモ……」となっちゃって友達は逃げたくなるのが普通だ。あの “わが道の見つけ方” に私はなごめない。
・継母の真情激白、絶対決裂必至。あれ以後に仲が改善するのはいいとしても、その改善のきっかけが拙速。
・高校生間のレズみ（の可能性）とか、中途半端。単純に標準的な三角関係に徹したほうがいい。

◇演出の至らなさ◇
・妙にエロいお祖母ちゃんと孫が、まるで近親相姦しそうに見えた。狙ってそうしたとは思えない。もっと普通にほっこりせつなくさせるべき。
・愛が本当に高まっての初キス、わずか数秒であっさりセックスへ？　何十秒でも熱いキスを続けてほしいな！　童貞くんだもん！
・ほか、バラバラ群像劇をまるで “暫定的に” まとめ上げる方策としてか、各役者の元々の個性に頼りすぎたみたいなデフォルメ演技のディレクション。それが全体として鼻についた。───ナンパ塾主宰者のいかがわしさを不慣れっぽい斜め浮遊感で表現してみせちゃってる高橋雄祐くん（珍しく今回ちょっとヘタじゃない？　コンパでは華の一人になりそうだけど街ナンパでモテる顔じゃないし。不特定多数からはプイッとされやすいけど常に何らかの彼女がガッチリいる、というモテ方をするタイプだろう。彼を街ナンパ得意男に見せる高度な演技させがもっと必要だったということ。シャツが結局はキモかった。髪型や髪色にも講師らしさの工夫がもっと要った。そして、後半の祖母ちゃんとのシーンで挽回はしてた）。非モテ系を特徴的すぎる髪型等々でスタイリッシュに強調してる桜井保幸さん（お笑い系へと自身を定めるのは早すぎる）。すぐ口ごもっちゃう童貞最強調の時間帯が前半やりすぎだった清水尚弥くん（後半は最高のピュアを表現できてたしとにかく最高ぎみな人ではあったが、そもそもイケメンだからもっとモテるはずであって女子待ちするまでもなく逆ナンパの機会多いはずなので、オドオドの強調が本当にやりすぎだった）。キャピキャピ女子高生をこれまたデコデコピカピカ強調する手島実優ちゃん（年齢を確実に重ねてる以上はもうカランコエの自然演技をどんどん超えてほしいのに）。とかが、「いつもの個性を強めて発揮してます。このために呼ばれたんだからね」という“力量内デフォルメ”をさかんにやってくれちゃったことで、リアリズムが削がれた。

◇脚本演出両方ダメでしょ、ここ◇
・海外旅行に誘われてお金全然ない、ってことを表現する時に、貯金箱を開けて、コインばっかりが出てくる。三浦台本には「一万円にも満たない」と書いてある。これだけでもベタだったが、梢演出では、何と、十円玉ばっかりで、百円玉と五十円玉を選り分けても「銀色全体で千円ちょっとしかない」。海外旅行に誘われた二十代の女性が貯金箱をわざわざ開けて千円少々のコインを眺めて数えるか？？？？　漫画やドラマでベタベタに使い古された描き方「貯金箱の中身はこんなに少額」をこういうふうにやって、私たち映画観客をバカにしてるみたいだった。

◆何となく印象的だったとこ◆
・ＣＯＡＣＨのバッグの使い方（微妙で絶妙で）
・ナンパ塾と、漫画部屋とで、同じブラジャーが使い回された（←低予算？）

• #マリと梢

プライム・ビデオ鑑賞
花火大会に目指して集まる、うまくいかない若者たちの悩みを描いた偶像劇。
皆の若い芝居がとても物語にマッチしており、地に足がついたようなリアリティがあります。
初めは皆軽い見栄なんかばかりに感じるのですが、でも逆にそれに見入ってしまってました。
ラストの解放感は心地良かったです。
思いの外面白い作品でした。

それはそうと、ナンパ塾・髙橋雄祐の服がまぁひどいw

ナンパ塾を経営しながら祖母と2人で暮らす淳。自分がいい歳して童貞であることに引け目を感じる圭太。キャリアウーマンとして働く同級生と再会し、未だバイトで生計を立てていることを言えずに嘘を重ねてしまう楓。友達に彼氏作りの応援を頼まれる理恵。血のつながらない、反抗期の息子との関係に悩む真希…それぞれ人間関係や自分の置かれた環境に悩みながらも花火大会の日は近付く…というお話。


群像劇でフィーチャーされる人数もそこそこ多いけど、タイトル出るまでの間にある程度人物が把握できたり、画面に映る情報だけでその人物の背景が掴めたりと何かと手際の良さが目立ちすんなりと物語に没頭できる。

人生が上向きそうな予兆の描き方、そしてそこから落とし穴があって一気に気まずくなる展開の描き方には全然作為的じゃなくて唸ったんですが、個人的には良い方にも悪い方にも劇映画としての大袈裟なドラマチックな展開があっても良かったのかもとは思いました。

楓だけは一線超えてる。やばい。