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82年生まれ、キム・ジヨンのfieldのネタバレレビュー・内容・結末

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりの映画館はとても素敵な時間だった。

チョン・ユミさんの大学生の就職直前から三十代まで経年変化とキャリアウーマンから母親までのオンオフの変化や義母家族と自分の家族、そして旦那であるコン・ユとの家族の隔たりや男性優位な社会からの軋轢に揺れ、病気に曇るその表情、流石と言う演技力で演技面では核になってた。
コン・ユは女性の偏見が常態化した男性社会との架け橋になっていたが、妻の変化に対して手探りしようとする優しさも良く現れてて、涙を流してようやく妻と夫婦になれたシーンはグッと来た。
そして一番はチョン・ユミ演じるジヨンの母親役ミスクのキム・ミギョンさんの演技が素晴らしく特に娘の異変に気付き振り返った表情、気付いてやれなかった歯痒さを感じ抱きしめるとこは号泣に近かったが、自分の夫や男性優位が当たり前になってる家族に対し泣き叫ぶシーンも胸に迫る。
良き夫であろうとするコン・ユのデヒョンも、母ミスクも知らず知らず染み付いた価値観がある。

優しい母親により社会に対し違和感を覚え引き金から心を蝕まれてしまったが、目に見える昔からある男性優位が普通だと思ってしまうのは当然でそれ自体は悪い事ではなく、公園でゆっくり寛ぐだけで専業主婦は呑気なものだと嫌味を言われ、女性は男子を産むべし、嫁たるもの率先して家事をすべしと、男子厨房に入らずを地で行くような価値観に対し批判するよりももっと大きい枠組みで当たり前の事を当たり前としてて良いのか疑問を投げかける意味合いが強かったと思う。
あるあるに対し苦言を呈す勇気を後押しする為も勿論、しかし寄り添うような優しさがある。
決して男性や社会に対して被害者面してる訳ではないがそう感じる人も少なからずいるだろうし、小説家を夢見てたと言うのは感受性故に辛かったと批判を交わす狙いがあったかも知れない。

原作との乖離は読んでないので分からないが演技を考慮してか義母の押し付けや周囲の反応は程々に、ストーリーに重きを置いている。
韓国内では中流家庭なのか、普通の女性が結婚し違和感に悩み苦しみ、夫と家族と一つになる過程にドラマがあって、その中にメッセージがある。希望の見える締めくくりも程よいバランスだったし、普通であるが故に氷山の一角なんだろうなと色々考えさせて貰える作品でとても良かった。

ラストに相応しい叙情あるエンディング曲、ヘン「ゆらゆら」も素晴らしかった。また観たい!
(Hen/Wavingly Wavingly)
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