【1979年キネマ旬報日本映画ベストテン　第9位】
『華麗なる一族』山本薩夫監督が山本茂実の同名ノンフィクションを映画化した作品。キネマ旬報ベストテンでは第9位に選ばれたほか、配給収入14億円を突破し社会派映画としては異例の大ヒットとなった。

1時間半という長尺は正直長すぎるとは思ったが、そこは流石の山本薩夫。ダレることなく女工の運命と製糸産業を交差させて描いている。

大竹しのぶ、原田美枝子といった当時の若手スター、三國連太郎、地井武男といったベテランも真に迫った素晴らしい演技をみせている。

とにかく過酷な女工生活が描かれ胸が痛い。暴力にセクハラパワハラは当たり前、逃げられない牢獄のような生活。いくら時代だとはいえ可哀想。ひたむきに明るく頑張る大竹しのぶ演じるみね、一匹狼のような原田美枝子演じるゆき、二人を中心に女工たちの過酷な運命が描かれる。

若旦那が最悪すぎて殺意が湧く。二人の女に手を出したあげく中絶を強制、後半では暴君のように振る舞うその姿が憎たらしい。

雪に包まれた飛騨の厳しい天候もまるで逃げられない牢獄のよう。どっちに転んでも地獄でしかない彼女たちに共感させられる。

とはいえこの上映時間は長すぎる。もう少しコンパクトにできるのではという箇所も散見される。また、山本薩夫のメッセージは素晴らしいが、キレが鈍ってきているような。全盛期にみせた山本の鋭さはあまり感じられなかった。

こんな運命を辿った女工はいっぱいいるんだろうな。辛い映画ではあるが、彼女たちのどうにかして生きるしかないというエネルギーも感じられる一作。全盛期ほどのキレはないが、社会派監督としての山本を存分に感じられる逸品。

• #キネ旬日本ベストテン1979

明治時代。
過酷な状況の中、製糸工場で働く少女たちの物語。

貧しい家の少女たちは、身を売られるのと同然に出稼ぎに出される。
口減らし。
そんなに経済的に苦しいなら、何人も何人も子供作るなよ、父ちゃん、母ちゃん。
長男、長女はいい迷惑だ。
それでも素直な子供達は、父や母、弟妹のために身を粉にして働く。

低賃金の長時間労働。
劣悪環境。
雇い主や指導者は鬼だ。
少しでも気を抜いたり、意見を言うと殴られる。
いや、何もしなくても殴られる。
パワハラの極致だ。

それでも少女たちは死にもの狂いで働く。
ホントに死んだりもする。
何人死んだんだろう。
人の命を何だと思ってるのか。
いや、人だとは思ってない。
「お前らは機械だ」と言い放つ指導者。
指導になってない。
何度も言うがパワハラの極致だ。
もう、殺人だ。

配役が素晴しい。
大竹しのぶを始めに、原田美枝子、古手川祐子、友里千賀子、岡本茉利らが演じた個性ある新人工員たち。
純朴な少女たちのそれぞれの運命を感情豊かに表現している。
特に大竹しのぶの健気な姿が愛おしい。
家族のため、友のため、必死で生きた彼女の若い魂に胸を打たれた。

悲しみのラスト。
これはきっと号泣間違いなしだろうと集中したが、突然、先日観た『黒い家』を思い出した。
蘇った「乳、しゃぶれー！」の “サイコパスしのぶ”。
あゝ無念。
怖くてやっぱり泣けなかった…。


教訓／『あゝ野麦峠』の前に『黒い家』を観てはいけない。

• #あゝ無念峠

製糸工場の重労働下で働く女性達の話。
この時代の日本背景は実際の所はどうか分からないが、この作品は楽しめた
あまり好きな感じの作品ではなかったが、見る価値はあると思います
大竹しのぶがめちゃめちゃ演技がうまかったです