河豚川ポンズ

エターナルズの河豚川ポンズのネタバレレビュー・内容・結末

エターナルズ(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

マーベル世界の神話な映画。
ハリウッドに渡ってもマ・ドンソクの必殺技はやっぱり平手打ち。

7000年前の地球、惑星オリンピアからやってきたエターナルズたちは、上位存在“セレスティアルズ”のアリシェム(デビッド・ケイ)から任務を受け、人類をディヴィアンツと呼ばれる怪物から守るために送り込まれてきた。
エターナルズたちは人間同士の争いには介入せず、あくまでディヴィアンツから人類を守り、文明の発展を陰から支える存在として暮らしてきた。
そして現代、ロンドンで学芸員として仕事をするエターナルズのセルシ(ジェンマ・チャン)は、恋人のデイン(キット・ハリントン)に同棲を持ち掛けられるも、同じくエターナルズのスプライトと住んでいること、そして自分の正体を隠していたため答えを出せずにいた。
そんなデインの誕生日パーティーからの帰り道、500年前に絶滅させたはずのディヴィアンツに突如襲われる。
セルシたちは応戦するもそのディヴィアンツは絶滅させたものよりもはるかに強く、2人は窮地に追い込まれる。
しかしそこに同じくエターナルズのイカリス(リチャード・マッデン)が救援に駆け付けるのだった。

もう何も包み隠さず言うなら感想の第一声は「まーーーーーーーた内輪揉めしとるんか」という感じ。
もうアメコミ映画で仲間割れしてないパターン探すほうが難しいと思うレベル。
しかも今回が全員初登場なのにさっそく仲間割れしてて、気が早すぎてびっくりした。
でもストーリーの雰囲気はいつもの勧善懲悪とは一味違ったテイスト。
ここら辺が賛否両論に繋がってるのだろうか。
何だか大作SF映画みたいな画作りの中で展開されるのは、悠久の時を生きるエターナルズたちにとっての自由意思とアイデンティティ。
セルシやファストス、ドルイグ、ギルガメッシュは自分なりにアイデンティティを見出していたことで、エターナルズの秘密を明かされた後も地球に戦い続けた。
一方のイカリスはエターナルズとしてセレスティアルズに忠誠を誓うことに固執した結果、対立してしまうことになった。
スプライトやキンゴもアイデンティティ以上にイカリスに付いていきたいという思いがあったからこそで、本質的にはセルシ達に近かったり。
現にキンゴはイカリスを信頼していたからこそあれ、セレスティアルズを復活させた方が良いと言いつつも最終決戦には加わらなかったし。
イカリスは努めて人間社会には関わろうとしなかったからこそ、セレスティアルズ出現の手段としてしか見ていなかったけど、セルシたちは人間と関わることで愚かさも含めた人類愛、人間賛歌を感じ取ることが出来ていた。
そして劇中でドルイグがその素晴らしさの根源を多様性と表現している。
思い返せばこの映画のキャストは有色人種や聴覚障碍者だったり、いわゆるマイノリティ側の人が多くキャスティングされている。
ここで監督クロエ・ジャオの作家性が大爆発しているのだが、結局のところ多様性を生み出す要素の一つであるマイノリティの存在意義を命がけで守るというのがエターナルズの物語だった。
でも説教臭くないというか、くどくなく話の中にスッと盛り込んでくるあたり、やっぱりアカデミー賞監督は一味違うなあ。
まあぶっちゃけ、セレスティアルズがエターナルズを創造した時点で、新たなセレスティアルズを出現させるための任務ということを理解させて、それに疑問を抱かせないようにしておけばよかったんじゃない?と、観終わった今になってモヤモヤ感じるけど。

アクションは既視感のある能力持ちばかりの割には結構面白かった。
自分はスピードスターのヒーローが好きなのでマッカリの戦い方とかめちゃくちゃ好きだし、続編にも出てきそうでうれしい。
というか、マッカリ役のローレン・リドロフって40代なの⁉
代表作に最近のものが多いからてっきり20~30代くらいなのかと思ってた。
あと、監督が「幽遊白書」が大好きということからモロに意識していたキンゴの能力もよかった。
ギリギリまで敵を足止めして敵の懐に潜り込んで霊丸的なアレを打ち込むシーンとか熱すぎる。
あんなの世界中の子供がまねしちゃうよ。
そしてアクションと言えば、アンジェリーナ・ジョリーとマ・ドンソクの最強コンビ。
アンジーは女優以外の仕事で話題になることが最近多かったけど、槍を構えて戦ってる姿を見るとやっぱりムービースターやなって。
マ・ドンソクは海を渡ってもいつものマ・ドンソク。
化け物相手に正拳突き、山突き、そしてとどめの平手打ち!
鮮烈なハリウッドデビューを飾ったマ・ドンソクだけど、MCUでの活躍は一先ずこれで終了なのがとにかくもったいない。
ジェンマ・チャンも別キャストから主演張ってるんだから是非とも何らかの形で再登場してもらいたいところ。
宇宙の鍛冶場(?)だか何だかにエターナルズのスペアとかありそうだし、そこらへんで何とか…!

ポストクレジットからサノスの弟ことスターフォックスや、キット・ハリントン演じるブラックナイトなど、これからのフェーズ4が盛り上がりそうなポイントも多くて、MCUもまたまた盛り上がって参りましたね。