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暴行
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『暴行』に投稿された感想・評価

菩薩
4.5
女性がケーキを2個買おうものなら恋人の有無を確認される冒頭から非常に嫌〜な映画であるが、たかだか70分尺の中で性的被害→アイデンティティの喪失→緩やかな回復→フラッシュバック→再起まで持っていきなおかつ社会構造そのもの病みににまでメスを入れる見事な構成。彼女を救う男性もかつては信仰を喪失した牧師、喪失の経験と言う点では共通しているのか、傷ついた者にこそ訪れる幸福があると説き社会そのものの変革の必要性を説く。性的な問題が起きた際などに、それに即座に反応しなければフェミニストは肝心な時はダンマリだな〜とTwitterを世界の中心か何かと勘違いしているアンチが蠅の様に沸くのが通例となっているが、いい加減男性から女性への性的な「加害」は男性自身の問題であるし、社会そのものの欠陥の産物である事に目を向けるべきなのでは。女性は夜道を一人で歩けない、洗濯物を外に干せない、オートロックでないと安心して住めない、女性が安心・安全に暮らしていく為に「常識」とされている事を世の中は当たり前の事として受け入れ過ぎではないかと常々思う。娘の惨状を目の当たりにした父親は警察に向かってなぜこう言う事件は無くならないのだ?と詰め寄る、それに対して警察は我々に出来ることは法の範囲内で犯人を逮捕し続ける事だけだと虚しい正論で返す事しか出来ない。女性が自らの身を守ろうと自衛に努めればそれ自体に眉を顰める某かまいたちの様な男性もいる。この歪んだ「当たり前」をいつまで継続していくのか、それを考えるのは女性以上に男性に責任があるものと個人的には考えている(だいぶ映画関係ない)。
4.6
未だに日本未公開、DVD化すらされていないという不遇な作品でアイダ・ルピノ監督による女性ならではの不安神経症にフォーカスを当てたサスペンス。今ならYouTubeで簡単に観ることが出来る。

やはり女流監督ならではの繊細な描き方で男性恐怖症、心理的トラウマといったモチーフの数々が其処彼処に見受けられ興味深い。冒頭の陰影深いトーンのモノクロ画面からグイグイ引き込まれる秀逸な演出。

マーラ・パワーズ演じる主人公が過去に暴行されたトラウマからどんどん人間不信に陥るところを後半、男性に助けられる辺りで一気にメロドラマっぽくなるがそこまで違和感はない。ラストのバス停留所での「別れ」のシーンなどは特に切ない。非常に洗練されたフィルムノワールの傑作と言っていい。とことん密度の濃い75分間である。

是非ともブロードウェイかジュネス企画でDVD化して欲しい所だが、目処が立たないのだろうか。出来れば日本語字幕付きで観てみたい…。
なんというか、すごい先駆性。

1950年のアメリカ、男性至上主義なんて言葉も聞かれないほど「男が女の上に立って当たり前」の風潮だったんじゃないのか。「そんなもの、襲われる女が悪い」って誰もが平気で言ってそうな。

男性から“暴行“された女性は、同じ女性たちのコミュニティによって擁護されるのではなく、男性によって救われる。

そしてその男性は、守ってあげるという「上から目線」ではなく、女性の痛みを受け入れ、ただ隣に寄り添うという「横から目線」において存在する。

そしてその物語は、女性監督によって描かれる。こういう映画、同じ時代に他にもあったのだろうか。

と同時に、何かを映画で表現するにはもう、75分でじゅうぶんなのかもしれないとも思わされる。何もかもを削ぎ落としてミニマルにしていくのではなく、ちゃんと全てを語ったうえで、75分なんだもんなあ。

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