明日をへぐるを配信している動画配信サービス

『明日をへぐる』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

明日をへぐる
動画配信は2025年5月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

明日をへぐるの作品紹介

明日をへぐるのあらすじ

土佐和紙の原料となる楮(こうぞ)をめぐる山里の人々の暮らしを記録したドキュメンタリー。高知県の中でもローカルな方言である「へぐる」は、特殊な包丁で土佐楮の皮から表皮部分を削ぎ取る作業のことを指す。高知県の山あいの町で楮を丁寧にへぐっていく90代の女性たち。楮の外皮を何度も削り落とし、繊維だけを残していく。そうすることで、楮は1000年以上の耐久性を持つといわれる和紙へと生まれ変わっていく。その手わざや佇まいからは、世代を越えて受け継がれてきた山里の暮らしが見え隠れする。手間もかかり大量生産もできず、継承者もいないことからやがて失われてしまうのではないかと言われているへぐりの作業をはじめ、楮を栽培し、紙を漉いてきた人たちの暮らし、そして和紙の文化そのものを通して、効率性や利便性を求めるがゆえに余裕が失われてしまった現代社会の日常を見つめ直していく。

明日をへぐるの監督

今井友樹

原題
製作年
2021年
製作国
日本
上映時間
73分
ジャンル
ドキュメンタリー

『明日をへぐる』に投稿された感想・評価

Yukiko
4.0
2022年3月20日     映画上映会にて観賞
『明日をへぐる』   2021年日本制作
監督、今井友樹。

高知県いの町吾北(ごほく)地区。
土佐和紙の原料となる楮(こうぞ)の栽培から、和紙の
原料に加工し、製品化するところまでを、地域の人々に
密着し撮影したドキュメンタリー映画。


「へぐる」とは、高知の方言で、特殊な包丁で土佐楮
(とさこうぞ)の皮から表皮部分を削り取る作業の
ことを指す。
冬に収穫した土佐楮を、蒸して皮をはぎ、その皮の
線維が土佐和紙の原料となる。
100年以上前から続いている。

登場した人々に90歳の女性がいる。
農閑期、この地域の急斜面の山の畑で取れた楮を
へぐる作業をする。
貴重な収入源だが、年配の人々が作業をしている。
継承者がいないという現実、いずれなくなっていくのでは
ないかとも言われる。

土佐和紙の手漉き(てすき)工程や用途が映ってはいたが。

先日、秋田県の漬物、「いぶりがっこ」が改正食品衛生法
により、専用の製造所設置や営業許可の取得が義務付けられ、
廃業が続出する問題がテレビのニュースで報じられた。

此方も農閑期の貴重な収入源で、各家庭の年配の人々が
個人で作業をし、出荷している商品だ。
後継者がいない問題も同じで、その上衛生面に特化した
作業所の設置の問題で、設置費用が多額ということもあり、
いずれ個人での出荷はなくなっていくか、或いは
工場で均一の味つけをした商品が出荷されるようになるか。

いぶりがっこを口にするのは、数年に1度くらいだし、
和紙を手にするのは、もっと少ないかな。
両方ともに日本の伝統文化なのに、日常的に目にしない
商品だ。

だからこそ、このように記録映像のようにドキュメンタリーで
残していたら、後世の人々にとって貴重な映像になるね。
楮(こうぞ)を栽培し加工して和紙原料として現金収入を得るという土佐山間の農家の人たちの一年半。

シグロの製作ということで、懐かしい東陽一さんの『絵の中のぼくの村』が引用されている。あの映画の中の楮蒸しのシーン、まるで忘れておりましたが、今の風景と寸分違わずでちょっと感動。

それにしても『絵の中の〜』といえば原田美枝子さんの美しい裸身、ですが、原田さんは今日の映画ではナレーションを担当しとられました。
シグロとは縁の深い方なのでしょうね。
台風近づくポレポレの最終日に滑り込みで。

先日、江戸時代から続く和紙店に出向く機会があり、その種類の豊富さと価格の高さに驚いた。古くから日本建築にも使われ続けている和紙について興味が高まっていた中で本作を知り、ギリギリで鑑賞できた。和紙はなんとなく好きだが紙漉きの様子をテレビか何かで何度か観た程度で、知識がほとんど無い状態での鑑賞。

高知県吾川郡いの町が舞台。山間部の村で古くから土佐和紙の原料である楮(こうぞ)栽培をめぐるドキュメンタリー映画。娯楽映画というよりはNHKの教育ドキュメンタリー的空気感だが、資料的価値が極めて高い。1000年という和紙の耐久性、強度、性能の高さ、独特のやさしくてかわいらしい質感は洋紙では代替不可能な価値を有する文化財なのだと認識。和紙に限ったことではないが、後継者不足により衰退しつつあるこのような潰えてはならない産業や文化に対し、自分は何ができるのだろうかと巡らす。

不思議な形の楮の木(それは天然物とは異なり、毎年の刈取りを繰り返すことで出来上がる人間と楮のいたちごっこの末に完成する樹形であると後半でわかる)すら初見だったのだが、和紙の材料となるのは楮の芯ではなく、皮だという。「皮しか」使わないのだ。その希少性を想い途方にくれる。映画内では取り立てて描写がなかったが(畑の描写などでさりげなく写り込んでいたのかもしれない)、皮を剥がされた楮の幹も、畑の農作物の支柱などに活用されているようだ。非常に硬いらしい。

楮を育て、刈り、和紙になるまでの地道で繊細な作業工程の数々。それらは機械化できず手作業工程ばかりであることを知り、更に驚く(途方も無い手間暇をかけ、一年に楮から得られる一つの農家の収入は年間30-40万円だという…。)。かつては楮の他に、みつまたも栽培していたが、昭和51年の台風による山崩れや、道路や川の決壊・氾濫を機に、山を中心とした地域のライフスタイルは次第に変化した(林業以外の従事者が増加)ようだ。

林業についての歴史と現状について説明するインタビューカットもあり、楮栽培も産業の括りでは林業なのだとハッとした。1950年位から20年ほど無計画な過伐採が続いたという。それは、森林本来の機能性や秩序、摂理を無視したものだった。現在、林業との向き合い方も慎重かつ科学的な方向へシフトしつつあるようだ。

結(ゆい)、催合(もやい)、という地域コミュニティなしには成り立たない楮農家の話は、とても懐かしい気持ちになった。子供の頃にじいちゃんの田んぼの稲刈りなんかを家族総出で手伝った記憶が蘇った。100歳近いおばあちゃんが特徴的な形の「へぐり包丁」をつかい談笑しながら作業する様子は、微笑ましく豊かで羨ましい。ラストで種明かしされる「もやい的」な音楽も心地よかった。

土佐和紙を用いた版画制作や、和紙による古文書の修復作業、坪量3グラムという驚くほど薄く軽い機械漉きの和紙など、和紙が実際に使われる具体的な描写が多くあったことも良かった。

建築に携わる者として個人的にでも、和紙を守り、使う道を見出せればなと思った。障子や襖としての利用はもちろん、和紙を使ったあたらしい建具なども考えたい。沸々とインスピレーションが湧いてくるドキュメンタリーでした。

台風直撃、朝一のポレポレは10名弱の観客の中、監督による舞台挨拶もあり非常に贅沢な時間だった。売店にて本作のDVD(!)とパンフレットも購入させて頂きました。事あるごとに知人や仕事仲間に紹介していきたいと思います。劇中で紹介された(この映画とおなじ地区で撮影された)『絵の中の僕の村』(1995)も観てみようと思います。

『明日をへぐる』に似ている作品

風の波紋

上映日:

2016年03月19日

製作国:

上映時間:

99分
3.7

あらすじ

舞台は越後妻有(えちごつまり)の里山。この雪深い村に都会から移り住んだ木暮さん夫婦は、茅葺き屋根の古民家を修復し、見よう見まねで米を作って暮らしてきた。ゴリゴリと豆を挽いてコーヒーを淹れ、…

>>続きを読む

監督

鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言

製作国:

上映時間:

88分
3.7

あらすじ

1990年5月、薬師寺回廊の第一期工事が行われていた。棟梁として取り仕切っていたのが“鬼”と称された匠・西岡常一である。「技術は体で覚え、盗むもの」と言われ、自らもそうして得てきた宮大工の…

>>続きを読む

TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)

上映日:

2016年10月01日

製作国:

上映時間:

110分

ジャンル:

配給:

  • 松竹
3.8

あらすじ

世界一の魚市場《TSUKIJI》 初めて1年4か月にわたる長期撮影が許され、カメラが捉えた知られざる市場の姿、人々の息遣いと心揺さぶる生き様──〈築地市場〉初の映画 使命感を持って働く魚…

>>続きを読む

ジョージア、ワインが生まれたところ

上映日:

2019年11月01日

製作国:

上映時間:

78分
3.6

あらすじ

紀元前6000年に遡る世界最古のワイン醸造の起源を持つジョージア。2013年にユネスコ世界無形文化遺産に登録されたクヴェヴリ製法は、素焼きの甕を土の中に埋め、ジョージア固有のブドウ品種と野…

>>続きを読む

天空からの招待状

上映日:

2014年12月20日

製作国:

上映時間:

93分
3.4

あらすじ

長年にわたって航空写真家として活動してきたチー・ポーリン監督。彼は3年の撮影期間を掛けて台湾のさまざまな姿を捉えてきた。美しい自然、工場から出る白煙や排水にまみれた河川、人々の営みや日常な…

>>続きを読む

映画 日本刀〜刀剣の世界〜

製作国:

上映時間:

65分
3.4

あらすじ

刀匠たちが技術の粋を尽くして生み出してきた日本刀はどのように作られるのか。そして、どのような歴史をたどってきたのか。刀剣に込められた日本人の魂をひも解く。さらに刀鍛冶師・月山貞利、刀研磨師…

>>続きを読む