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THE MOLE(ザ・モール)のYYamadaのレビュー・感想・評価

THE MOLE(ザ・モール)(2020年製作の映画)
3.9
【ドキュメンタリーのススメ】
THE MOLEザ・モール (2020)
◆ドキュメンタリーの種類
 被写体のありのままを撮影する
「観察型」
◆描かれるトピックス
 闇ネットワークに潜入し、
 北朝鮮に接触

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・デンマークの元料理人ウルリクは、北朝鮮の闇を暴くため、スペインに本拠地をもつ北朝鮮との文化交流団体KFAにスパイとして潜入。麻薬密売人の相棒とともに、独裁国家・北朝鮮に潜入した2人は、長年にわたる貢献によりKFA会長の信頼を得、武器や麻薬を製造、供給する北朝鮮の国際犯罪組織の中枢へと潜り込んでいく。
・商談を重ね、契約を結んだウルリクは武器輸出ビジネスの実態を目撃。やがて自身もアフリカ某所での兵器と麻薬の密造工場建設計画に深く関わることとなる…。

〈見処〉
①平凡な元料理人は、どのように
 北朝鮮を欺いたのか——
・『THE MOLE ザ・モール』は、2020年にノルウェー・デンマーク・イギリス・スウェーデンの合作にて製作されたドキュメンタリー。タイトルは「もぐら」を指す。
・本作はデンマークの一市民であるウルリクが、2011年から2020年に亘り、北朝鮮の武器密輸のネットワークをひそかに撮影していた映像素材に『誰がハマーショルドを殺したか』のマッツ・ブリュガー監督がナレーションやインタビューシーンなどを加え、完成させた作品。
・2020年秋に英国BBCと北欧のテレビ局で放送され、21年2月に「潜入10年 北朝鮮・武器ビジネスの闇」のタイトルでNHK-BSでも放送されて反響を呼んだ内容に未公開シーンなど追加し、劇場公演された。
 
②結び…本作の見処は?
サスペンスを凌ぐドキュメンタリーである反面、10年間気付かれないなんて、ある意味コメディ。
◎:「これは本当にドキュメンタリーなのだろうか?」…。テロ国家と呼んで過言ではない北朝鮮の高官との商談場面を、約10年間にわたり隠密撮影されたものであるが、芝居にしか思えないほどの生々しさが味わえる作品。
◎: 日本でも報道された、米国の学生が平壌でポスターを窃盗した罪で廃人なるほどの拷問を受けたタイミングで撮影された本作。北朝鮮関係者から商談の途中に、盗聴機材の発見器をかけられたシーンは、どんなサスペンス映画よりも恐ろしい。
▲: 潜入者の生命や国際問題に直結しかない
本作は潜入ドキュメンタリーとしては、間違いなくやりすぎ。潜入に要した費用の拠出や、西側諸国の諜報機関との接触有無には触れられていない点でも、本当にノンフィクションであるのか疑ってしまう。
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