ブラックユーモアホフマンさんの映画レビュー・感想・評価 - 24ページ目

ブラックユーモアホフマン

ブラックユーモアホフマン

天使/L’ANGE デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

3.4

これは、映画……?

こういった類の映画、所謂実験映画をあまり観てきていないので引き合いに出せる作品が少ないのが恥ずかしいのだが、クリス・マルケル、シュヴァンクマイエル、ノルシュテインなんかを少しずつ
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ライトハウス(2019年製作の映画)

4.2

ク◯ゥルーーーーー!!!!!実にク◯ゥルー。魔女の次は◯◯か……。(このレビューは極力ネタバレを避けてお送りします)

前作『ウィッチ』は、映像のセンスと物語の各モチーフは凄く好きだったけど、脚本がも
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野火(2014年製作の映画)

4.3

また地獄巡り系映画だ。

『異端の鳥』みたいな。こんな状況の中で最後まで生き延びてしまうのは、運が良いのか悪いのか。

悪趣味なもの大好きなんでねぇ。戦争の恐ろしさを描いてるわけなんで不謹慎は承知の上
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復讐 THE REVENGE 運命の訪問者(1997年製作の映画)

4.3

やっぱり高橋洋、すごい。

こちらも明らかに『蛇の道』の変奏。
コメットさん的な人、また出てくるし。
だけど高橋さんに特徴的な”映像”を使った描写はこちらでは見られない。

『蛇の道』には怪優・香川照
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復讐 THE REVENGE 消えない傷痕(1997年製作の映画)

3.9

『蜘蛛の瞳』と明らかに同じ話だけど、『蜘蛛の瞳』の方が好き。

菅田さんよりダンカンさん、柴主高秀さん撮影より田村正毅さん撮影の方が、好み。

この頃の黒沢さん自身の脚本作の、このとてつもない虚無感は
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ヒルコ/妖怪ハンター レストア&リマスター版(1991年製作の映画)

4.8

素晴らしいね本当に。

続けて観た『アジアの天使』と真逆。『アジアの天使』が核心に触れないで、ドラマに勢いもないまま、この映画はいつ面白くなるの?と思いながらダラダラ続くのに対して、こっちの速さ!!こ
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アジアの天使(2021年製作の映画)

2.9

一瞬も面白くない。

酷い脚本。最近の石井監督の作品『生きちゃった』や『茜色に焼かれる』とかは観てないけど、予告編見たり人から聞いた感想などから想像するに、似たような感じなんじゃないかなぁ。深く考えて
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異邦人 デジタル復元版(1967年製作の映画)

3.9

ヴィスコンティ4本目。やっぱり面白い。けど、今まででは一番まあまあだった。

終盤、裁判がずっと続く映画って、ある程度昔の映画にはよくある気がするんだけど、これは主人公の罪、すなわち映画が問題として提
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アルジェの戦い(1966年製作の映画)

4.6

何度も観る機会を逃していた本作、遂に。

冒頭から惹き込まれる。超カッコいい画面と、音楽。素晴らしい!と思ったらモリコーネ!!さすが過ぎる!!

アルジェリアの独立を描いた社会派な側面もありつつ、単純
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ラ・パロマ(1974年製作の映画)

4.2

序盤からしばらくはなんなんだよこれ!と半笑いで見ながら置いてかれそうになったが、中盤で「え、死んだ!?」「え、一気に3年経った!?」というところで引き込まれざるを得ず、最後のオカルティックな(ムーラー>>続きを読む

今宵かぎりは…(1972年製作の映画)

-

大気絶(睡眠)かましたけど、起きてられた範囲だけで言ってもイカれてたなー。

親が経営してるホテル使って撮ったって、いいなあ!ブルジョワん家の子はよお!

全員顔の血色が悪くて死体みたい。生きた人間の
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

4.1

ホモソ映画大好きだからなぁ。ツボつかれてしまったなぁ。

同時期に公開され、近い題材を扱った作品として比較されがちな『すばらしき世界』と本作でしたが、僕はこちらの方が、傑作!とまでは言わずとも断然面白
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.0

ダメでした。全然。

もちろん是枝さんと西川さんは違う映画監督だけど、とは言えやはり近いところで影響し合って映画を作っている人たちだから、似たような感じを受けるのも当然かもしれない。特に是枝さんの『万
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クルエラ(2021年製作の映画)

3.9

なるほどね。

クルエラを主人公にしてそのオリジンを描くという上で、ファッション映画にするのは、当然の発想ながら素晴らしいし
女性vs女性の闘いの中で、”自分らしさ”を殺して生きることを強いられた女性
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ビーチ・バム まじめに不真面目(2019年製作の映画)

4.9

傑作。

いやーなんだかんだ一番尊敬する映画作家かもしれない、ハーモニー・コリン。すごい。

マジでくだらないんだけど、ある瞬間から臨界点を突破して神がかって見えてくる。突き詰まったコメディは裏返って
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.7

いまいちノレなかった。

妙にあっさりしたこの編集はなんだろう。余韻を残さないで次のシーンにいっちゃう。脚本も演出も撮影も編集も、終始ちがくね?と思いながら観ていた。

二人の心の距離が近づいていく過
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.1

初ジェーン・カンピオン。

ホリー・ハンターは目力がすごい。最近観た『クラッシュ』の時と同じような存在感。でも個人的には『赤ちゃん泥棒』みたいなチャーミングな役の方が似合う気がするんだけどな。

ハー
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.8

軽やかな。肩の力が抜けすぎている。

タイトルありき。Ran?逃げた?誰が?何から?という先入観をもって見ると、あーこれは嘘っぽいな、なにを気にしてるのかな、とか穿って見るようになる。

最近集中的に
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SYNCHRONIZER(2015年製作の映画)

3.3

マッドサイエンティストものSFスリラー。

脳波をシンクロさせるという。『パシフィック・リム』的なテクノロジー。黒沢さんの『ドッペルゲンガー』のやつにも似てる。このエセ科学の胡散臭さは高橋さんの『恐怖
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PASSION(2008年製作の映画)

4.1

掴みからもう面白すぎる。めでたい報告をしたはずが普通のリアクションは返ってこず、むしろ空気が張り詰める。そこから始まる話。

女癖の悪い男に対して、シンプルで気持ちのいい男が近くにいることで、その圧倒
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彼方からの手紙(2008年製作の映画)

3.6

瀬田さんの芸大時代の作品。クレジットに濱口さん、野原さん、酒井さんなどなど知ってる名前ばかり。

真相をつまびらかに明かすのではなく、想像できるように示唆するに留めている上品さに好感。

最後の方、ビ
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ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)

4.7

これがベルイマンの集大成か。

若草物語のような。幸せだった時代から辛く苦しい時代へ移り変わる。
言ったら話自体は割と知ってるフォーマットという感じはするが
何と言ってもアレクサンデルが愛おしくて、僕
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叫びとささやき(1972年製作の映画)

4.3

ヤバい家の話。

やっぱベルイマン、ヘンだわw

一族の血が染み込んだかのように真っ赤な豪邸に三姉妹と使用人の4人。
病気で死にゆく次女の世話に来た長女と三女。母も若く死に、姉妹の仲はギクシャク。板挟
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スパイの舌(2008年製作の映画)

3.5

内容はよく分かんないけど撮影めちゃ頑張ってて尊敬する。花火とか煙とかゲリラとか。

女が嵌めようとしてたのに、逆に嵌められてて、気づいたらもう遅くてみたいな展開がちゃんとしててもうセンス感じる。

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ちえみちゃんとこっくんぱっちょ(2005年製作の映画)

4.1

大九さんにしても横浜さんにしても美学校の卒制が既に圧倒的に仕事来る人のソレ。すごい。

主人公はちえみちゃんじゃなくてのりこ。のりこのかつての親友で結婚して東京に行くのがちえみちゃん。こっくんぱっちょ
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親密さ(2012年製作の映画)

4.3

これまた傑作だことで。困っちゃうね。

『何食わぬ顔』から試みている、フィクション内フィクションの形式の究極形が『ハッピーアワー』で、『寝ても覚めても』以降の濱口作品は次のフェーズに入っていると考える
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凱里ブルース(2015年製作の映画)

4.1

超、おんなじ監督の映画だーって感じで正直、どっちか一本観れば十分だったかもしれないけど、最後がすごく良かった。

技術的にレベルが上がって洗練された『ロングデイズ・ジャーニー』も良かったけど、低予算で
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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.0

ちょっとカッコつけすぎじゃないかな……w

眠い頭を叩き起こしながら必死に観たけど、結果的にそれが一番正しい見方だったかもしれない笑
見てるこっちも今現実に見てる映画だか、それとも夢見てるのか分からな
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何食わぬ顔(2003年製作の映画)

4.3

制作当時、濱口さん23歳くらいか……
いやーすげえ……
クソーすげえとしかいいようがない

なんかもう既に確立されたものがある。
男女の関係の苦味と、人間の矛盾した感情のままならなさ。その自然さ。
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怯える(1998年製作の映画)

4.2

面白い。

高橋洋、黒沢清から正当に受けた影響を正当に形にした短編、というように思える。特に『蛇の道』を想起した。美学校一期生の修了作品としてこんなに正しいものがあるか。

電話の声は、古澤さん本人じ
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ジョギング渡り鳥(2015年製作の映画)

3.2

卓爾さん、嵐電は好きだったし、ゾンもまあまあ好きなんだけど、これはちょっとダメだったなぁー……

まあのちに繋がる実験の初期段階としては。最初に観たら面白く感じられたのかもしれないけどリアルタイムで観
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花子(2001年製作の映画)

4.0

どうやってこの空間にカメラは存在できているのか。ある類のドキュメンタリーを見るといつもそう思う。

全ての映画は人間の営みの美しさを写すためにあるのだなと感じた。

多様性というか。それぞれの人間の、
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うたうひと(2013年製作の映画)

4.9

耳袋。

東北記録映画三部作の3作目。1、2にあたる『なみのおと』『なみのこえ』は未だ観られておらず。

「みやぎ民話の会」の小野和子さんが宮城のお年寄りから、現地の言い方でいう”むかし”、要するに昔
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螺旋銀河(2014年製作の映画)

3.9

なるほど。

ラジオドラマのシナリオをきっかけに、友達がいない女性2人が出会い、お互いを羨ましがって、こじれた関係がコインランドリーを通してラブに昇華する。

演技や映像は気になるところも多かったが、
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