妊娠中に観たときはピンと来なかったのに、出産を隔てて1ヶ月経ったいまでは、いくつかのシーンを、思い出しては噛み締める。
いつかは一人前になる娘が、今はまだ母親である自分の一部であるということ。
絶>>続きを読む
ひとは、自分のことも、他人のことも、そのすべてを知ることができない。
見せている部分。ひみつにしている部分。伝えたいけど、うまく伝えられない自分だけの痛み。
でも、本当はうっかり知られていることとか、>>続きを読む
どんなときでも、それを想うだけで何度でも心が燃え上がるような存在を胸に、幼い頃の夢の中を、猛然と突き進めるひとがいる。
たとえ、他人から見ればそれがどんな夢物語であったとしても、憧れはときに明日を生>>続きを読む
一緒に観たひとにはぜんぜん共感されなかったけど、本当におかしくって何度も笑いのツボに入っちゃった。
澄ました顔で差し挟まれる、シュールな笑いや、セックスを描かない男女関係に、中国の乾いた埃の匂いが>>続きを読む
なにかを選ぶ、ということはもちろん同時に、なにかを選ばない、ということでもある。
自分の思想や信条、保証されたキャリア、親の期待、家族、生まれ育った故郷、ナチスと戦ったのだというプライド、この映画の>>続きを読む
もしも自分がシリアにいたら生きていたら、真っ先にISに入隊していたような気がして足がすくむ。
いずれにせよ、大切なひとの命を奪うことに代わりはないのだとしたら、わたしは自分の命を守る選択をしないと、ど>>続きを読む
1番になれない虚しさに、終わってしまった寂しさに、後ろ髪引かれて振り返ったり、名前を呼んだりしてしまうの、わかるけど。
相手がふっと消えたり、かわされたりしたときに、あっと倒れてしまわないように、どん>>続きを読む
登場人物たち全員しょーもないって言えるひと、皮肉じゃなくてうらやましいな。
陣治は人間じゃなくて天使だったんだと思った。本当の人間はあんなふうにひとを愛したりできない(と今のところは思う)。
十和>>続きを読む
ジャームッシュは、すべてが理想通り、ではないけれども、平坦な日々をきちんと積み重ねていくことの美しさ、を教えてくれる。
有名な詩人になりたいわけではなく、本当のところは自分と大切なひとだけが、その>>続きを読む
今まで本当に作品にしか触れたことがなく、インタビューとかを読んだことがなかったので彼と彼を取り巻く人々の言葉は新鮮だった。
意外だったのは、巨匠から多くの手法を盗んでいる、と話していたこと。すっか>>続きを読む
80年代という舞台の中では、「大恐慌時代」生まれの母ドロシアが1人「時代錯誤な」人間として描かれる。
けれど、パンクロックや過激なフェミニズム思想もまた、21世紀からすると随分と時代遅れに見えるのが>>続きを読む
何も知らず人に誘われ開始15分後くらいに席に着いたらいきなり藤原竜也が「わたしが殺人犯です」と言いだしたので笑った。
すげえコメディーだなあと思いながら観終わって、最後のエンドロールで入江監督と知>>続きを読む
なんて、なんて丁寧で優しい映画なの、、、。
「乗り越えることで、強くなる」ことを是とする風潮の中、乗り越えられないひとが死を選ぶニュースも少なくない日々だけれど。
乗り越えられなくたって、生きてい>>続きを読む
世界随一の美術館、メトロポリタン美術館でのファッションイベント「メットガラ」。
華やかな舞台の様子と、またアナ・ウィンターの伝説を上塗りする派手な映画かと思っていたら全然違った。
予想外にこの映画の>>続きを読む
あのとき自分がドアを開けていれば、助かったかもしれない命を弔うため、奔走する女医のジェニー。
亡くなった彼女は一体誰なのか。
弔うためには名前が必要なのだ。
亡くなったということよりも、確かに生きて>>続きを読む
愛し合っているからといって、お互いを幸せにできるわけではない。
傷つけあってしまうことが分かっているからと言って、愛さないでいられるわけでもない。
相手の愛を理解するのも信じるのもとても難しいことだ>>続きを読む
危ういバランスで成り立っている日常から、それが崩壊していく過程、そして全ての登場人物が狂気を露わにする、あらゆるシーンにその不穏さがにじみ出る。
「普通」の中に潜む人間の狂気をまるでホラーのように、さ>>続きを読む
久しぶりに、最高のボーイミーツガールの瞬間を見てしまった。
「これをいいと言わなければ、僕は自分の人生を肯定できない」と誰かが言っていたけど、まったくその通り。わたしはこの映画を愛さないではいられな>>続きを読む
1950年代、アイルランドからアメリカへ、女の子が1人で旅立つというのは大変なこと。トランク一つで船に乗り込んだエイリシュの顔には希望よりも、不安がいっぱいだった。
人生は、選択を迫られることばか>>続きを読む
おうちで見てたらねむみを堪えるのに必死だった。
でも、これ以上に、だらだら見ながら幸せな寝落ちをするのに適した映画を思いつかない。
ゆるりゆるり、みんなおかしい。噛み合わなさと、登場人物の可笑しさは>>続きを読む
これは、すごいドキュメンタリーだ!!
森達也のドキュメンタリーは、絶対に森達也にしか撮れない。
なぜなら彼が撮るものは、森達也と被写体の関係性こそがストーリーを作っているから。
監督自身が「ドキュ>>続きを読む
食事のシーン。
家の中のカット。
「手」の写し方。
暗転の使い方。
ああ、是枝監督だ...と思った。
おばあちゃんが一人暮らしをする団地の部屋の様子ひとつとっても、説得力がすごい。
冷凍庫で凍ら>>続きを読む
なぜだかガス・ヴァン・サントの作品って、いつも高いスコアつけられない。
とってもいいのに、なんか綺麗にまとまりすぎていて、あーいい話だった!って感じで自分の中で完結してしまう、、、
でもひとつ思>>続きを読む
先生の悪口を書いたメモが見つかってしまい、「渡しなさい」と言われた女生徒バルバラの予想外のマジックに始まり、突然暗転にタイトルが入る。そして流れ出すあの曲。オープニングから物語世界に引っ張り込むのが>>続きを読む
事実は小説よりも奇なり、というけど、誰かの日常生活そのものを凝視するという体験はなかなか無いもの。
もちろん日常の中にだって、大なり小なり、思いもかけないような事件が起こる。そういうものもしっかり写>>続きを読む
本当に最高。
姉が自分の愛する音楽を部屋に隠し、「ベッドの下で自由を見つけるのよ」という言葉と共にそれを弟に託して家を飛び出すシーンからもう泣いてしまった...
そうして知ったロックを聴きながら>>続きを読む
なんて美しい愛の物語だろう。
地味な登場人物が、「人が人に惹かれるのに理由なんてない。ただその人に惹かれるか、惹かれないかのふたつしかないんだ」というようなことを言っていたけど、まさしくキャロルと>>続きを読む
ドイツの歓楽街で娼婦をする女。
その女を買って惚れ込んでしまう老人。
ドイツで大学教授をするその老人の息子。
イスタンブールで政治活動を行いドイツに亡命する若い女。
その女を匿って深い関係を持つ女子>>続きを読む
序盤から、今すぐ観るのをやめて映画館から出たくて仕方なかった、、、
毎日大量のユダヤ人をガス室に押し込め、その死体を処理する日々。だけど、死体の中に息子を見つけたら、彼だけはきちんと埋葬したいとどう>>続きを読む
ものすごい宣伝のうち方だけれど、予想に反して派手さのないシンプルな映画でよかった。
とにかく会話劇だけで140分間観客の緊張感を常にピンと張り続ける演出、脚本は本当にさすが。ときおり分かりやすいユー>>続きを読む
80年代のアメリカで社会現象になった、ヒップホップグループN.W.A.。
その略称の意味はNiggaz Wit Attitudes。
皮肉だけれど、いつの時代でも、虐げられている人たちのアウトサイ>>続きを読む
宇宙空間での撃ち合いはまるでテレビゲームをしているよう。ゲームの世界のように、名前のないキャラクターがぽこぽこ死んでいく。最後もまさしく、ミッションクリア!!って感じで超すっきり。
ポップなwarだ>>続きを読む
クーデターによって政権が崩壊し、それまでトップに君臨していた大統領は、懸賞金がかけられ追われる身に。しかも、自国に残されたのは、自分とまだ幼い孫。
宮殿で、高みから煌めく自分の国を見降ろしていた生活>>続きを読む
ナチス占領下のウィーンからアメリカへと亡命したマリア。
ナチスに奪われた、クリムトが描いた亡き叔母の肖像画を取り戻すため、オーストリア相手に奮闘する。
マリアにとってクリムトの絵画は、美しく幸せな>>続きを読む
学校が嫌い、人と話すのが苦手、というより自分は人と違うと思うことで自分を守っているような少年が、スキー合宿に行きたくなくって、こっそり地下室に隠れて1週間を過ごす話。
このスキー合宿も、もともと行>>続きを読む
多感な「青春」という一言で片付けるには、あの頃の日々や心は複雑すぎる...
好きな台詞がたくさんあった。
「無限って感じがする」とか、実際に口に出したら恥ずかしいけど、でも、きっと多くの人が経験した>>続きを読む